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第74話:超大国たちの反応5②
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~カカフ連邦の場合~
時をほぼ同じくして、カカフ連邦でも"捨てられ飛び地"訪問の準備が進んでいた。
ガライアンとアリエッタは、ともに準備室で財宝を確認する毎日だ。
目の前の豪奢な長机には、命を救ってくれたことへのお礼と手土産が並ぶ。
宝物庫をそのまま持ってきたような煌めきが部屋を照らすが、ガライアンは足りないのではと心配になる。
「これくらいで大丈夫だろうか……。厳選に厳選を重ねたのだが……」
「十分過ぎますわ、お父様~。世の人々が見たら卒倒しかねない光景でございますの~」
不安になる父を、アリエッタは安心させる。
連邦の至宝、詩人ヴィアムスキーの初版本に、伝説的な魔導人形師フェドリゴの最高傑作"緑の貴婦人"、国内で最も純度の高い魔鉄の結晶。
連邦における数々の財宝であり、どれも世界中の資産家や権力者が欲しがる品々だった。
いくら金を積まれても譲ることはないが、相手がネオンならば話は別である。
自分を救った<神恵のエリクサー>は、連邦の歴史上でも最高峰の秘薬だった。
あれほどの神器を無尽蔵に生み出せる人間を引き込めるならば、どんな貴重な宝物も差し出す。
ガライアンは明朝出発することを部下に伝え、愛娘とともに大総統室に戻った。
「財宝を持って行くこともそうだが、一番大事なのは僕たちの誠意だな」
「お父様の仰る通りですわ~。ネオンちゃんの心を動かせるかどうかは、わたしたちにかかっております~」
「ああ、それだけは心に強く刻んでおかねばなるまい」
アリエッタは室内に自分たちしかいないことを確認すると、兼ねてから抱いていた思いを父に話す。
「お父様、一つ提案があるのですけれど……ネオンちゃんと結婚するのはどうかしら」
「…………ふむ」
娘の言葉に、ガライアンは思案する。
彼女はもう15歳。
結婚という言葉がチラつき始める年齢だ。
実際のところ、国内の有力貴族をあたるも良い男性が見つからず、困っていたのも事実だ。 考えれば考えるほど、ネオンはこれ以上ないほどの素晴らしい結婚相手だとわかる。
ガライアンは結婚の嬉しさと一抹の寂しさを胸に、力強く宣言した。
「むしろ、それしか考えられない! アリエッタが結婚するべきはネオン少年! 彼こそが、運命の相手だ!」
「ありがとうございますわ、お父様! わたし、絶対にネオンちゃんと連邦をもっと発展させて、世界一の国にしますわね!」
「ああ、ぜひそうしてくれ! ネオン少年との愛あふれる覇道、楽しみにしているぞ!」
娘の決断に、父は大いに喜ぶ。
ネオンはカカフ連邦においても、アリエッタの夫になってしまった。
□□□
翌日、朝早く。
官邸の前には何台もの馬車が立ち並んでいた。
土産の品々を運ぶ車輌に、護衛の者たち。
帝国と同じく、一人の少年を訪問するには大仰とも言えるほどの一団だ。
ガライアンは部下たちの前に立つと、力強く号令をかける。
「我らはこれより、アルバティス領"捨てられ飛び地"へと向かう! 彼の地には連邦をさらに発展させうる、ネオン少年が住む! 連邦の発展のため彼を引き込むこと、それが我らの任務だ! 全力で取り組むぞ……死してなお前に進め!」
「「死してなお前に進め!」」
部下の大きな返事が朝の官邸に響く。
父娘が乗り込むのは、シックな濃い紫色の馬車。
全面に刻まれた鮮明な黄色の装飾は、最上級の敬意の証だ。
ネオンに会う瞬間が、ガライアンもアリエッタも楽しみでしょうがない。
「いよいよ、この日が来た。馬車での移動がこれほどジリジリするのは初めてだな」
「願わくば飛んでいきたいけど、そうもいかないの~。だから待っててね~、ネオンちゃ~ん。未来の奥様が行きますよ~」
