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第百四十三話 食材採取で新メニュー
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グレンの背の上はもふもふで温かく、更に移動中はグレンが周辺に結界を張ってくれたお蔭で寒さに震えることはなかった。
木々の合間からキラキラと輝き浮遊しているのは精霊たちだろうか?
動き方からして陽の光ではないことは明らかだ。
この世界は人の手垢がついていない場所が多い。
そのせいか、前世よりも全ての物が煌めいているように思える。
時折、赤松の群生に向かう冒険者達を追い越したが、もちろん認識阻害の魔法が張っているので誰も私達に気付く事はなかった。
以前、ベッキーさん達のパーティに出会ったことを思い出した。アーニャから聞いた限りだけど彼女達は元気らしいが、お店を開いたら食べに来てくれるかしら?
『カリン、着いたぞ。ここら辺りにあるのがメルプの木である』
私は我に返り、グレンの背から降りた。
「へえ、これがメルプの木っていうのか? しょっちゅうここを通っていたのに全然知らなかったな。この木からメルプシロップが採れるんだな」
「えっと……メープルシロップね」
ショウの言葉を訂正しつつ私は
そう言えばメープルシロップが何なのか全然説明していなかったけどショウは知っているのかしら?
と疑問が湧き上がった。
「そうよ。この木からメープルシロップが採れるのよ」
湧き上がった疑問をスルーしつつ答えると
「ところで、メープルシロップって何だ? 今までこの木からそんなものが採れるなんて聞いた事がないぞ」
とショウが聞いてきた。
うん、やっぱり知らなかったみたいね。
私が簡単にメープルシロップについて説明するとショウとグレンの瞳がきらりと光った。
これはやる気に満ちた瞳だ。
流石、美味しいものに目がない二人である。
メルプの木に穴を開けて管を差し込み、その下に大きい瓶をセットしていく。仕上げに悪戯されないようにグレンに結界を張って貰った。
「うん、これで樹液が溜まるのを待つだけね。明日には溜まると思うから明日……」
と口にしたところで、もう樹液が五分の一ほど溜まっていることに気付いた。
「あら? なんか数時間もかからずに溜まりそうだわ。ちょっと森の中で木の実を探してからまた来ようかしら?」
私のその言葉で、木の実の採取をしてまたこの場所に戻ってくることになった。
ショウが美味しい木の実の場所まで案内すると言うので着いていくとそこにはたくさんの栗の木が叢生していた。
「栗? このいがいがは栗よね?」
思わず大きな声を発しながらショウに迫る私。
「ん? ああ、クーリの実だが……」
引き気味に答えるショウは私の勢いに一歩後ずさった。
クーリ? いや、もう栗で良いよね。
ああ、栗、栗、栗。前世でも私の大好物の一つだった栗にテンションがマックスに跳ね上がる。
さて、何を作ろうかしら?
「ああ、この森に栗があったなんて! 栗ご飯、栗きんとん、栗の甘露煮、モンブラン、マロングラッセ、栗羊羹…………美味しいものがたくさん作れるわ!」
私の頭の中は一瞬で栗一色に埋め尽くされて、嬉しさのあまり無意識に胸の前で両手を組んで歓喜の声をあげていた。
バッグからトングを取りだし、ホクホク顔で栗を集め始めた。
私が無意識に料理名を口にしてしまったせいか、グレンとショウも期待に満ちた顔でせっせと栗を集めてくれる。
イガイガの栗を素手で拾うショウ、口にくわえて拾うグレンに吃驚して痛くはないのか聞いたら二人とも防御結界を自分の身体の表面に張り巡らせているので大丈夫だと言うことだ。
もちろん私も真似して防御結界を張ってみたが、やっぱり前世の記憶が強いせいかとても素手でイガイガに触れる気にならず、結局トングをフル活用することにした。
かなりたくさん集まったことに満足した私達は、メルプの木がある場所に寄って瓶の中に溜まっていたメープルシロップを回収してから帰路に着いた。
その日の夕飯は、幕の内弁当を作ったときに多めに作って置いた唐揚げを使って酢豚丼ならぬ酢鶏丼を作ってショウにご馳走した。
いつもの様にショウが「唐揚げが別の料理に変身するなんてカリンは天才だ」と宣ったのは言うまでもない。
さて、明日は栗スイーツを作りたいと思う。
もちろんショウは明日もここに来る気満々だ。
グレンが
『いっそのことここに住めば良いのではないか? もう一つ部屋を作ればよいのだ』
何て言ってたけど、
何てこと言うんだ! グレン! それではまるで同棲ではないか?
中身は兎も角これでも私はまだ13才の少女なのだ。
ちょっと、ショウ! そこで考え込むのは辞めて欲しい。
何かこの二人、妙に気が合っている様に感じるのは気のせいだろうか?
それにしてもグレンが『もう一つ部屋を』と言っていたけど……
え? 作れるの?
