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第1話:追放と置き去り
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「おい、無能テイマーのアイト・メニエン。お前はたった今、俺たちのパーティーから追放だからな。早く消えろ」
無事クエストを終えて、ギルドへ帰ろうという時だ。
突然、リーダーで<勇者>のジョブを持つボーランに言われた。
お前は追放だと。
……マジか。
最近パーティーメンバーの追放が流行っているとは聞いていたが、まさか俺も当事者になるとはな。
正直、嬉しい反面もあるにはあるが場所が悪すぎる。
「ちょっと待ってくれよ。いきなり追放だなんて、いくら何でも急すぎやしないか?」
俺たちはエスペランサ王国の冒険者パーティー“楽園の探索者”だ。
順調にクエストを達成し、ギルドの中でもだいぶ上級パーティ-になった。
そして、ここは地方都市のメトロポリ……ではなく、そこにあるAランクダンジョンの最下層だ。
繰り返すが、Aランクダンジョンの最下層だ。
もちろん、俺は追放されるようなやらかしをした覚えはない。
パーティーのため、とにかく必死に頑張ってきた。
ボーランは眉間に皺を寄せ俺に顔を近づける。
重そうな鼻ピアスとニキビだらけの顔がドアップになり、少々やるせない気持ちとなる。
「あぁ? 文句があんなら、何か言い返してみろ。“スライム一匹すらテイムできない”、無能テイマーのアイト君よぉ」
「あ、いやぁ、それを言われると耳が痛いのだが……」
「というか、お前本当にテイマーなのか? 何もテイムできないテイマーなんて、俺は初めて見たぜ」
「俺もそう思う」
この世界では、誰しもジョブを授けられる。
俺はテイマーだったのに、本当にスライム一匹テイムできなかった。
ここはボーラン氏の言う通りだ。
いや、スライムどころじゃない、普通の鳥や犬など単なる動物さえテイムできないんだよなぁ。
いくらやっても、全く言う事を聞いてくれないのだ。
「俺たちは全員Aランクだってのに。お前はずっとEランクじゃねえかよ。役立たずはさっさと消えてくれ。無能がうつるだろ」
「まぁ、それはそうなのだが俺も頑張って貢献してきたつもりだ。せめて追放はダンジョンを出てからにしてくれないか?」
俺はテイムできない代わりに、ありとあらゆる雑用をこなしてきた。
それも全てこんな俺を雇ってくれたパーティーのためだ。
回復薬や解毒薬の準備、諸々の支出入の管理、手に入れたアイテムの運搬……数え上げればきりがない。
しかも雑用とは名ばかりに、どれもクエストを達成するのに大切なことだった。
「あのなぁ、そんなことは誰でもできるんだよ。お前なんていなくても問題ないっての」
ボーランは心底うんざりした顔でため息交じりに言う。
誰でもできると言うが、彼が雑用をこなしている場面は一度も見たことがなかった。
「いい加減にしろよ、アイト。足手まといを追放して、何が悪いっての。リーダーがそう言ってんだから、素直に従えよ。このクズテイマー」
ボーランに賛同するように、彼の隣に立つ女が言う。
こいつは魔法使いのイリナ。
水系の魔法が得意で“激流の魔女”と呼ばれている。
気に入らないことがあるとすぐに怒り、それこそ激流のようにいつも俺に八つ当たりした。
「前から思っていたけど、役立たずのアンタとっても気持ち悪い。私の視界に入らないでくれる? 目が腐るから」
たたみかけるように、他のメンバーも罵倒(俺の)を始める。
この女は弓使いのルイジワ。
一撃で相手の急所を狙い撃ちすることから、“精緻の狙撃手”と呼び声が高い。
腕は立つが、俺の心も狙撃するのは止めてくれるかな。
「男の子なのに恥ずかしいとは思わないのですかね。これだから弱者男性は……」
うんざりした様子で呟くのは、女神官のタシカビヤ。
回復魔法の才能に恵まれ、“神秘の女神”などと言う人もいる。
しかし才能に恵まれたためか、無能と決めつけた人間を激しく見下す。
