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第百三十六話 もう一度あの町へ
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「もちろん、何でも手伝うさ。で、そのお弁当って誰に作るの?」
「えっと、クラレシアの民達に私の料理を一度食べて貰いたいと思ったの。本当はこの店に呼ぶのが良いのかも知れないけど、全員は無理でしょ? だからお弁当を持って行こうと思って」
私はベアトリーチェの記憶を取り戻してから、クラレシアでの食事が割と簡素なものだった事を思い出した。自然な物を自然なままでという食事のスタイルは健康的には良いのかも知れないが、美食国家日本の記憶を持つ私は物足りなくなってしまう。
今後の計画を円滑に進めるために私が作った料理を彼らにも受け入れて貰いたいと思った。
まあ、アーニャ達にもすこぶる好評だったのできっと大丈夫だと思うのだが。
「クラレシアの…………そうか、新しくできた工房地帯で働くために来たんだよな。カリンは元クラレシア神聖王国の王女様だったね。彼らのことを気にするのは当然だね」
ショウは納得したと言うように頷いた。
ショウを初め、クランリー農場の人達は私がクラレシア神聖王国の元王女だったと知っても変わらずただのカリンとして接してくれる。私はそのことに安堵すると共に彼らに対する感謝の気持ちが強くなった。
「ありがとう、ショウ。ショウは以前も私が料理するのを手伝ってくれたから心強いわ」
ショウの為に作成して置いた黒い胸当てエプロンを手渡す。
エプロンを身につけたショウはイケメンだけあってとても様になっている。料理男子に扮したショウと共に厨房に立ちながら私は食材を調理台の前で腕を組みお弁当のメニューを思案する。
「今回は何のお弁当を作るの?」
キラキラした眼差しに期待を込めたショウが私に尋ねた。
その後ろで同じくキラキラした眼差しを向ける白猫は今はスルーしておこう。
「そうねぇ……色んなおかずを入れたいから……幕の内弁当にしようかしら?」
「幕の内弁当!!」
『幕の内弁当!!』
ショウの声と重なるように念話の声も飛んできた。もちろん言うまでもなく念話の正体はグレンしかいない。
「なにそれ! 美味そうだな」
『ふむ、幕の内弁当か。中々良いメニューではないか。よし、出来上がったら其が味見をして進ぜよう』
瞳を輝かせ期待の声をあげるショウと知ったかぶりで味見を強請る白猫。
その様子にほっこりとしながら私は食品庫から材料を取りだし調理台の上に並べた。
が、足りない。
圧倒的に材料が足りない。
いくら食品庫にある程度の食材をストックしていたとしても今回は100食近く作る必要がある。
足りないのは当然である。
「えっと……ショウ……あの、食材が足りないから入手する必要があるわ」
私は今から作ろうと意気込んでしまった手前、言い辛そうにショウに零した。
「足りない? カリン、どれくらいの数作るつもりなんだ?」
「そうね、おかわりしたい人の事も考えて100食くらいは作ろうと思ったんだけど……」
「100食……そうか、肉なら俺が獲物を獲ってこよう」
「え?」
私はショウの言葉に少し考える。
お肉も良いけど……やっぱり海の幸も欲しいわね。またエンサの街に行こうかしら? グレンに乗せて貰えば直ぐに行ってこられるわね。
そう思った途端、コバルトブルーに輝く海原と懐かしい潮風の匂いを思い出す。
私がエンサの町を訪れるまでは捨てられてたという数々の海の幸。それらを使って色々と料理を作ってカイトさん達に食べて貰ったらとても好評だったけど、もう捨てられたりしていないわよね。
うん、やっぱりもう一度エンサの町に行ってみよう。
「カリン?」
私が心の中でエンサ行きを決めた途端、ショウが私を呼ぶ声が耳に届いた。どうやらショウの目の前で考え込んでいたみたい。
「ショウ、私エンサの町に行ってくるわ」
