弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第36話:超大国たちの反応2①

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 ネオンがティアナと別れてから、数日後。
 超大国の元に“捨てられ飛び地”の新たな情報が届いた。

 ◆◆◆


 ~エルストメルガ帝国の場合~

 第一王女のシャルロットは、宮殿の中庭でジッと待っていた。
 ネオンについての情報を受けて以来、新たな情報を待ち望む毎日だ。
 最近はすぐに連絡を確認できるよう、ここで公務をするほどだった。
 ヒュンッというわずかな風切り音を聞いた瞬間、シャルロットの気分は著しく高揚した。

(……来た!)

 空を見ると、白く煌めく小さな物体が見える。
 一瞬の後、ガラス瓶が空から降ってきた。
 網を張った大きな箱がぼすんと受け止め、シャルロットは意気揚々と駆ける。

(やっと新しい情報が届いた!)

 ルイザの報告方法は"投擲"であった。
 ガラス瓶に羊皮紙を詰め、本国の方向に投げる。
 彼女の類い希な方向感覚と投擲技術により、ちょうど中庭の専用スペースに落ちるのだ。
 わくわくして瓶を開けたシャルロットは、記された内容を読む。
 瘴気病の下りに差し掛かったとき、ルイザたちを思って胸が痛んだ。

(飛び地の瘴気は、私たちが予想するより酷かったのね……。帝国の調査不足だわ……反省しないと。すぐに議会で報告しなきゃ。ネオン君、ルイザたちを救ってくれてありがとう)

 やがて、ルイザが鍬を持ち出した話に移ると、徐々にその表情が硬くなる。
 制裁に関する情報は、至極シビアなものだったからだ。

「これはちょっと……想定外ね」

 険しい顔で小さく呟くと"帝王の間"に急ぎ、ノックもせずに入室した。
 コツコツと歩く娘を見て、父親かつ現帝王のグリゴリーはため息をつく。

「だから、入るときはノックをしなさいと、何度も言っておるだろう。どうして、あいつのお淑やかさを引き継がなかったんだ」
「そんなことはいいから、ちょっとこれを見て。ルイザからの新しい情報よ」
「ふむ……見せてくれ」

 シャルロットが差し出した羊皮紙を読むと、グリゴリーもまた同じように表情が硬くなっっていった。

「瘴気病か。飛び地の状況は帝国の予想より悪かったと言える。ネオン少年には感謝せねばなるまいな」
「そこも重要だけど、その先も読んで」

 シャルロットに促され、グリゴリーはさらに目を走らす。
 最後まで読むと、ふーっと深いため息をついた。

「……神器が持つ"制裁"とは、これほど強力なものなのか。あの"拳撃の戦乙女"、ルイザが手も足も出ないとは」
「神器を持ち出すには、ネオン君の許可が必要ってことね」

 シャルロットは呟くように話す。
 考えなくとも、これはかなり難易度の高い制約だとわかる。
 グリゴリーは思案した後、結論を口にした。

「ネオン少年が信頼してくれるよう、まずは領地開拓に精一杯協力することだな」
「そうね。私もそれが一番だと思うわ。いずれ帝国に来てもらいたいことも考えると、信頼関係を築くのは大切よ」

 シャルロットが頷き返したところで、突然グリゴリーが咳き込んだ。

「……ゲホッ、ゴホッ!」
「パパ、大丈夫!?」

 咳き込むグリゴリーに、シャルロットが駆け寄る。
 必死に背中をさすっていると、大事な父親は息も絶え絶えに言った。
 
「朕、がいなく、なった後は、帝国を頼、むぞ……シャルロット」
「そんなこと言わないでよ!」

 エルストメルガ帝国は経済も武力も安定した国だが、懸念が一つある。
 グリゴリーの病気だ。
 国内外のあらゆる薬や回復魔法は効果がなく、じわじわと死期が近づくのを待つばかりだ。 シャルロットは唇を硬く噛みしめていたが、一つの可能性に行き着いた。
 真剣な眼差しで父親を見る。

「パパ、病気を治す方法が一つだけあるわ」
「な、なに……?」
「瘴気病を治したというこの薬を、どうにかしてネオン君に分けてもらうのよ」

 状況を考えると、これしかないという手段だった。
 グリゴリーが何か言う前に、ルイザへの指示を記した羊皮紙をしたため、特急で国境に届けるよう手配する。

(ネオン君、お願い。パパを助けて……)

 シャルロットは顔も知らぬ少年に、深く祈りを捧げる。
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