弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第48話:一緒に住みましょう

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 しばらく領地を案内した後、ジャンヌはほぅっ……とため息をついた。
 未だ発展を続ける領地を眺めてから、ネオンを真剣な表情で見る。

『ネオンよ。妾はお前を誤解しておった。あれほど強力な瘴気を、こんなに浄化してくれていたんじゃな。地底エルフにとって、土地は命。恩人とも言える人間を殺そうとするなんて、妾たちは大変な愚か者じゃ』
「いえ、もう気にしないでください」
『……ありがとうのぉ。お前は優しい人間じゃ』

 ネオンの優しさに心が温かくなった後、ジャンヌは"捨てられ飛び地"の歴史を話し出した。

『あれはたしか……もう千年前じゃった。妾たちは元々、この土地で平和に暮らしていたんじゃよ。じゃが、人間同士の戦争が起きての。ヤツらが撒き散らした瘴気は互いに混じり合い、著しく毒性を増した。いつかまた暮らせることを願って、真下にある地下洞窟に移住したんじゃ』
「そんな歴史があったのですか……」

 アルバティス王国や三大超大国に、"捨てられ飛び地"の詳細な歴史は伝わっていない。
 正確には、長い年月で情報が風化してしまったのだ。
 ジャンヌは悔しげな表情で言葉を続ける。

『妾は……妾たちは……また太陽の下で暮らしたかっただけなんじゃ……。それなのに、妾は話を聞こうともせず、お主らを襲ってしまった。謝っても謝りきれん。そこの薬師的な女も怖い思いをさせて悪かったな。どうか許してくれ』
「いえ、わたくしは大丈夫です。怪我もしていませんし。むしろ、怪我をしないように加減してくれたのですよね」

 ジャンヌたち地底エルフは、本当は優しい。
 キアラも含め、この場の誰もがそう思っていた。
 ネオンはブリジットと顔を見合わせる。
 互いに無言で頷き合うと、ジャンヌに手を差し伸べた。

「もしよかったら……この土地で僕たちと一緒に暮らしませんか?

 ネオンの言葉は、ジャンヌの心にすとんと落ちた。

(妾たちも……ここで……? この緑豊かな土地で、太陽の下で暮らせる……?)

 周りを見渡すと、木々や草花が爽やかな風に揺れ、空には白くて力強い太陽が昇る。
 目に映るどれもが、彼女と地底エルフたちの心に明るい光となって差し込まれた。

(地底に退避する前……いや、千年前よりずっと豊かになっている。まさしく、地底で思い描いていた……ユートピアそのものじゃ)

 喜びがじわじわと、彼女の胸にあふれる。
 ふと、ネオンは何かに気づいたように言った。

「……あっ、すみません。元々はジャンヌさんたちの土地でしたよね。だったら、領主も……」
『いや、結局のところ、妾たちは瘴気の浄化から逃げたんじゃ。懸命に努力すれば、対策が見つかったかもしれんのに。じゃから、この土地は……豊かにしてくれたこの土地は、ネオンが統治するべきなんじゃ。妾たちも住まわせてくれたら……嬉しいのぉ』
「ジャンヌさん……」

 ネオンはこほんっと軽く咳払いし、右手をそっと差し出した。
 
「では、改めて……僕たちと一緒に住みませんか?」

 ジャンヌは握手仕返すと、仲間の地底エルフたちとともに笑顔で叫んだ。

『『絶対住むー!』』
「ありがとうございます! これからよろしくお願いしますね!」
『こちらこそじゃー!』

 わあああ!という大歓声が領地を包む。
 地底エルフはみな笑顔で互いに喜びを分かち合う。
 もちろん、ルイザやベネロープ、そしてキアラたち元からいる領民もそうだ。
 ネオンは温かい目で彼女らを見守る中、隣を見るとブリジットの冷たい視線に気づいてしまった。
 研ぎ澄まされたナイフのような視線。

 ――え……。もしかして、本当は嫌だった?

 ごくりと唾を飲み込み、彼女に尋ねる。

「ど、どうしたの……そんなに凍てついた目でジャンヌさんたちを見て……。視線だけで切れちゃいそうだよ」
「……なぜ、こうも女性が多く集まるのでしょうかね」
「え! な、なんでだろうねぇ。僕には何とも……」
「ネオン様の魅力が世界に伝わり、領地が発展するのは私の目的でございますが、女性が増え過ぎるのはあまり好ましくないのであってですね……」

 ネオンは不機嫌なブリジットを懸命に宥める。
 何はともあれ、ジャンヌたち地底エルフが"捨てられ飛び地"の新たな領民となった。
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