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第四章 お猫様とご主人さま
お猫様は、体を洗われる【ΦωΦ】
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ΦωΦ
アタシは今、無理矢理体を洗われている。
「お前さん、海に落ちて大変だったなぁ」
ガトっていうニンゲンがアタシにそう声を掛けながら、ぬるいお湯で毛にこびり付いた汚れを落としていく。その手つきは、まあ悪くはないわ。水に濡れるのは嫌だけど、体が気持ち悪いのはもっと嫌だから、仕方ないけど我慢してあげる。
「これ我慢してくれたら、後で美味い魚を食わしてやるからな」
「ニャッ」
お魚がもらえるのは嬉しいわ。だけど、それよりも先にご主人さまを助けにいかないと。
アタシは耳を動かす。パシャパシャという水の音が少し邪魔だけど、この部屋じゃないどこかでジャルたちの話し声がしているのは分かった。
「私がいながら、何という失態を……!」
「おい、ジャル、落ち着け!」
「そうそう、ジャルらしくない! そんな風に苛立ったら、それこそウォルフの思う壺だよ!」
「ジャルおじさん、サディの言う通りだよ。それにぼくだって、おじいさまの存在にもっと早く気付くことができてたら、こんなことにはならなかったんだ」
ダニーの他に、サディとリオンとかいうオスもジャルと同じ部屋にいるみたいね。
あの時アタシを海から引き上げてくれたのは、あのいけ好かないオスによく似ているリオンだった。リオンはアタシを抱きかかえて、そのままフネまで戻してくれたの。
その時サディもアタシのところに来て無遠慮に体を触ったから一発パンチをお見舞いしてあげたかったんだけど、さすがに疲れてたから見逃してあげたわ。なんか変な声を上げて耳障りだったからまた後でお仕置きしてあげないと。
とりあえず、アタシを助けてくれたリオンには何かお礼をしてあげないと。スリスリでいいかしら? 体が綺麗になったらやってあげるわ。
体を洗い終わって、ガトがたおるどらいとかいうのをしてくれる。アタシの自慢の毛から邪魔な水分が抜けていってるのが分かって、少し満足した。ここにはあのどらいやーとかいううるさいキカイもないから、変に緊張しなくてもいいわね。完全に乾くのが遅いのが難点だけど。
水音が減ったおかげかジャルたちの声もよく聞こえる。
「……とにかく、まずはウォルフがどこに潜んでいるのかを見つけ出さなければ」
ジャルの声にはいつもみたいな安心できる響きがない。ジャルもご主人さまがユウカイされて不安なのね。アタシと同じね。
そんなことを考えていた時、リオンがアタシの名前を口にした。
「ジャルおじさん、あのマロンっていう獣……猫、だっけ? あれからおじいさまの気配を感じるんだ。オルカリムじゃなくてまた別の」
「なんだって?」
「あれはたぶん、わざと力の痕跡を残してる。おじいさまはマロンから感じられる力を辿って、自分を見付けるように仕向けてるみたいだ」
「……相変わらず腹が立つことをするね、ウォルフは」
言ってることが難しくてよく分からないけど、なんとなくアタシに関係することを話しているということは分かる。
アタシはガトのたおるどらいから抜け出して、ジャルたちの声が聞こえる場所へと向かう。途中ドアとかが邪魔だったから全部ネコパンチで開けてやったわ。後ろからガトの叫び声が聞こえた気がするけど、まあアタシが気にすることがないわね。
それにしても、ここはダニーのおうちよね? もう、このおうちはあんまり探検してないから場所がよく分からないわ。ジャルたちはどこにいるのかしら。
耳をぴこぴこと動かして声が聞こえてくる方に向かう。しばらく走って、ようやくジャルたちがいる部屋を見付けた。でもドアが閉まってるわ。もう、このドアもネコパンチで開けなくちゃ。
そう思ってたんだけど、アタシが構えた右手を動かす前にドアが開いた。
「気配が近付いてると思ったら、やっぱり来ていたのか!」
ドアを開けたのはリオンだった。リオンはアタシと同じ金色の目をこちらに向けると、はあ、と小さく溜め息をついた。
「まだ濡れてるじゃないか。しょうがない、乾かしてやるから入れ」
