弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第59話:ブリジットの戦い

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 先に敵と接触したのはブリジットだ。
 猛烈な速度で迫る彼女に対し、ライアンは落ち着いた様子で槍を突き出す。

「オレの槍に触れたら死ぬぞ……<毒蛇連突>!」

 残像を生み出すほどの槍の突き出し。
 槍に注ぎ込まれたライアンの魔力は何体もの毒の蛇となり、ブリジットに襲い掛かった。
 上下左右、俊敏な動きで這い寄る。

(それぞれが、致死に至る毒を持っているようですね! それなら……!)

 ブリジットもまた、ネオンが生成してくれた<神裂きの剣>に魔力を込める。

「消えなさい……<叩撃>!」

 槌を思わせる巨大な衝撃波を叩きつけ、毒蛇を消滅させた。
 彼女は豊富な経験値により、神器を長年の愛刀のように使いこなしていた。
 距離を保ったまま、ライアンの持つ槍を見つめる。
 それから放たれる禍々しいオーラは、ただの武器ではないことを物語った。

(あの槍……伝説級はあると見て間違いないですね。おそらくは盗品でしょうが)

 ライアンの槍の名は、<接死の必槍>。
 使用者の魔力を毒属性に変換し、敵を殲滅する武器だ。
 ブリジットの見立て通り、伝説級の武器だった。
 盗品であることも、またその通りだ。
 正式な保有国はカカフ連邦。
 連邦の宝物庫を襲い、奪ったのはもう半年前ほどのことだった。
 ライアンは槍を構え、今度は自分に魔法をかける。

「お前の死体は高く売れそうだ……<五分身>!」

 一度に五体もの分身を生み出す、超上級の魔法だ。
 全てがライアンの精緻なコピーであり、上級の魔法使いでもまったく違いがわからない。
 ブリジットは迫り来る分身を即座に分析する。

(最奥にいるのが本体……いや、本体は前から三体目!)

 分身はいずれも極めて高精度だったが、微妙な魔力の揺らぎから、前から三体目の分身が本体と見抜いた。
 ライアンはすでに本体がバレているとも気づかず、分身とともに高速で槍を突き出す。

「「<毒蛇連突・五増>!」」

 初撃の五倍を超える毒蛇が生み出され、ブリジットに急襲する。
 視界のほとんどを覆いかねない量だったが、当の本人は至って冷静だった。

(分身が放った攻撃は、それもまた分身に過ぎません)

 注意すべきは、本体の毒蛇のみ。
 剣の衝撃波で消滅させ、分身の攻撃は全て無視して、一直線に本体に向かう。
 最短距離で向かってくるブリジットに、ライアンはじわりと嫌な汗をかく。
 それでも、最後まで気取られないよう顔には出さなかった。
 ブリジットの喉元を狙い、猛スピードで槍を振るう。
 
「死して麗人の亡骸となれ!」
「私はこんな場所では死にません……<剣嵐>!」
「かっ……!」

 ライアンの全身に、無数の剣撃が走る。
 盗品の所在を確かめる必要があるし、罪を償わせなければならない。
 殺してしまっては情報が手に入らなくなるので、あくまでも助命の一撃であり、<接死の必槍>も破壊しないよう配慮した。
 命のやりとりでもそこまでする余裕があるのが、(元)伝説級冒険者たる所以だった。
 気絶する前の一瞬、ライアンは問う。

「な、なんで……こんなに強いんだ……!」
「愛する人が……いるからです」

 その言葉が耳に届くのと同時に、ライアンは地面に崩れ落ちる。
 時を遡ること少し、ネオンもまた己の敵と戦っていた。
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