Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「それでは、今から第14回魔法大会を開催致します!
出場者の皆さん、どうそ頑張って下さい!
ご観覧の皆様は、ご声援をよろしくお願いします!」

白髪頭の町長さんの開会の宣言が響き渡り、あたりからは拍手がわきあがりました。
魔法大会の今回の出場者は9名のようです。
いかにも魔術師といった貫禄のある者から、とても魔術が使えるとは思えないような子供まで、様々です。



「今年は残念ながら出場者が少ないですが、あと1名、いらっしゃいませんか?
参加賞がもらえますよ!
魔術が使える方であれば、どなたでもかまいませんよ~!」

「よし!それなら俺も出るぜ!」

ファビアンさんが勢い良く手をあげられ、急遽、出場することになりました。
どうやら『参加賞』に釣られたようです。
何がいただけるのかはわかりませんが、手持ちのお金の少ない今はいただけるものならなんでもいただいておきたい所です。
私も少しでも魔術が使えれば出場したい所でしたが、残念ながら今の私にはたばこの火をつける程度の簡単な魔法さえ使えません。
ファビアンさんやキャリーさんを応援するしかなさそうです。



「では、まずは雷の魔法の対戦です!」

広場には、空き缶が一定の間隔を置いて5つ並んでいます。
出場者は、一人ずつ順番に前に進み出ていきました。
空き缶に雷を落とすという簡単な対戦ですが、皆、なかなか命中しません。
今の所、5つのうち4つに命中させたジョナサンさんが1位です。
さて、ついにファビアンさんの番です!



「ファビアンさ~ん!頑張って下さいね~!」

私は手をふりながら大きな声で声援しました。
ファビアンさんはそんな私に手を振り返し、けっこう余裕の表情を浮かべてらっしゃいます。
そして、空き缶の方をじっと見据え、精神を統一して剣を空高く振り上げ気合いの声を発せられました。
その声と同時に、空がかき曇り、眩い光の筋が空き缶めがけて落ちました。
1つ…2つ…次々に落ちる光の筋に、観客は、皆、呆気に取られています。
しかも、それらはすべて空き缶の真上に落ちたのです。
すごい!ファビアンさん、すごいです!!
すべての空き缶に雷が落ちた時、観客からは大きな拍手がわきおこりました。
ファビアンさんもまんざらでもないような顔をして、微笑んでいらっしゃいます。
もしかしたら、ファビアンさんは参加賞どころではなく、優勝してしまわれるかもしれません。
そうなれば賞金も入ることですし、しばらくの間、旅の資金がまかなえます。
そんなことを考えていた私は、ファビアンさんのそのすぐ横で、キャリーさんが不敵な笑みを浮かべていらっしゃることに気付きました。
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