78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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王女

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 「アレクじゃないか!
……何かあったのかい?」

 店に姿を現したアレクの表情を一目見るなり、アドニアは予期しなかった何事かが起きたことを悟った。



 「……あぁ、ちょっとな。
アドニア…」

アレクは親指を立てて奥の部屋を指差し、アドニアはその仕草に黙って頷いた。



 「あ、アドニア。
 何でも良いから食べるものを頼む。
……二人分な。」

 「あいよ。任せときな。」

アレクは満足気に頷き、奥の部屋へ向かった。



 *



 「ダニエル、あまり食が進まないようですね。
 体調が悪いのですか?」

 「いえ…そういうわけじゃないんです。
ただ……」

 「……友達のことが気にかかるのですね?
 確かに予想していたよりも遅いですが…
でも、アレクはとても優秀な魔導師なんですよ。
 何事かのアクシデントがあったとしても、彼はなんらかの方法を考えて必ずやり遂げてくれます。
 依頼を途中で投げ出すような人ではありません。」



 「その通りだ。」

ダニエルが答えるより早く部屋の中に響いた低い声に、スピロスとダニエルは同時に顔を向けた。



 「アレク!」

 「やぁ!久し振りだな。」

 決まりの悪さを誤魔化すかのように、アレクは片手を上げて照れたような笑みを浮かべる。



 「どうしたんです、アレク?
 何か……」

スピロスは、アレクの後ろからおずおずと入って来たリアナに気付き、不意に言葉を止めた。



 「あ、紹介しよう。
この娘はリアナ。
ちょっとしたことから、知り合いになってな…」

 「アレクさん!マウリッツは?
マウリッツとウォルトさんはみつからなかったんですか?
それとも、二人の身に何か…!?」

アレクの言葉も聞かず、ダニエルは感情的な声を上げる。



 「ダニエル…そのことならあとでゆっくり説明する。
 遠距離のジャンプをこなして疲れてるんだ。
 少しで良いから休ませてくれ。
リアナ、あんたもそこらへんに座ってくれ。」

 「あ……すみません。」

アレクは長椅子に身体を投げだし、リアナは部屋の入口に立ち尽していた。



 「リアナさん…ここへどうぞ。」

 「は、はい。ありがとうございます。」

スピロスは立ちあがって今まで自分が使っていた椅子をすすめ、ダニエルのベッドの縁に腰掛けた。



 (……綺麗な人……
この人はどういう人なんだろう…?
 何か事情がありそうだな…)

ダニエルは、リアナの瞳に何か暗い影のようなものを感じ、不安な予感を募らせた。
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