リオンはそう言うと、アタシを部屋の中に入れてくれた。うん、リオンはいけ好かないオスとよく似てるけど、アイツとは違っていいヤツね。気に入ったわ。
アタシは今、無理矢理体を洗われている。
「お前さん、海に落ちて大変だったなぁ」
ガトっていうニンゲンがアタシにそう声を掛けながら、ぬるいお湯で毛にこびり付いた汚れを落としていく。その手つきは、まあ悪くはないわ。水に濡れるのは嫌だけど、体が気持ち悪いのはもっと嫌だから、仕方ないけど我慢してあげる。
「これ我慢してくれたら、後で美味い魚を食わしてやるからな」
「ニャッ」
お魚がもらえるのは嬉しいわ。だけど、それよりも先にご主人さまを助けにいかないと。
アタシは耳を動かす。パシャパシャという水の音が少し邪魔だけど、この部屋じゃないどこかでジャルたちの話し声がしているのは分かった。
「私がいながら、何という失態を……!」
「おい、ジャル、落ち着け!」
「そうそう、ジャルらしくない! そんな風に苛立ったら、それこそウォルフの思う壺だよ!」
「ジャルおじさん、サディの言う通りだよ。それにぼくだって、おじいさまの存在にもっと早く気付くことができてたら、こんなことにはならなかったんだ」
ダニーの他に、サディとリオンとかいうオスもジャルと同じ部屋にいるみたいね。
あの時アタシを海から引き上げてくれたのは、あのいけ好かないオスによく似ているリオンだった。リオンはアタシを抱きかかえて、そのままフネまで戻してくれたの。
その時サディもアタシのところに来て無遠慮に体を触ったから一発パンチをお見舞いしてあげたかったんだけど、さすがに疲れてたから見逃してあげたわ。なんか変な声を上げて耳障りだったからまた後でお仕置きしてあげないと。
とりあえず、アタシを助けてくれたリオンには何かお礼をしてあげないと。スリスリでいいかしら? 体が綺麗になったらやってあげるわ。
体を洗い終わって、ガトがたおるどらいとかいうのをしてくれる。アタシの自慢の毛から邪魔な水分が抜けていってるのが分かって、少し満足した。ここにはあのどらいやーとかいううるさいキカイもないから、変に緊張しなくてもいいわね。完全に乾くのが遅いのが難点だけど。
水音が減ったおかげかジャルたちの声もよく聞こえる。
「……とにかく、まずはウォルフがどこに潜んでいるのかを見つけ出さなければ」
ジャルの声にはいつもみたいな安心できる響きがない。ジャルもご主人さまがユウカイされて不安なのね。アタシと同じね。
そんなことを考えていた時、リオンがアタシの名前を口にした。
「ジャルおじさん、あのマロンっていう獣……猫、だっけ? あれからおじいさまの気配を感じるんだ。オルカリムじゃなくてまた別の」
「なんだって?」
「あれはたぶん、わざと力の痕跡を残してる。おじいさまはマロンから感じられる力を辿って、自分を見付けるように仕向けてるみたいだ」
「……相変わらず腹が立つことをするね、ウォルフは」
言ってることが難しくてよく分からないけど、なんとなくアタシに関係することを話しているということは分かる。
アタシはガトのたおるどらいから抜け出して、ジャルたちの声が聞こえる場所へと向かう。途中ドアとかが邪魔だったから全部ネコパンチで開けてやったわ。後ろからガトの叫び声が聞こえた気がするけど、まあアタシが気にすることがないわね。
それにしても、ここはダニーのおうちよね? もう、このおうちはあんまり探検してないから場所がよく分からないわ。ジャルたちはどこにいるのかしら。
耳をぴこぴこと動かして声が聞こえてくる方に向かう。しばらく走って、ようやくジャルたちがいる部屋を見付けた。でもドアが閉まってるわ。もう、このドアもネコパンチで開けなくちゃ。
そう思ってたんだけど、アタシが構えた右手を動かす前にドアが開いた。
「気配が近付いてると思ったら、やっぱり来ていたのか!」
ドアを開けたのはリオンだった。リオンはアタシと同じ金色の目をこちらに向けると、はあ、と小さく溜め息をついた。
「まだ濡れてるじゃないか。しょうがない、乾かしてやるから入れ」
リオンはそう言うと、アタシを部屋の中に入れてくれた。うん、リオンはいけ好かないオスとよく似てるけど、アイツとは違っていいヤツね。気に入ったわ。
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