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side 瑠威

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(あ…もしかしたら…)



 「そこって、アンティークな雰囲気で、クラシックが流れてる店じゃない?」

 「そうそう!ロワってお店。」

 「思い出したよ。
うん、確かに行ったことがある。」

 俺はその店のことをはっきりと思い出していた。
 一度しか行ったことはないけど、とても良い雰囲気の落ち着ける店だ。



 「遠いけど…なにか用でもあったの?」

 「あぁ、クロウの行きつけの美容院があってな。
センス良いって聞いたから、俺も連れて行ってもらったんだ。」

 「そうだったんだ…でも、あんまり気に食わなかったの?」

 「いや、俺も気に入って、行きつけにしようと思ってたんだけど、オーナーがフランスに行っちゃったんだ。」

 「そっかぁ…それで、クロウさんもあの喫茶店に行かなくなったんだ…!」

 「そういうこと。」

 望結は得心したように何度も頷いていた。



 「あ…そ、それと…ね…」

 「何?」

 「あ…えっと、瑠威はファンからの手紙とか、読む?」

なんだか少し焦ったような様子で望結がそんなことを俺に訊ねた。



 「……たまには、な。」

 「えっ!?全部しっかりは読まないの?」

 「うん…確かにファンからの手紙はありがたいんだけど…中にはありがたくない内容のものもあるんだ。
 以前、ちょっとひどいのがあって、それ以来はあんまり読まない。」

 「そ、そうなんだ…」

そう言いながら、望結が温かいおでんを食卓に出してくれた。 
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