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第44話:地面より
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ネオンがエリクサーを渡してから、およそ一週間後。
一時的にブリジットから離れている瞬間、スパイ三人がお礼を言いに来た。
「……ネオン、お前のおかげで帝国の大切な人も健康になったみたいだ。助かったよ」
「連邦に残した大切な人は、病気が完治したらしい。ネオン君は恩人だと、しきりにお礼を言っていた」
「皇国の仲間から、大切な人が無事に快復した旨の報告を受けました。ネオンさんがいなかったら死んでいたでしょう」
ルイザもベネロープもキアラも、揃って「本当にありがとう」と笑顔で礼を述べる。
ネオンもまた、笑顔で言葉を返す。
「いえいえ、僕は自分にできることをやっただけですから。元気になってくれてよかったです」
彼女たちはネオンの言葉を聞くと、胸がきゅんっと心地よく痛むのを感じた。
そのまま、本能に従うように頬を赤らめながら彼に迫る。
「あたしは……お前にお礼をした方がいいと思うんだ」
「奇遇だね、ボクも同意見さ……。ネオン君にお世話になってばかりじゃダメだから……」
「わたくしもそうです……。ネオンさん、希望があったら何でも言ってくださいね……」
三方向から迫られ、逃げることができない。
あわあわとする間に、あっという間に距離が縮まる。
「え……あ、いえ、ちょっと……」
しどろもどろのネオンが完全にスパイ三人に囲まれてしまった、そのとき。
「……何をしているのですか?」
「「ブリジット!」」
モーセの水割りの如く女性の壁が割られ、ブリジットが姿を現した。
すかさず、ネオンは彼女の下に回収され、がっしと力強く抱き締められる。
ブリジットは魔物も殺すほどの、鋭い視線でスパイ三人を睨みつける。
「私のネオン様に何をしていたのですか」
「な、何って、ただお礼をしようとしただけだよっ。何もしてないってっ」
「そ、そうさっ。いかがわしいことをしようとした、みたいに言わないでくれたまえっ」
「へ、変なことは何もしておりませんっ。感謝の意を示そうとしただけですわっ」
スパイ三人の文句兼弁明を聞いた後、ブリジットは左手をすっ……と顔の横に上げた。
「「そ、それは……!」」
「私とネオン様の愛を証明する指輪です。ネオン様の"妻"は私。それだけは忘れないようにしてくださいね。お礼をするなら、離れた場所からしなさい」
「「ぐぎぎ……」」
愛の誓いを見せつけられ、スパイ三人は激しく歯軋りする。
ネオンは彼女たちとブリジットの間をどうにか取り持ちながら、領地の開拓に思いを馳せる。
自分たちと領民の懸命な努力により、今では従来の三倍ほどの領地まで浄化された。
畑だけでなく木々も植樹し始めており、今や地面もふんわりとした草花で覆われ、土地全体もだいぶ緑豊かになっていた。
いずれ訪れるであろうティアナたち"兎獣人"の住居スペースも、無事に確保できつつある。 ネオンは飛び地全域を開拓したいところだが、超大国から見えると困るので、どの辺りまで開拓を進めるか検討する毎日だ。
――領地の発展が三大超大国にバレていないといいな~。この加減が難しい。
実際のところは、バレているどころか国家元首の命をすでに救っているのだが、当のネオンに知る由もない。
そこまで考えたところで、不意にブリジットに腕を掴まれた。
一悶着が終わったらしく、悔しそうなスパイ三人に対してどこか得意げな顔であった。
「さあ、ネオン様。私たちの愛の巣に帰りましょう。あの者たちのせいで汚れた身体を清めなければ」
「ど、どこも汚れてないよ」
「何を仰いますか。とても薄汚れて……ネオン様、こちらに!」
「うわっ、な、なんだぁ!?」
突然、周囲の地面がボコボコと隆起し始めた。
人型サイズのモグラ塚を思わせる、不思議な隆起がいくつも。
