弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第60話:戦いの行く末

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「……これでも喰らいな、王子様!」

 勢いよく斧が振り下ろされ、砕け散った大地の破片がネオンを襲う。

 ――ブリジットとの修行を思い出せ!

 ネオンは破片の軌道をよく見切り、自分に直撃する物だけ打ち落とした。
 <神裂きの剣>ならば衝撃波で一度に破壊できたが、なるべく手の内は見せない立ち回りを意識していた。
 素早い動きを披露したネオンを見て、カシャムは笑う。

「なかなかやるじゃねえか。王子様でも剣の修行はしてきたみたいだな」
「いつお前たちみたいな盗賊に襲われるかわからないからね」

 ネオンは答えながら、カシャムの斧と鎧を見据える。
 <鑑定リング>で素材を鑑定したり神器を生成するうちに、物を見る目が著しく養われた。
 カシャムの装備はいずれも、アルバティス王国の国宝に匹敵すると考えられる。

「その斧はただの斧じゃない。身につけている鎧だって、すごく上等な品だ。市場では買えないほどの」
「ご名答。俺の斧――<星屑の戦斧>は伝説級だ。とある国から盗んだ自慢の一品さ。ついでに言うと、俺の鎧もそうだな。こいつは<夢幻の鎧>。反射の術式が刻まれているから、魔法も物理攻撃も禁忌だぜ」

 ネオンの見立てに、カシャムは驚きの口笛を吹きながら答える。
 <星屑の戦斧>はエルストメルガ帝国から、<夢幻の鎧>はユリダス皇国から盗んだ。
 "夜鴉の翼"は盗んだ武器を売らずに装備して戦力を強化することで、瞬く間に一大組織へと駆け上がった……という歴史を体現するにふさわしい装備だった。
 カシャムは再び斧を振るい、今度は風の刃を飛ばしてくる。
 ネオンは躱しながら、その戦い方に疑問を感じた。

 ――さっきから、遠距離攻撃しかしてこないのはなぜ?

 敵と自分では、体格の差が著しい。
 てっきり斧を振り回してくるかと思ったが違った。
 単純な力任せによる戦術ではないことに、ネオンは思索を巡らす。
 一方で、カシャムもまた思案していた。

(……あいつの剣はヤベえ。今まで盗んだどんな武器よりもヤバい剣だ。無闇に近寄らず、隙を見て渾身の一撃を叩き込んだ方がいいな。最悪、カウンターを喰らっても、<夢幻の鎧>なら反射できるはずだ)

 盗賊としての目が、<神裂きの剣>の威圧感を感じ取った。
 カシャムは手の平大の煙玉を投げ、地面の破片を当てて爆発させる。
 瞬時に紫色の重い煙が立ちこめ、ネオンは目と喉のピリつく痛みを感じた。

 ――これは……毒が囮の目眩まし!
 
 毒をブラフに置いた目眩ましだとすぐに気づけたのは、カシャムの戦術について思索を巡らせていたからだ。
 ネオンは剣に魔力を注ぐ。

「<波動破>!」

 剣の衝撃波で煙を吹き飛ばした瞬間、ネオンは真上に殺気を感知した。
 何かを振りかぶり、今にも振り下ろしそうな大柄の殺気を。
 
 ――真上に……あいつがいる!

 ブリジットとの訓練や魔物の討伐を経て、殺気や気配を感知できるようになったのだ。
 ネオンは真上を見て、斧を振りかぶったまま驚愕するカシャムに剣を突き上げる。

「みんなは僕が守る……<飛天>!」
「が……はぁっ! なんで、俺の行動が……!」

 刀身を覆うネオンの魔力は高速で伸び、<夢幻の鎧>ごと肺を貫いた。
 10mほども離れていたが、魔力の衝撃波で刀身を伸ばすことでリーチの短さを補ったのだ。
 頼みの綱だった反射の魔法陣も、理不尽とも言える膨大な神器の魔力を叩きつけられ、いとも簡単に弾け飛んでしまった。
 致命傷を負ったカシャムは落下し、地面に激しく身体を打ち付ける。
 立ち上がろうとするが、全身のダメージが大きすぎて無理だった。
 
「こ、こんなガキに……俺が……」

 呟くように言葉を残し、力なく気絶した。
 ネオンは安心することなく、警戒心を持ったまま周囲を見る。
 まだ、リーダーを倒したに過ぎない。

 ――ブリジットや他の人たちは!?

 30対100という人数差が心配だったが、飛び地側の優勢だった。
 優勢どころか勝負はほとんどこちらの勝利で終わっており、領民が倒れた盗賊を縄で縛っている。
 剣を仕舞うと同時に、ブリジットが駆け寄ってきた。

「やりましたね、ネオン様! 敵のリーダーを一撃で倒すとは、お見事でございます! もうずいぶんと強くなられましたね」
「ありがとう、いつもブリジットが訓練をつけてくれているおかげだよ」

 神器は強いが、日々の努力を怠っては勝てるものも勝てない。
 毎日の努力が重要なことを、改めて実感する戦いだった。
 ブリジットと協力して、カシャムとライアンを縄で固く縛る。
 <星屑の戦斧>など貴重な武器も回収すると、ネオンはとある事実に気づいた。
 
「盗品は全部持ち主に返すとして……<夢幻の鎧>はどうしよう。壊しちゃったよ……」
「別に問題ないでしょう。あの状況ではそれ以外に方法はありませんでしたし、最優先は盗賊団の討伐です」

 ブリジットの力強い返答に勇気を貰ったところで、スパイ三人が合流した。
 奇襲の勢いそのままに制圧が完了し、盗賊は一人残らず確保したとのこと。
 カシャムはネオンが倒したと聞き、彼女たちは驚く。

「やるじゃないか、ネオン。こいつは帝国でも超上級の賞金首だよ」
「君のおかげで大政は喫したようなものだね。それにしても、いったいどこまで強くなるつもりなんだい? このままじゃ置いて行かれてしまうよ」
「神器を生み出せるだけじゃなく戦闘も強いなんて、まさしく完全無欠の少年でいらっしゃいます」

 三人とも、ネオンの勝利を讃えては褒める。
 "夜鴉の翼"は三大超大国のならず者で構成されているため、領民がそれぞれの母国に連行してくれることに決まった。
 ルイザ、ベネロープ、キアラが取り仕切るので安心できる。
 オモチたちウニ猫妖精も無事であり、盗賊を一カ所に集めた後合流した。
 ぴょんぴょんと跳ねては勝利を祝う。
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