連邦の馬車もまた、ネオンが待つ"捨てられ飛び地"へと走る。
時をほぼ同じくして、カカフ連邦でも"捨てられ飛び地"訪問の準備が進んでいた。
ガライアンとアリエッタは、ともに準備室で財宝を確認する毎日だ。
目の前の豪奢な長机には、命を救ってくれたことへのお礼と手土産が並ぶ。
宝物庫をそのまま持ってきたような煌めきが部屋を照らすが、ガライアンは足りないのではと心配になる。
「これくらいで大丈夫だろうか……。厳選に厳選を重ねたのだが……」
「十分過ぎますわ、お父様~。世の人々が見たら卒倒しかねない光景でございますの~」
不安になる父を、アリエッタは安心させる。
連邦の至宝、詩人ヴィアムスキーの初版本に、伝説的な魔導人形師フェドリゴの最高傑作"緑の貴婦人"、国内で最も純度の高い魔鉄の結晶。
連邦における数々の財宝であり、どれも世界中の資産家や権力者が欲しがる品々だった。
いくら金を積まれても譲ることはないが、相手がネオンならば話は別である。
自分を救った<神恵のエリクサー>は、連邦の歴史上でも最高峰の秘薬だった。
あれほどの神器を無尽蔵に生み出せる人間を引き込めるならば、どんな貴重な宝物も差し出す。
ガライアンは明朝出発することを部下に伝え、愛娘とともに大総統室に戻った。
「財宝を持って行くこともそうだが、一番大事なのは僕たちの誠意だな」
「お父様の仰る通りですわ~。ネオンちゃんの心を動かせるかどうかは、わたしたちにかかっております~」
「ああ、それだけは心に強く刻んでおかねばなるまい」
アリエッタは室内に自分たちしかいないことを確認すると、兼ねてから抱いていた思いを父に話す。
「お父様、一つ提案があるのですけれど……ネオンちゃんと結婚するのはどうかしら」
「…………ふむ」
娘の言葉に、ガライアンは思案する。
彼女はもう15歳。
結婚という言葉がチラつき始める年齢だ。
実際のところ、国内の有力貴族をあたるも良い男性が見つからず、困っていたのも事実だ。 考えれば考えるほど、ネオンはこれ以上ないほどの素晴らしい結婚相手だとわかる。
ガライアンは結婚の嬉しさと一抹の寂しさを胸に、力強く宣言した。
「むしろ、それしか考えられない! アリエッタが結婚するべきはネオン少年! 彼こそが、運命の相手だ!」
「ありがとうございますわ、お父様! わたし、絶対にネオンちゃんと連邦をもっと発展させて、世界一の国にしますわね!」
「ああ、ぜひそうしてくれ! ネオン少年との愛あふれる覇道、楽しみにしているぞ!」
娘の決断に、父は大いに喜ぶ。
ネオンはカカフ連邦においても、アリエッタの夫になってしまった。
□□□
翌日、朝早く。
官邸の前には何台もの馬車が立ち並んでいた。
土産の品々を運ぶ車輌に、護衛の者たち。
帝国と同じく、一人の少年を訪問するには大仰とも言えるほどの一団だ。
ガライアンは部下たちの前に立つと、力強く号令をかける。
「我らはこれより、アルバティス領"捨てられ飛び地"へと向かう! 彼の地には連邦をさらに発展させうる、ネオン少年が住む! 連邦の発展のため彼を引き込むこと、それが我らの任務だ! 全力で取り組むぞ……死してなお前に進め!」
「「死してなお前に進め!」」
部下の大きな返事が朝の官邸に響く。
父娘が乗り込むのは、シックな濃い紫色の馬車。
全面に刻まれた鮮明な黄色の装飾は、最上級の敬意の証だ。
ネオンに会う瞬間が、ガライアンもアリエッタも楽しみでしょうがない。
「いよいよ、この日が来た。馬車での移動がこれほどジリジリするのは初めてだな」
「願わくば飛んでいきたいけど、そうもいかないの~。だから待っててね~、ネオンちゃ~ん。未来の奥様が行きますよ~」
連邦の馬車もまた、ネオンが待つ"捨てられ飛び地"へと走る。
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