私の突然のエンサ行き宣言にショウは首を傾げて訳が分からないという顔をしたのだった。
「えっと、クラレシアの民達に私の料理を一度食べて貰いたいと思ったの。本当はこの店に呼ぶのが良いのかも知れないけど、全員は無理でしょ? だからお弁当を持って行こうと思って」
私はベアトリーチェの記憶を取り戻してから、クラレシアでの食事が割と簡素なものだった事を思い出した。自然な物を自然なままでという食事のスタイルは健康的には良いのかも知れないが、美食国家日本の記憶を持つ私は物足りなくなってしまう。
今後の計画を円滑に進めるために私が作った料理を彼らにも受け入れて貰いたいと思った。
まあ、アーニャ達にもすこぶる好評だったのできっと大丈夫だと思うのだが。
「クラレシアの…………そうか、新しくできた工房地帯で働くために来たんだよな。カリンは元クラレシア神聖王国の王女様だったね。彼らのことを気にするのは当然だね」
ショウは納得したと言うように頷いた。
ショウを初め、クランリー農場の人達は私がクラレシア神聖王国の元王女だったと知っても変わらずただのカリンとして接してくれる。私はそのことに安堵すると共に彼らに対する感謝の気持ちが強くなった。
「ありがとう、ショウ。ショウは以前も私が料理するのを手伝ってくれたから心強いわ」
ショウの為に作成して置いた黒い胸当てエプロンを手渡す。
エプロンを身につけたショウはイケメンだけあってとても様になっている。料理男子に扮したショウと共に厨房に立ちながら私は食材を調理台の前で腕を組みお弁当のメニューを思案する。
「今回は何のお弁当を作るの?」
キラキラした眼差しに期待を込めたショウが私に尋ねた。
その後ろで同じくキラキラした眼差しを向ける白猫は今はスルーしておこう。
「そうねぇ……色んなおかずを入れたいから……幕の内弁当にしようかしら?」
「幕の内弁当!!」
『幕の内弁当!!』
ショウの声と重なるように念話の声も飛んできた。もちろん言うまでもなく念話の正体はグレンしかいない。
「なにそれ! 美味そうだな」
『ふむ、幕の内弁当か。中々良いメニューではないか。よし、出来上がったら其が味見をして進ぜよう』
瞳を輝かせ期待の声をあげるショウと知ったかぶりで味見を強請る白猫。
その様子にほっこりとしながら私は食品庫から材料を取りだし調理台の上に並べた。
が、足りない。
圧倒的に材料が足りない。
いくら食品庫にある程度の食材をストックしていたとしても今回は100食近く作る必要がある。
足りないのは当然である。
「えっと……ショウ……あの、食材が足りないから入手する必要があるわ」
私は今から作ろうと意気込んでしまった手前、言い辛そうにショウに零した。
「足りない? カリン、どれくらいの数作るつもりなんだ?」
「そうね、おかわりしたい人の事も考えて100食くらいは作ろうと思ったんだけど……」
「100食……そうか、肉なら俺が獲物を獲ってこよう」
「え?」
私はショウの言葉に少し考える。
お肉も良いけど……やっぱり海の幸も欲しいわね。またエンサの街に行こうかしら? グレンに乗せて貰えば直ぐに行ってこられるわね。
そう思った途端、コバルトブルーに輝く海原と懐かしい潮風の匂いを思い出す。
私がエンサの町を訪れるまでは捨てられてたという数々の海の幸。それらを使って色々と料理を作ってカイトさん達に食べて貰ったらとても好評だったけど、もう捨てられたりしていないわよね。
うん、やっぱりもう一度エンサの町に行ってみよう。
「カリン?」
私が心の中でエンサ行きを決めた途端、ショウが私を呼ぶ声が耳に届いた。どうやらショウの目の前で考え込んでいたみたい。
「ショウ、私エンサの町に行ってくるわ」
私の突然のエンサ行き宣言にショウは首を傾げて訳が分からないという顔をしたのだった。
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