Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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(あぁ…最悪だ…)

パンとりんごを頬張りながら、キャリーは我が身の不幸を嘆いていた。



(いくら、気を失っていたからといって、あのディディエに、く、く、く、口付けされてしまうとは…
あぁ、悪夢だ…
あいつのおかげで、私の人生はむちゃくちゃだ!
幸い、あいつは私の正体には全く気付いていないようだが…
こうなったら、あいつに同行して、早いとこ金のわっかを探させるしかないか…
それに…あの疫病神とも離れさせなくてはいかん…
確かに、それなりに美形だが…見てくれにコロッと騙されてしまうとは、本当に馬鹿な奴だ。)

いくら姿が変わったとはいえ、いざ会ってしまったら自分の正体がバレてしまうのではないかと心配していたキャリーだったが、その心配はなさそうだった。
ディディエはそんなことは全く気付いていそうにない。
この分なら、たとえ、同行しても大丈夫だろうとキャリーは考えた。



「あの…」

「はい、なんですか?
まだ足りませんか?
申し訳ないのですが、今はそれだけしかなくて…」

「いえ…そうではないのですが…
あの…あなた方はこれからどこへ行かれるのですか?」

キャリーは俯いたまま、そう尋ねた。



「私達は…実は、特に行き先が決まってるわけではないのです。
ちょっと探し物をしていまして…」

「探し物を……
では、もしよろしければ私もあなた方に同行させていただけないでしょうか?
勝手なことを申すようですが、実は、先日、路銀を奪われてしまいまして…それでなくとも女の一人旅はなにかと物騒なことが多く、難儀していた所なのです。」

キャリーは、声を潜め、さらに悲しげに顔を下に向けてそう呟いた。



「路銀を!……それはお困りでしょう。
わかりました。私達で良ければ一緒に旅を致しましょう!
……ファビアンさん、良いですよね?」

「……お、俺は知らん!
あんたが決めれば良いだろう!」

ファビアンはそう言い残すと、すたすたとどこかへ歩いて行ってしまった。



(あやつ…私のことを嫌がっているな…
やはり、二人の仲を邪魔されたくないからか?
それとも、私のような厄介ものが着いて来ると迷惑だということか?)



「旅は道連れと言いますし、二人より三人の方が賑やかで良いですよね。
では、ご一緒に行きましょう。」

ディディエはそう言って、にこやかに微笑んだ。


 
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