上 下
17 / 75

第17話:闇の壺を解呪しました②

しおりを挟む
「では、私は壺をディアボロ様に届けてまいります。フローズ様、奥様をお願いします」
『おう、任せておけ……それにしても、キュリティは見事な解呪だったなぁ』
「いえいえ、それを言うならフローズさんもとても強かったですよ」
『まぁ、こう見えてもフェンリルだからな』

 フローズさんとお喋りしていたら、オールドさんがやってきた。

「キュリティ、闇アイテムの解呪は順調みたいだね。疲れてないかい?」
「はい、全然疲れてません。もう一つの闇アイテムも解呪しようとしたら、バーチュさんに止められてしまいました」
『キュリティは頑張りやな性格なんだな。オールドも見習え』
「なんだって!?」

 お部屋の中は笑い声で包まれる。
 三人で話していると、あっという間に夜になった。
 ご飯を食べ終わったら、いつものようにディアボロ様が来てくれた。
 本当に気遣ってくれているなと強く感じる。
 とても幸せなことだ。

「キュリティ、今日も活躍してくれたみたいだな」
「いえ、バーチュさんとフローズさんが守ってくれたからです」
「それでも、君のおかげさ」

 ディアボロ様はフッと小さく笑っている。
 素直に笑顔が似合う方だなと思った。

「キュリティが解呪してくれたおかげで、“闇精霊の壺”も隅々まで解析できた。王宮に報告しておいたから、戦況も我らに有利になるだろう」
「それならよかったです。少しでもみなさんの役に立てていると思うと、私も嬉しいです」
「体調が悪かったり、怪我をしてしまったらすぐに言いなさい。それと、決して無理はしないようにな」
「はい、ありがとうございます」

 私たちのやり取りを、オールドさんとフローズさんは微笑ましく見守っている。

「さて、アタシたちもそろそろ失礼するかね」
『おやすみ、キュリティ』
「おやすみなさい」

 そう言って、ディアボロ様たちは静かに部屋を出て行った。
 私は一人っきりになるけど、寂しさなんて感じない。
 みんながいるからだ。
 そして、ディアボロ様に抱いていた印象も、以前とはずっと変わっていた。
 今では怖い人というより、優しい人というイメージだ。
 少しでも御恩を返さないと……。 
 強く決心しながら眠りに就いた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

女装転移者と巻き込まれバツイチの日記。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:376pt お気に入り:24

邪霊駆除承ります萬探偵事務所【シャドウバン】

ホラー / 連載中 24h.ポイント:3,450pt お気に入り:15

蒼い海 ~女装男子の冒険~

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:1,320pt お気に入り:37

だから女装はしたくない

BL / 完結 24h.ポイント:447pt お気に入り:5

俺、悪役騎士団長に転生する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:8,960pt お気に入り:2,506

処理中です...