神官ならほんの少しでいいから慈愛の心を持ってほしいな。
見ての通りメンバーは俺以外女で、みんなボーランにベタベタくっついていた。
何だかんだ、こういう男はモテるのだろう。
真似したくはないがな。
「それなら……なぜ俺をメンバーに入れてくれたんだ?」
かねてからの疑問を尋ねる。
俺がテイムできないことは彼らも知っていたはずだ。
ギルドでは有名な話だったからな。
誰のパーティーにも入れてもらえず困っていた時に、ボーランたちから声をかけてきた。その恩に報いるため様々な無理難題……例えば、一人で四人分の荷物を持て、とか、ドラゴンの囮になって俺たちを逃がせ、とか、宿代が無料になるよう交渉しろ、とかだ。
ボーランはニチャァ……とした笑みを浮かべると心底楽しそうに言った。
「あ? そんなのストレス解消に決まってんだろ。ただのおもちゃだよ」
「……なに? おもちゃ?」
「そ、お前は俺たちのストレス解消要員だったってわけ。ただ日々の鬱憤をぶつけられる奴だったら、誰でも良かったんだよ。なぁ、お前ら?」
ボーランが女性陣に尋ねる。
全員、あっさりとうなずいた。
その反応を見ると、我らがボーラン氏は勝ち誇った様子で笑う。
「ほら、文句あるなら言ってみろよ。言えないよなぁ? だって、テイマーのくせに、スライム一匹テイムできないんだもんなぁ。え? もしかして、アイト君なにか勘違いしちゃってた? 俺たちは、お前に期待なんかしてなかったの。それなのに、何だか頑張っちゃって。お疲れさ~ん」
「……あらまぁ~」
予想外の返答に素の声が出ちゃった。
きっと、スライムもテイムできない俺は抵抗できない人間だとわかっていて、わざとパーティーに入れたのだろう。
自分が楽しむためにずいぶんと手の込んだことをするのだな。
ボーランがヘラヘラ笑いながら、俺の顔を覗き込む。
「アイトく~ん? 聞こえてまちゅかあ?」
「聞こえてるよ。この距離だからね」
「そろそろやめたげな。こいつの弱者な雰囲気にモンスターが引き寄せられたら面倒でしょ」
イリナがバカにした口調で言う。
弱者な雰囲気てなんだ。
むしろ、お前の怒号で寝ていたモンスターが起きたことは何度も……。
そう言おうとした時、モンスターの叫び声が聞こえた。
『ピィッ!』
「おっと、ほらアイト君。お前の陰気な空気のせいでモンスターが来ちゃったじゃん」
奥の方から、スライムが何体か出てきた。
ランクは最低のEランク、ザコ中のザコモンスターだ。
だが、今まで戦闘をしてこなかった俺では、実のところ倒せるかどうかわからない。
「ギャハハハ! 何かと思ったらスライムかよ! ちょうどいいじゃん! ほらほらアイト君、さっさとテイムしろよ!」
「早くしろ、クズテイマー」
「アンタよりスライムの方が役に立つかもね」
「あなたが呼んだのだから、あなたが倒すべきですよ」
ボーランたちは俺の背中を小突いて、スライムの方へ押しやろうとする。
こんなときに悪ふざけをするんじゃないよ。
「お、おい、押すなって!」
抵抗むなしく、俺はスライムの目の前に放り出されてしまった。
「じゃあな、無能テイマーのアイト君。俺たちはギルドに帰るからよ。お前はもうパーティーのメンバーじゃないから、後をついてきたりするなよ」
ボーランたちは、さっさと出口に向かう。
皆、俺のことなんか見向きもしない。
最悪スライムならなんとかなりそうだが、ここはAランクダンジョンの最下層。
より強力なモンスターが出てくることは明白だ。
これ以上、悪ふざけに付き合うつもりはない。
後を追ったら、振り返ったボーランに腹を殴られた。
さらに連続攻撃を食らわすように、イリナ一同が俺を蹴る。
「「死ね、アイト!」」
「ぐあああっ」
なかなかに強烈な一撃を喰らってしまった。
痛みに耐えていたら、ボーランたちの笑い声が聞こえる。
「あぁ、そうだ。お前はこのまま、ダンジョンに置いていくぞ。安心しろ、手に入れたアイテムは俺たちが持って帰るから。というか、それで別にいいよな?」
「ごほっ……いいわけないだろ」
「は? 何か問題あんの? お前の役目はもう終わったんだよ。いい加減飽きてきたからな。いらないゴミは捨てる。お母さんに教えてもらわなかったのか? あ、そうそう。お前の装備と荷物は、全て回収するからな。お前はどうでもいいけど、アイテムはこの先使いようがあるからな」
「強盗だぞ、それは……あ、こらっ!」
ボーランたちは俺の体からアイテムを奪うと、そのまま走り去ってしまった。
ちくしょうが。
しかし、今は何とかこの場をしのがないといけない。
スライムは完全に俺を敵とみなしている。
俺は痛みを堪えて何とか立ち上がる。
ふと周りを見ると、小石がいくつか転がっていた。
「喰らえ! アイトシュート!」
俺は手当たり次第に落ちている石を投げるが、スライムは石が直撃してもビクともしない。
相手は最低のEランクモンスターとはいえ、いっぱしのモンスターだ。
素人の石投げごときでは倒せないというわけか。
しかも、いつの間にか5,6匹に増えていたのだが。
『『ピギッ!!』』
スライムたちはゆっくりと近づく。
心なしか、ニヤニヤと笑っているように見えた。
俺のことをバカにしているようだ。
まともな戦闘力がないと認識したんだろう。
「く、くそっ。どうすれば……。そうだ、魔力を込めたら威力が上がるかもしれない」
俺は手の平サイズの石を拾う。
倒せなくてもいい。
この場を逃げ切れるだけのダメージが与えられれば……。
小石に思いっきり魔力を込め、全力でスライムに投げつけた。
「超アイトシュート! ……って、なんだ!?」
突然、スライムに向かって投げた石が爆発した。
モクモクと白い煙が広がる。
いったい何が起きた。
びっくりしたぞ。
〔私に命を与えてくださり、誠にありがとうございます。マスター〕
どこからか女の子の声が聞こえる。
よく見てみると、煙の中にぼんやりと人影が浮かんでいた。
ここには俺以外誰もいないはずだが……。
「だ、誰だ? マスターって俺のことか?」
周囲に向かって問う。
新手のモンスターかと思いヒヤリとするが、結論から言うと敵ではなかった。
むしろ味方だ。
徐々に煙が消え人影があらわになる。
〔はい、あなた様でございますよ。アイト・メニエン様〕
俺の目の前に、石でできた少女が立っていた。
無事クエストを終えて、ギルドへ帰ろうという時だ。
突然、リーダーで<勇者>のジョブを持つボーランに言われた。
お前は追放だと。
……マジか。
最近パーティーメンバーの追放が流行っているとは聞いていたが、まさか俺も当事者になるとはな。
正直、嬉しい反面もあるにはあるが場所が悪すぎる。
「ちょっと待ってくれよ。いきなり追放だなんて、いくら何でも急すぎやしないか?」
俺たちはエスペランサ王国の冒険者パーティー“楽園の探索者”だ。
順調にクエストを達成し、ギルドの中でもだいぶ上級パーティ-になった。
そして、ここは地方都市のメトロポリ……ではなく、そこにあるAランクダンジョンの最下層だ。
繰り返すが、Aランクダンジョンの最下層だ。
もちろん、俺は追放されるようなやらかしをした覚えはない。
パーティーのため、とにかく必死に頑張ってきた。
ボーランは眉間に皺を寄せ俺に顔を近づける。
重そうな鼻ピアスとニキビだらけの顔がドアップになり、少々やるせない気持ちとなる。
「あぁ? 文句があんなら、何か言い返してみろ。“スライム一匹すらテイムできない”、無能テイマーのアイト君よぉ」
「あ、いやぁ、それを言われると耳が痛いのだが……」
「というか、お前本当にテイマーなのか? 何もテイムできないテイマーなんて、俺は初めて見たぜ」
「俺もそう思う」
この世界では、誰しもジョブを授けられる。
俺はテイマーだったのに、本当にスライム一匹テイムできなかった。
ここはボーラン氏の言う通りだ。
いや、スライムどころじゃない、普通の鳥や犬など単なる動物さえテイムできないんだよなぁ。
いくらやっても、全く言う事を聞いてくれないのだ。
「俺たちは全員Aランクだってのに。お前はずっとEランクじゃねえかよ。役立たずはさっさと消えてくれ。無能がうつるだろ」
「まぁ、それはそうなのだが俺も頑張って貢献してきたつもりだ。せめて追放はダンジョンを出てからにしてくれないか?」
俺はテイムできない代わりに、ありとあらゆる雑用をこなしてきた。
それも全てこんな俺を雇ってくれたパーティーのためだ。
回復薬や解毒薬の準備、諸々の支出入の管理、手に入れたアイテムの運搬……数え上げればきりがない。
しかも雑用とは名ばかりに、どれもクエストを達成するのに大切なことだった。
「あのなぁ、そんなことは誰でもできるんだよ。お前なんていなくても問題ないっての」
ボーランは心底うんざりした顔でため息交じりに言う。
誰でもできると言うが、彼が雑用をこなしている場面は一度も見たことがなかった。
「いい加減にしろよ、アイト。足手まといを追放して、何が悪いっての。リーダーがそう言ってんだから、素直に従えよ。このクズテイマー」
ボーランに賛同するように、彼の隣に立つ女が言う。
こいつは魔法使いのイリナ。
水系の魔法が得意で“激流の魔女”と呼ばれている。
気に入らないことがあるとすぐに怒り、それこそ激流のようにいつも俺に八つ当たりした。
「前から思っていたけど、役立たずのアンタとっても気持ち悪い。私の視界に入らないでくれる? 目が腐るから」
たたみかけるように、他のメンバーも罵倒(俺の)を始める。
この女は弓使いのルイジワ。
一撃で相手の急所を狙い撃ちすることから、“精緻の狙撃手”と呼び声が高い。
腕は立つが、俺の心も狙撃するのは止めてくれるかな。
「男の子なのに恥ずかしいとは思わないのですかね。これだから弱者男性は……」
うんざりした様子で呟くのは、女神官のタシカビヤ。
回復魔法の才能に恵まれ、“神秘の女神”などと言う人もいる。
しかし才能に恵まれたためか、無能と決めつけた人間を激しく見下す。
神官ならほんの少しでいいから慈愛の心を持ってほしいな。
見ての通りメンバーは俺以外女で、みんなボーランにベタベタくっついていた。
何だかんだ、こういう男はモテるのだろう。
真似したくはないがな。
「それなら……なぜ俺をメンバーに入れてくれたんだ?」
かねてからの疑問を尋ねる。
俺がテイムできないことは彼らも知っていたはずだ。
ギルドでは有名な話だったからな。
誰のパーティーにも入れてもらえず困っていた時に、ボーランたちから声をかけてきた。その恩に報いるため様々な無理難題……例えば、一人で四人分の荷物を持て、とか、ドラゴンの囮になって俺たちを逃がせ、とか、宿代が無料になるよう交渉しろ、とかだ。
ボーランはニチャァ……とした笑みを浮かべると心底楽しそうに言った。
「あ? そんなのストレス解消に決まってんだろ。ただのおもちゃだよ」
「……なに? おもちゃ?」
「そ、お前は俺たちのストレス解消要員だったってわけ。ただ日々の鬱憤をぶつけられる奴だったら、誰でも良かったんだよ。なぁ、お前ら?」
ボーランが女性陣に尋ねる。
全員、あっさりとうなずいた。
その反応を見ると、我らがボーラン氏は勝ち誇った様子で笑う。
「ほら、文句あるなら言ってみろよ。言えないよなぁ? だって、テイマーのくせに、スライム一匹テイムできないんだもんなぁ。え? もしかして、アイト君なにか勘違いしちゃってた? 俺たちは、お前に期待なんかしてなかったの。それなのに、何だか頑張っちゃって。お疲れさ~ん」
「……あらまぁ~」
予想外の返答に素の声が出ちゃった。
きっと、スライムもテイムできない俺は抵抗できない人間だとわかっていて、わざとパーティーに入れたのだろう。
自分が楽しむためにずいぶんと手の込んだことをするのだな。
ボーランがヘラヘラ笑いながら、俺の顔を覗き込む。
「アイトく~ん? 聞こえてまちゅかあ?」
「聞こえてるよ。この距離だからね」
「そろそろやめたげな。こいつの弱者な雰囲気にモンスターが引き寄せられたら面倒でしょ」
イリナがバカにした口調で言う。
弱者な雰囲気てなんだ。
むしろ、お前の怒号で寝ていたモンスターが起きたことは何度も……。
そう言おうとした時、モンスターの叫び声が聞こえた。
『ピィッ!』
「おっと、ほらアイト君。お前の陰気な空気のせいでモンスターが来ちゃったじゃん」
