43 / 115
第43話:超大国たちの反応3③
しおりを挟む
~ユリダス皇国の場合~
これまた時を同じくして、ユリダス皇国。
皇帝のバルトラスは心臓の痛みに耐えかね、寝室で横になるばかりであった。
周りではたくさんの医術師や薬師が懸命に治療を進めるが、容態は悪化の一途を辿る。
時が経つにつれ彼らにできる行動は減り、祈るしかなかった。
ずしりとした暗くて重い空気が室内を支配する中、タタタッ……と廊下を走る音が聞こえる。
音が止まったとき、扉がカチャッと開き少女が顔を出した。
「薬……届いた!」
「「ラヴィニア様!」」
ベッドに走る彼女を、医術師も薬師も祈るように見る。
バルトラスの病気はキアラの調合した薬でも治せず、もう手の打ちようがない。
飛び地で領主を務めるというネオンが、文字通り最後の希望であった。
顔のすぐ横に来た孫娘を見て、バルトラスは消え入るように呟く。
「……ワシはもうダメかもしれんの……」
「やだ! お爺様は絶対に生きるの! 急いでこれ飲んで! 絶対、絶対病気治るから!」
「むごっ……」
ラヴィニアは半ば無理やりエリクサーを飲ませる。
自分のペースなどおかまいなしに注がれることの方が苦しかったが、全部飲み終わった瞬間、バルトラスは確かな異変を感じ取った。
「胸が……心臓が……楽じゃ! 心臓の鼓動も落ち着いておるし、何より苦しゅうないぞ!」
「「! それは真ですか、皇帝陛下! 直ちに診察を……!」」
医術師や薬師が心臓の状態を確認するが、至って健康そのものだ。
バルトラスの命を蝕んでいた病は、もうどこにもない。
完治が確認され、室内は大歓声が沸く。
「「治った……皇帝陛下の病気が治ったぞー!」」
バンザーイ!と各々が叫ぶ中、バルトラスとラヴィニアは強く抱き合う。
「薬を貰おうと言ってくれてありがとうの、ラヴィニア」
「お爺様……元気になってよかった……!」
「ネオン少年にも感謝の気持ちを伝えに行こうの」
「私も……絶対に行く……!」
(ありがとう、ネオン……。ネオンのおかげで……お爺様元気になった……)
ラヴィニアの頬を、熱い涙が伝う。
◆◆◆
国家元首たちとその娘は、みなネオンに感謝し、それぞれのスパイにも感謝と労いの言葉をかける。
ネオンは最早、一介の領主から"命を救ってくれた恩人"に何段階もランクアップした。
また、国家元首たちは病気が完治したことで、「ライバル国より一歩リードした!」とも喜んだ。
実際のところはみんな一緒に治っているのでリードも何もないのだが、彼らは知る由もない。
結局、ネオンは自分の知らないところで三大超大国の国家元首たちの命を救い、結果として多大な恩を売ってしまうのであった。
各国家元首たちは感謝の意を示すため、命を救ってくれたお礼の品の手配を始め、”捨てられ飛び地”に向かう準備も進める。
深い感謝を伝え、自国への勧誘をするために……。
これまた時を同じくして、ユリダス皇国。
皇帝のバルトラスは心臓の痛みに耐えかね、寝室で横になるばかりであった。
周りではたくさんの医術師や薬師が懸命に治療を進めるが、容態は悪化の一途を辿る。
時が経つにつれ彼らにできる行動は減り、祈るしかなかった。
ずしりとした暗くて重い空気が室内を支配する中、タタタッ……と廊下を走る音が聞こえる。
音が止まったとき、扉がカチャッと開き少女が顔を出した。
「薬……届いた!」
「「ラヴィニア様!」」
ベッドに走る彼女を、医術師も薬師も祈るように見る。
バルトラスの病気はキアラの調合した薬でも治せず、もう手の打ちようがない。
飛び地で領主を務めるというネオンが、文字通り最後の希望であった。
顔のすぐ横に来た孫娘を見て、バルトラスは消え入るように呟く。
「……ワシはもうダメかもしれんの……」
「やだ! お爺様は絶対に生きるの! 急いでこれ飲んで! 絶対、絶対病気治るから!」
「むごっ……」
ラヴィニアは半ば無理やりエリクサーを飲ませる。
自分のペースなどおかまいなしに注がれることの方が苦しかったが、全部飲み終わった瞬間、バルトラスは確かな異変を感じ取った。
「胸が……心臓が……楽じゃ! 心臓の鼓動も落ち着いておるし、何より苦しゅうないぞ!」
「「! それは真ですか、皇帝陛下! 直ちに診察を……!」」
医術師や薬師が心臓の状態を確認するが、至って健康そのものだ。
バルトラスの命を蝕んでいた病は、もうどこにもない。
完治が確認され、室内は大歓声が沸く。
「「治った……皇帝陛下の病気が治ったぞー!」」
バンザーイ!と各々が叫ぶ中、バルトラスとラヴィニアは強く抱き合う。
「薬を貰おうと言ってくれてありがとうの、ラヴィニア」
「お爺様……元気になってよかった……!」
「ネオン少年にも感謝の気持ちを伝えに行こうの」
「私も……絶対に行く……!」
(ありがとう、ネオン……。ネオンのおかげで……お爺様元気になった……)
ラヴィニアの頬を、熱い涙が伝う。
◆◆◆
国家元首たちとその娘は、みなネオンに感謝し、それぞれのスパイにも感謝と労いの言葉をかける。
ネオンは最早、一介の領主から"命を救ってくれた恩人"に何段階もランクアップした。
また、国家元首たちは病気が完治したことで、「ライバル国より一歩リードした!」とも喜んだ。
実際のところはみんな一緒に治っているのでリードも何もないのだが、彼らは知る由もない。
結局、ネオンは自分の知らないところで三大超大国の国家元首たちの命を救い、結果として多大な恩を売ってしまうのであった。
各国家元首たちは感謝の意を示すため、命を救ってくれたお礼の品の手配を始め、”捨てられ飛び地”に向かう準備も進める。
深い感謝を伝え、自国への勧誘をするために……。
74
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。
現代では中世近世史を研究する大学講師。
史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。
ならば変える。
剣でも戦でもない。
政治と制度、国家設計によって。
秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、
戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。
これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。
戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。
(2月15日記)
連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。
一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
(当面、月、水、金、土、日の更新)
大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる