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帰還
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「あぁ、そういえば、昔、そんなことがあったな。
なんでも、悪魔達が農場で働いてる女の子供をかどわかして、しかも、その女を殺したとかいうことでとっ捕まえたんだが…そうだ!確か、縛り首にする日に悪魔達を閉じ込めてた場所に見に行ったら、女の悪魔が腹を切り裂かれて死んでて…他の悪魔達は逃げてたって話だ。
女の悪魔は、さらし者にされて広場で焼かれたはずだぜ。」
オルジェは、話を聞くうちに深くうなだれた。
「……そうだったんですか?
それで、その悪魔の亡骸は?」
「さぁな、そんなもんはゴミとして処理されたんじゃないか?」
その言葉を聞いたオルジェスは、突然、宿屋を飛び出した。
「オルジェス!!」
オルジェスは、道の片隅にうずくまりがっくりとうな垂れていた。
ベルナールは、オルジェスの隣に座り、その肩をそっと抱いた。
「……おまえが落ちこむのも無理はない…
あんな話……聞かなければ良かったな…」
「いや…聞いて良かったよ。
これで決心がついた。
俺はもう迷わない…
あいつを父親だなんて思わない!
正直言って、まさか母がこんなにひどい目にあってたなんて考えもしなかった。
父さん…いや、あの男がこれほどひどい奴だとは思っていなかった……
ベルナール…!俺にやらせてくれ!
母の仇を…どうか、俺に母の仇を取らせてほしい!」
「……そうか、わかった…
考えてみれば、おまえの方がトレルにひどい事をされてるのだからな。
私の母は奴に毒を飲まされたようだ。
一瞬で死んだらしい。
エルスールは、きっとその何倍も酷い苦しみを感じながら息絶えたんだろうな、気の毒に……
その上、最後は、その亡骸まで広場でさらし者にされて火で焼かれるとは…
エルスールは、さぞ無念だったことだろう…」
ベルナールは、涙を浮かべ、オルジェスの両手を握った。
「でも、良かった…
おまえが無事だったのが、せめてもの救いだ。
エルスールが守ってくれたのかもしれないな。
オルジェス…これからはエルスールの代わりに私がおまえを守ってやる。
どんなことがあっても、私はおまえを守ってやるからな!
そうだ…トレルのことが片付いたら、どこか静かな場所で一緒に住もう。
人間界でも、悪魔の世界でも、おまえが一番居心地の良い場所で心穏やかに過ごそう…」
ベルナールは、そう言いながら、まるで小さな子供にするようにオルジェスの髪を優しくなでた。
「ありがとう、ベルナール…
俺…君に会えて本当に良かった…」
オルジェスは、ベルナールの温もりに深い信頼を感じていた。
それが、とんでもない間違いであることには少しも気付くことなく…
「あぁ、そういえば、昔、そんなことがあったな。
なんでも、悪魔達が農場で働いてる女の子供をかどわかして、しかも、その女を殺したとかいうことでとっ捕まえたんだが…そうだ!確か、縛り首にする日に悪魔達を閉じ込めてた場所に見に行ったら、女の悪魔が腹を切り裂かれて死んでて…他の悪魔達は逃げてたって話だ。
女の悪魔は、さらし者にされて広場で焼かれたはずだぜ。」
オルジェは、話を聞くうちに深くうなだれた。
「……そうだったんですか?
それで、その悪魔の亡骸は?」
「さぁな、そんなもんはゴミとして処理されたんじゃないか?」
その言葉を聞いたオルジェスは、突然、宿屋を飛び出した。
「オルジェス!!」
オルジェスは、道の片隅にうずくまりがっくりとうな垂れていた。
ベルナールは、オルジェスの隣に座り、その肩をそっと抱いた。
「……おまえが落ちこむのも無理はない…
あんな話……聞かなければ良かったな…」
「いや…聞いて良かったよ。
これで決心がついた。
俺はもう迷わない…
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正直言って、まさか母がこんなにひどい目にあってたなんて考えもしなかった。
父さん…いや、あの男がこれほどひどい奴だとは思っていなかった……
ベルナール…!俺にやらせてくれ!
母の仇を…どうか、俺に母の仇を取らせてほしい!」
「……そうか、わかった…
考えてみれば、おまえの方がトレルにひどい事をされてるのだからな。
私の母は奴に毒を飲まされたようだ。
一瞬で死んだらしい。
エルスールは、きっとその何倍も酷い苦しみを感じながら息絶えたんだろうな、気の毒に……
その上、最後は、その亡骸まで広場でさらし者にされて火で焼かれるとは…
エルスールは、さぞ無念だったことだろう…」
ベルナールは、涙を浮かべ、オルジェスの両手を握った。
「でも、良かった…
おまえが無事だったのが、せめてもの救いだ。
エルスールが守ってくれたのかもしれないな。
オルジェス…これからはエルスールの代わりに私がおまえを守ってやる。
どんなことがあっても、私はおまえを守ってやるからな!
そうだ…トレルのことが片付いたら、どこか静かな場所で一緒に住もう。
人間界でも、悪魔の世界でも、おまえが一番居心地の良い場所で心穏やかに過ごそう…」
ベルナールは、そう言いながら、まるで小さな子供にするようにオルジェスの髪を優しくなでた。
「ありがとう、ベルナール…
俺…君に会えて本当に良かった…」
オルジェスは、ベルナールの温もりに深い信頼を感じていた。
それが、とんでもない間違いであることには少しも気付くことなく…
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