グレンが言うには私の創造魔法で作れるらしい。しかも外観は変わらず部屋を作れば自動で家の内部が空間拡張するとか。
流石女神様仕様の家であると妙に感心した私だった。
木々の合間からキラキラと輝き浮遊しているのは精霊たちだろうか?
動き方からして陽の光ではないことは明らかだ。
この世界は人の手垢がついていない場所が多い。
そのせいか、前世よりも全ての物が煌めいているように思える。
時折、赤松の群生に向かう冒険者達を追い越したが、もちろん認識阻害の魔法が張っているので誰も私達に気付く事はなかった。
以前、ベッキーさん達のパーティに出会ったことを思い出した。アーニャから聞いた限りだけど彼女達は元気らしいが、お店を開いたら食べに来てくれるかしら?
『カリン、着いたぞ。ここら辺りにあるのがメルプの木である』
私は我に返り、グレンの背から降りた。
「へえ、これがメルプの木っていうのか? しょっちゅうここを通っていたのに全然知らなかったな。この木からメルプシロップが採れるんだな」
「えっと……メープルシロップね」
ショウの言葉を訂正しつつ私は
そう言えばメープルシロップが何なのか全然説明していなかったけどショウは知っているのかしら?
と疑問が湧き上がった。
「そうよ。この木からメープルシロップが採れるのよ」
湧き上がった疑問をスルーしつつ答えると
「ところで、メープルシロップって何だ? 今までこの木からそんなものが採れるなんて聞いた事がないぞ」
とショウが聞いてきた。
うん、やっぱり知らなかったみたいね。
私が簡単にメープルシロップについて説明するとショウとグレンの瞳がきらりと光った。
これはやる気に満ちた瞳だ。
流石、美味しいものに目がない二人である。
メルプの木に穴を開けて管を差し込み、その下に大きい瓶をセットしていく。仕上げに悪戯されないようにグレンに結界を張って貰った。
「うん、これで樹液が溜まるのを待つだけね。明日には溜まると思うから明日……」
と口にしたところで、もう樹液が五分の一ほど溜まっていることに気付いた。
「あら? なんか数時間もかからずに溜まりそうだわ。ちょっと森の中で木の実を探してからまた来ようかしら?」
私のその言葉で、木の実の採取をしてまたこの場所に戻ってくることになった。
ショウが美味しい木の実の場所まで案内すると言うので着いていくとそこにはたくさんの栗の木が叢生していた。
「栗? このいがいがは栗よね?」
思わず大きな声を発しながらショウに迫る私。
「ん? ああ、クーリの実だが……」
引き気味に答えるショウは私の勢いに一歩後ずさった。
クーリ? いや、もう栗で良いよね。
ああ、栗、栗、栗。前世でも私の大好物の一つだった栗にテンションがマックスに跳ね上がる。
さて、何を作ろうかしら?
「ああ、この森に栗があったなんて! 栗ご飯、栗きんとん、栗の甘露煮、モンブラン、マロングラッセ、栗羊羹…………美味しいものがたくさん作れるわ!」
私の頭の中は一瞬で栗一色に埋め尽くされて、嬉しさのあまり無意識に胸の前で両手を組んで歓喜の声をあげていた。
バッグからトングを取りだし、ホクホク顔で栗を集め始めた。
私が無意識に料理名を口にしてしまったせいか、グレンとショウも期待に満ちた顔でせっせと栗を集めてくれる。
イガイガの栗を素手で拾うショウ、口にくわえて拾うグレンに吃驚して痛くはないのか聞いたら二人とも防御結界を自分の身体の表面に張り巡らせているので大丈夫だと言うことだ。
もちろん私も真似して防御結界を張ってみたが、やっぱり前世の記憶が強いせいかとても素手でイガイガに触れる気にならず、結局トングをフル活用することにした。
かなりたくさん集まったことに満足した私達は、メルプの木がある場所に寄って瓶の中に溜まっていたメープルシロップを回収してから帰路に着いた。
その日の夕飯は、幕の内弁当を作ったときに多めに作って置いた唐揚げを使って酢豚丼ならぬ酢鶏丼を作ってショウにご馳走した。
いつもの様にショウが「唐揚げが別の料理に変身するなんてカリンは天才だ」と宣ったのは言うまでもない。
さて、明日は栗スイーツを作りたいと思う。
もちろんショウは明日もここに来る気満々だ。
グレンが
『いっそのことここに住めば良いのではないか? もう一つ部屋を作ればよいのだ』
何て言ってたけど、
何てこと言うんだ! グレン! それではまるで同棲ではないか?
中身は兎も角これでも私はまだ13才の少女なのだ。
ちょっと、ショウ! そこで考え込むのは辞めて欲しい。
何かこの二人、妙に気が合っている様に感じるのは気のせいだろうか?
それにしてもグレンが『もう一つ部屋を』と言っていたけど……
え? 作れるの?
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