奥の方から、スライムが何体か出てきた。
ランクは最低のEランク、ザコ中のザコモンスターだ。
だが、今まで戦闘をしてこなかった俺では、実のところ倒せるかどうかわからない。
「ギャハハハ! 何かと思ったらスライムかよ! ちょうどいいじゃん! ほらほらアイト君、さっさとテイムしろよ!」
「早くしろ、クズテイマー」
「アンタよりスライムの方が役に立つかもね」
「あなたが呼んだのだから、あなたが倒すべきですよ」
ボーランたちは俺の背中を小突いて、スライムの方へ押しやろうとする。
こんなときに悪ふざけをするんじゃないよ。
「お、おい、押すなって!」
抵抗むなしく、俺はスライムの目の前に放り出されてしまった。
「じゃあな、無能テイマーのアイト君。俺たちはギルドに帰るからよ。お前はもうパーティーのメンバーじゃないから、後をついてきたりするなよ」
ボーランたちは、さっさと出口に向かう。
皆、俺のことなんか見向きもしない。
最悪スライムならなんとかなりそうだが、ここはAランクダンジョンの最下層。
より強力なモンスターが出てくることは明白だ。
これ以上、悪ふざけに付き合うつもりはない。
後を追ったら、振り返ったボーランに腹を殴られた。
さらに連続攻撃を食らわすように、イリナ一同が俺を蹴る。
「「死ね、アイト!」」
「ぐあああっ」
なかなかに強烈な一撃を喰らってしまった。
痛みに耐えていたら、ボーランたちの笑い声が聞こえる。
「あぁ、そうだ。お前はこのまま、ダンジョンに置いていくぞ。安心しろ、手に入れたアイテムは俺たちが持って帰るから。というか、それで別にいいよな?」
「ごほっ……いいわけないだろ」
「は? 何か問題あんの? お前の役目はもう終わったんだよ。いい加減飽きてきたからな。いらないゴミは捨てる。お母さんに教えてもらわなかったのか? あ、そうそう。お前の装備と荷物は、全て回収するからな。お前はどうでもいいけど、アイテムはこの先使いようがあるからな」
「強盗だぞ、それは……あ、こらっ!」
ボーランたちは俺の体からアイテムを奪うと、そのまま走り去ってしまった。
ちくしょうが。
しかし、今は何とかこの場をしのがないといけない。
スライムは完全に俺を敵とみなしている。
俺は痛みを堪えて何とか立ち上がる。
ふと周りを見ると、小石がいくつか転がっていた。
「喰らえ! アイトシュート!」
俺は手当たり次第に落ちている石を投げるが、スライムは石が直撃してもビクともしない。
相手は最低のEランクモンスターとはいえ、いっぱしのモンスターだ。
素人の石投げごときでは倒せないというわけか。
しかも、いつの間にか5,6匹に増えていたのだが。
『『ピギッ!!』』
スライムたちはゆっくりと近づく。
心なしか、ニヤニヤと笑っているように見えた。
俺のことをバカにしているようだ。
まともな戦闘力がないと認識したんだろう。
「く、くそっ。どうすれば……。そうだ、魔力を込めたら威力が上がるかもしれない」
俺は手の平サイズの石を拾う。
倒せなくてもいい。
この場を逃げ切れるだけのダメージが与えられれば……。
小石に思いっきり魔力を込め、全力でスライムに投げつけた。
「超アイトシュート! ……って、なんだ!?」
突然、スライムに向かって投げた石が爆発した。
モクモクと白い煙が広がる。
いったい何が起きた。
びっくりしたぞ。
〔私に命を与えてくださり、誠にありがとうございます。マスター〕
どこからか女の子の声が聞こえる。
よく見てみると、煙の中にぼんやりと人影が浮かんでいた。
ここには俺以外誰もいないはずだが……。
「だ、誰だ? マスターって俺のことか?」
周囲に向かって問う。
新手のモンスターかと思いヒヤリとするが、結論から言うと敵ではなかった。
むしろ味方だ。
徐々に煙が消え人影があらわになる。
〔はい、あなた様でございますよ。アイト・メニエン様〕
俺の目の前に、石でできた少女が立っていた。
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