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第61話:領地にて
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『『ネオン~、助けてくれてありがとウニニ~』』
「怪我がなくてよかったよ」
肩に飛び乗ったオモチを、ネオンは撫でる。
カシャム始め倒した盗賊は、逃亡や反乱の危険を回避するため、止血などの極めて簡単な応急処置のみ行った。
盗賊団は、痛みに呻きながらそれぞれの母国へと連行されていく。
ネオンはとある大事な頼み事を思い出し、ルイザ、ベネロープ、キアラに伝えた。
「それではよろしくお願いします。できれば、僕のことはあまり伝えないでくださいね。端っこでみんなを応援してた、みたいな内容でお願いします」
「「了解」」
スパイ三人は力強く頷くわけだが、内心は思い思いの考えを巡らせていた。
(これはさすがに、帝王様に伝えなきゃならんだろ)
(大総統に伝えなかったら、スパイの名折れだね)
(何が何でも皇帝陛下にお知らせしなければなりません)
無論、彼女たちは国家元首に詳しく伝える。
ネオンの凄さを。
かくして、"夜鴉の翼"との戦いは、ネオンたちの完全勝利で幕を閉じた。
□□□
"夜鴉の翼"が壊滅した日の夜。
盗賊はスパイ三人が無事に本国の国境に届けてくれたとのことで、領地では勝利を祝う宴が開かれていた。
領地の留守を守ったジャンヌと地底エルフは、戦闘の様子を何回も聞いては喜び、ブリジットたち、特にネオンを讃える。
『よくぞ盗賊どもを倒したな! 話を聞くだけで気分爽快じゃ! ネオンの活躍を聞いて妾も鼻が高いわ~、ぐわっはっはっはっは~!』
「ネオン様から離れなさい、この酔いどれエルフが」
纏わりつくジャンヌを、ブリジットが引き剥がしては歓声が上がる。
それだけならある意味いつも通りだが、今日は普段とは違う光景がテーブルに広がっていた。
色取り取りのウニ猫妖精たち。
せっかくなので、領地に招待したのだ。
すでにすっかり溶け込んでおり、領民たちに可愛がられていた。
ネオンもまた、手の平に乗せたオモチを撫でながら話す。
「明日になったらお別れかと思うと、なんだか寂しいな。でも、みんなにも住む場所があるんだからしょうがないよね」
そう言うと、オモチたちは互いに顔を見合わせる。
しばし沈黙が横たわった後、オモチが真剣な表情で告げた。
『ネオンがよかったら……ぼくたちも一緒に住まわせてほしいウニ』
「えっ、ここに?」
思わず問い返すと、ウニ猫妖精たちは静かに頷く。
『お水も食べ物もおいしいこんな豊かな土地は他にないウニし、ずっと探し求めていた安心できる理想郷だウニ。何より……ぼくたちはもっとネオンといたいんだウニ』
その言葉を聞き、ネオンは嬉しさがじわじわと胸にあふれる。
周りのブリジットや領民たちを見なくとも、彼らがどんな顔をしているか、どんな気持ちなのかよくわかった。
ネオンは嬉しさいっぱいの笑顔で歓呼する。
「もちろん、大歓迎だよ! 僕もオモチたちと一緒にいたい!」
『『やったウニー!』』
オモチたちウニ猫妖精は、今までで一番大きく跳ねて喜びまくる。
彼らが嬉しさを伝えるため全身に乗っかってくる中、ネオンは勢いよく盃を掲げた。
「このまま、オモチたちの歓迎の宴も開きましょう!」
「『賛成!』」
そこかしこから、盃のぶつかる音が天に響いた。
たくさんのウニ猫妖精を新しい領民に迎え、宴はより一層盛り上がる。
空に浮かぶは満天の星。
その日の"捨てられ飛び地"は、夜遅くまで笑い声が絶えなかった。
「怪我がなくてよかったよ」
肩に飛び乗ったオモチを、ネオンは撫でる。
カシャム始め倒した盗賊は、逃亡や反乱の危険を回避するため、止血などの極めて簡単な応急処置のみ行った。
盗賊団は、痛みに呻きながらそれぞれの母国へと連行されていく。
ネオンはとある大事な頼み事を思い出し、ルイザ、ベネロープ、キアラに伝えた。
「それではよろしくお願いします。できれば、僕のことはあまり伝えないでくださいね。端っこでみんなを応援してた、みたいな内容でお願いします」
「「了解」」
スパイ三人は力強く頷くわけだが、内心は思い思いの考えを巡らせていた。
(これはさすがに、帝王様に伝えなきゃならんだろ)
(大総統に伝えなかったら、スパイの名折れだね)
(何が何でも皇帝陛下にお知らせしなければなりません)
無論、彼女たちは国家元首に詳しく伝える。
ネオンの凄さを。
かくして、"夜鴉の翼"との戦いは、ネオンたちの完全勝利で幕を閉じた。
□□□
"夜鴉の翼"が壊滅した日の夜。
盗賊はスパイ三人が無事に本国の国境に届けてくれたとのことで、領地では勝利を祝う宴が開かれていた。
領地の留守を守ったジャンヌと地底エルフは、戦闘の様子を何回も聞いては喜び、ブリジットたち、特にネオンを讃える。
『よくぞ盗賊どもを倒したな! 話を聞くだけで気分爽快じゃ! ネオンの活躍を聞いて妾も鼻が高いわ~、ぐわっはっはっはっは~!』
「ネオン様から離れなさい、この酔いどれエルフが」
纏わりつくジャンヌを、ブリジットが引き剥がしては歓声が上がる。
それだけならある意味いつも通りだが、今日は普段とは違う光景がテーブルに広がっていた。
色取り取りのウニ猫妖精たち。
せっかくなので、領地に招待したのだ。
すでにすっかり溶け込んでおり、領民たちに可愛がられていた。
ネオンもまた、手の平に乗せたオモチを撫でながら話す。
「明日になったらお別れかと思うと、なんだか寂しいな。でも、みんなにも住む場所があるんだからしょうがないよね」
そう言うと、オモチたちは互いに顔を見合わせる。
しばし沈黙が横たわった後、オモチが真剣な表情で告げた。
『ネオンがよかったら……ぼくたちも一緒に住まわせてほしいウニ』
「えっ、ここに?」
思わず問い返すと、ウニ猫妖精たちは静かに頷く。
『お水も食べ物もおいしいこんな豊かな土地は他にないウニし、ずっと探し求めていた安心できる理想郷だウニ。何より……ぼくたちはもっとネオンといたいんだウニ』
その言葉を聞き、ネオンは嬉しさがじわじわと胸にあふれる。
周りのブリジットや領民たちを見なくとも、彼らがどんな顔をしているか、どんな気持ちなのかよくわかった。
ネオンは嬉しさいっぱいの笑顔で歓呼する。
「もちろん、大歓迎だよ! 僕もオモチたちと一緒にいたい!」
『『やったウニー!』』
オモチたちウニ猫妖精は、今までで一番大きく跳ねて喜びまくる。
彼らが嬉しさを伝えるため全身に乗っかってくる中、ネオンは勢いよく盃を掲げた。
「このまま、オモチたちの歓迎の宴も開きましょう!」
「『賛成!』」
そこかしこから、盃のぶつかる音が天に響いた。
たくさんのウニ猫妖精を新しい領民に迎え、宴はより一層盛り上がる。
空に浮かぶは満天の星。
その日の"捨てられ飛び地"は、夜遅くまで笑い声が絶えなかった。
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