土塊を勢いよく弾き飛ばして出現した、その褐色肌の人間たちを見て、ネオンもブリジットもスパイ三人も領民も同時に驚きの声を上げた。
「「エ、エルフ!?」」
一時的にブリジットから離れている瞬間、スパイ三人がお礼を言いに来た。
「……ネオン、お前のおかげで帝国の大切な人も健康になったみたいだ。助かったよ」
「連邦に残した大切な人は、病気が完治したらしい。ネオン君は恩人だと、しきりにお礼を言っていた」
「皇国の仲間から、大切な人が無事に快復した旨の報告を受けました。ネオンさんがいなかったら死んでいたでしょう」
ルイザもベネロープもキアラも、揃って「本当にありがとう」と笑顔で礼を述べる。
ネオンもまた、笑顔で言葉を返す。
「いえいえ、僕は自分にできることをやっただけですから。元気になってくれてよかったです」
彼女たちはネオンの言葉を聞くと、胸がきゅんっと心地よく痛むのを感じた。
そのまま、本能に従うように頬を赤らめながら彼に迫る。
「あたしは……お前にお礼をした方がいいと思うんだ」
「奇遇だね、ボクも同意見さ……。ネオン君にお世話になってばかりじゃダメだから……」
「わたくしもそうです……。ネオンさん、希望があったら何でも言ってくださいね……」
三方向から迫られ、逃げることができない。
あわあわとする間に、あっという間に距離が縮まる。
「え……あ、いえ、ちょっと……」
しどろもどろのネオンが完全にスパイ三人に囲まれてしまった、そのとき。
「……何をしているのですか?」
「「ブリジット!」」
モーセの水割りの如く女性の壁が割られ、ブリジットが姿を現した。
すかさず、ネオンは彼女の下に回収され、がっしと力強く抱き締められる。
ブリジットは魔物も殺すほどの、鋭い視線でスパイ三人を睨みつける。
「私のネオン様に何をしていたのですか」
「な、何って、ただお礼をしようとしただけだよっ。何もしてないってっ」
「そ、そうさっ。いかがわしいことをしようとした、みたいに言わないでくれたまえっ」
「へ、変なことは何もしておりませんっ。感謝の意を示そうとしただけですわっ」
スパイ三人の文句兼弁明を聞いた後、ブリジットは左手をすっ……と顔の横に上げた。
「「そ、それは……!」」
「私とネオン様の愛を証明する指輪です。ネオン様の"妻"は私。それだけは忘れないようにしてくださいね。お礼をするなら、離れた場所からしなさい」
「「ぐぎぎ……」」
愛の誓いを見せつけられ、スパイ三人は激しく歯軋りする。
ネオンは彼女たちとブリジットの間をどうにか取り持ちながら、領地の開拓に思いを馳せる。
自分たちと領民の懸命な努力により、今では従来の三倍ほどの領地まで浄化された。
畑だけでなく木々も植樹し始めており、今や地面もふんわりとした草花で覆われ、土地全体もだいぶ緑豊かになっていた。
いずれ訪れるであろうティアナたち"兎獣人"の住居スペースも、無事に確保できつつある。 ネオンは飛び地全域を開拓したいところだが、超大国から見えると困るので、どの辺りまで開拓を進めるか検討する毎日だ。
――領地の発展が三大超大国にバレていないといいな~。この加減が難しい。
実際のところは、バレているどころか国家元首の命をすでに救っているのだが、当のネオンに知る由もない。
そこまで考えたところで、不意にブリジットに腕を掴まれた。
一悶着が終わったらしく、悔しそうなスパイ三人に対してどこか得意げな顔であった。
「さあ、ネオン様。私たちの愛の巣に帰りましょう。あの者たちのせいで汚れた身体を清めなければ」
「ど、どこも汚れてないよ」
「何を仰いますか。とても薄汚れて……ネオン様、こちらに!」
「うわっ、な、なんだぁ!?」
突然、周囲の地面がボコボコと隆起し始めた。
人型サイズのモグラ塚を思わせる、不思議な隆起がいくつも。
土塊を勢いよく弾き飛ばして出現した、その褐色肌の人間たちを見て、ネオンもブリジットもスパイ三人も領民も同時に驚きの声を上げた。
「「エ、エルフ!?」」
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