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第34話:国王と双子兄、大事な特権を破壊され、復讐のため飛び地に盗賊団を差し向ける②
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□□□
数日後、待ち望んだ来客が宮殿に来た。
全員、極めてガラが悪く、とうていこのような場所には出入りできないような人物たちだ。
――"夜鴉の翼"。
現在、王国内で暴れに暴れている、総勢100人ほどの大規模な盗賊団。
国の騎士団では手がつけられず、逆に武器庫や詰所を奪われるほどだった。
今は10人ほどしかいないが、それでも彼らが放つオーラは常人とは違う。
超大国でも悪名を轟かせており、捕まりそうになったら他国に渡ることで、拘束を免れていた。
先頭に立つ2mほどの大男が、何の敬意もなく一歩前に踏み出す。
リーダーを務めるカシャム。
短く刈り込んだ赤髪と、左目に刻まれた三本の深い傷がトレードマークの、盗賊団で最も凶悪で粗暴な男だ。
「まさか、王様にお呼ばれするなんてなぁ。俺の長い盗賊人生でも初めてだわ」
「我が輩も盗賊を宮殿に呼ぶことになるとは、夢にも現にも思わなかったな。……おい、勝手に調度品を触るな! 汚れるだろ! それはすでに完成しているんだぞ!」
カシャムの笑い声に、アルバティス王はため息混じりに答える。
できることならば、このような輩には頼みたくなかった。
すでに宮殿内はブーツについた泥で汚され、床の赤絨毯には茶色いシミがついている。
気に入っていた絵画や彫像も盗賊どもがベタベタと触っており、汚れまみれだ。
アルバティス王は怒りを抑え、カシャムに話す。
「貴様らを招集したのは他でもない。極めて重大な使命を授けるためだ。我が輩の運命を左右するほどのな。……いいか? 言うぞ? 全力でその汚い魂に刻み込め」
アルバティス王は飛び地を襲撃するよう話し、ネオンと、ついでにブリジットの似顔絵を見せる。
カシャムは顎を撫でながら品定めし、頭の中で計画を立てた。
「……ふーん、ガキとメイドね。"捨てられ飛び地"で領主なんてけったいなことだ。それにしても、パッとしねえガキだな。こいつは殺すとして、メイドは好きにしていいんだな? なかなかの美人だ」
「構わん。好きにしろ。ほら、さっさと"捨てられ飛び地"に行け。宮殿の地下にある"転送の間"で転送してやる。運命の歯車は動き始めたぞ!」
シッシッと払いのけるようにして言ったが、カシャムは手を出したまま動かない。
「……なんだ、その手は?」
「なんだって、金に決まってるだろ」
「金だと!?」
「ただで襲撃するわけないじゃねえか。"捨てられ飛び地"なんて言ったら、瘴気が蔓延る危険な土地だ。そんな場所に、王様はタダで襲撃させようってのかい? えぇ?」
盗賊の滅茶苦茶な論理に辟易する。
躊躇したが金を払った方が確実だと思い、前金として2500万ルクスもの大金を払うことになった。
残りの2500万ルクスは、ネオンの首と交換だ。
(クソがっ! 国民どもから搾り取った我が輩の税金だぞ!)
悔しさを噛み締めて小切手にサインをし、ぞんざいに渡す。
「ほら、これでいいだろ! ありがたく受け取れ、愚か者め!」
「あんがとよー。ははっ、これが王様の字かよ。ミミズの行進か?」
「黙れっ」
こんな輩に字を馬鹿にされたことが猛烈に腹立つ。
苛立つアルバティス王を置いて、カシャムとその部下は出口へと向かう。
「待て! そっちは"転送の間"ではないぞ!」
慌てて止めると、カシャムはゆったりと振り返った。
「慌てなさんな、王様。そんなすぐには行けねえさ。一度散らばった仲間を集めなきゃならんし、色々と仕事が溜まってるからな。盗賊にも準備って物が必要なんだよ」
「チッ! まぁ、いい! 残りの金はネオンの首と交換だからな!」
「わかったわかった。ちゃんと殺してやるよ……おい、お前ら、撤収だ。仲間に連絡しろ。でかい仕事が入ったってな」
カシャムはがなり立てるように部下に命じ、乱雑な音を立てて立ち去る。
静寂が戻った"王の間"で、アルバティス王は勢いよく拳を突き上げた。
「……よし! これでネオンは破滅だ! 王国騎士団でも手のつけられなかった盗賊団だぞ! あんなクソガキに勝てるはずがない! たった今を持って、ネオンの破滅の運命は決定したのだ!」
「いやはや、今日は楽しみの嵐で眠れませんね! 眠るどころか、興奮で踊り出しそうですよ! 新しい祭りの日に制定しますか!?」
「あいつの首が届けられるのは、いつになるんでしょうね! 待ち焦がれてスモークになっちまいそうだ! ヒャハハハハッ!」
"王の間"に、父親と双子兄の卑劣な高笑いが響く。
手練れの盗賊団に襲われ、憎きネオンは惨めに死ぬ……そう思っていた。
数日後、待ち望んだ来客が宮殿に来た。
全員、極めてガラが悪く、とうていこのような場所には出入りできないような人物たちだ。
――"夜鴉の翼"。
現在、王国内で暴れに暴れている、総勢100人ほどの大規模な盗賊団。
国の騎士団では手がつけられず、逆に武器庫や詰所を奪われるほどだった。
今は10人ほどしかいないが、それでも彼らが放つオーラは常人とは違う。
超大国でも悪名を轟かせており、捕まりそうになったら他国に渡ることで、拘束を免れていた。
先頭に立つ2mほどの大男が、何の敬意もなく一歩前に踏み出す。
リーダーを務めるカシャム。
短く刈り込んだ赤髪と、左目に刻まれた三本の深い傷がトレードマークの、盗賊団で最も凶悪で粗暴な男だ。
「まさか、王様にお呼ばれするなんてなぁ。俺の長い盗賊人生でも初めてだわ」
「我が輩も盗賊を宮殿に呼ぶことになるとは、夢にも現にも思わなかったな。……おい、勝手に調度品を触るな! 汚れるだろ! それはすでに完成しているんだぞ!」
カシャムの笑い声に、アルバティス王はため息混じりに答える。
できることならば、このような輩には頼みたくなかった。
すでに宮殿内はブーツについた泥で汚され、床の赤絨毯には茶色いシミがついている。
気に入っていた絵画や彫像も盗賊どもがベタベタと触っており、汚れまみれだ。
アルバティス王は怒りを抑え、カシャムに話す。
「貴様らを招集したのは他でもない。極めて重大な使命を授けるためだ。我が輩の運命を左右するほどのな。……いいか? 言うぞ? 全力でその汚い魂に刻み込め」
アルバティス王は飛び地を襲撃するよう話し、ネオンと、ついでにブリジットの似顔絵を見せる。
カシャムは顎を撫でながら品定めし、頭の中で計画を立てた。
「……ふーん、ガキとメイドね。"捨てられ飛び地"で領主なんてけったいなことだ。それにしても、パッとしねえガキだな。こいつは殺すとして、メイドは好きにしていいんだな? なかなかの美人だ」
「構わん。好きにしろ。ほら、さっさと"捨てられ飛び地"に行け。宮殿の地下にある"転送の間"で転送してやる。運命の歯車は動き始めたぞ!」
シッシッと払いのけるようにして言ったが、カシャムは手を出したまま動かない。
「……なんだ、その手は?」
「なんだって、金に決まってるだろ」
「金だと!?」
「ただで襲撃するわけないじゃねえか。"捨てられ飛び地"なんて言ったら、瘴気が蔓延る危険な土地だ。そんな場所に、王様はタダで襲撃させようってのかい? えぇ?」
盗賊の滅茶苦茶な論理に辟易する。
躊躇したが金を払った方が確実だと思い、前金として2500万ルクスもの大金を払うことになった。
残りの2500万ルクスは、ネオンの首と交換だ。
(クソがっ! 国民どもから搾り取った我が輩の税金だぞ!)
悔しさを噛み締めて小切手にサインをし、ぞんざいに渡す。
「ほら、これでいいだろ! ありがたく受け取れ、愚か者め!」
「あんがとよー。ははっ、これが王様の字かよ。ミミズの行進か?」
「黙れっ」
こんな輩に字を馬鹿にされたことが猛烈に腹立つ。
苛立つアルバティス王を置いて、カシャムとその部下は出口へと向かう。
「待て! そっちは"転送の間"ではないぞ!」
慌てて止めると、カシャムはゆったりと振り返った。
「慌てなさんな、王様。そんなすぐには行けねえさ。一度散らばった仲間を集めなきゃならんし、色々と仕事が溜まってるからな。盗賊にも準備って物が必要なんだよ」
「チッ! まぁ、いい! 残りの金はネオンの首と交換だからな!」
「わかったわかった。ちゃんと殺してやるよ……おい、お前ら、撤収だ。仲間に連絡しろ。でかい仕事が入ったってな」
カシャムはがなり立てるように部下に命じ、乱雑な音を立てて立ち去る。
静寂が戻った"王の間"で、アルバティス王は勢いよく拳を突き上げた。
「……よし! これでネオンは破滅だ! 王国騎士団でも手のつけられなかった盗賊団だぞ! あんなクソガキに勝てるはずがない! たった今を持って、ネオンの破滅の運命は決定したのだ!」
「いやはや、今日は楽しみの嵐で眠れませんね! 眠るどころか、興奮で踊り出しそうですよ! 新しい祭りの日に制定しますか!?」
「あいつの首が届けられるのは、いつになるんでしょうね! 待ち焦がれてスモークになっちまいそうだ! ヒャハハハハッ!」
"王の間"に、父親と双子兄の卑劣な高笑いが響く。
手練れの盗賊団に襲われ、憎きネオンは惨めに死ぬ……そう思っていた。
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