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第百四十四話 アーニャの使命
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新食材をゲットした翌日私は今せっせと栗をむいている。
栗は冷凍してから茹でると皮をむきやすいという知識を前世記憶から引き出して実行したから簡単にむけるのだ。
ショウも朝から来て栗の皮むきを手伝ってくれている。
『ふむ、これは中々美味だな』
グレンがむいたばかりの栗を食べて口をモグモグさせている。
「あっ、グレン、ダメだよ。これから栗ご飯とモンブランを作るんだから」
『先ずは素材の味見なのだ』
作らない者はそんな必要無いのに何かと理由を付けて食べようとするグレン。
「なるほど」
グレンの言葉に納得したように栗を口に放り込むショウ。
「ちょっと、グレン、ショウ、作る前に減っちゃうじゃない。まぁ、でも味見は必要ね」
二人が美味しそうに栗を食べるのを見て我慢できなくなった私も一口食べてみる。
あら? 仄かな甘さとナッツの風味が合わさって美味しいわね。
これは作りがいがありそうだわ。
ほろほろと口の中に広がる栗の味に笑みが零れる。
二人の協力もあって……グレンは味見だけだけど……何とか栗ご飯とモンブランが完成した。
これは明日、アーニャ達が来たときに食べて貰おう。
次はせっかく摂ってきたメープルシロップを味わうためにパンケーキを作る。
ああ、そうだ。栗がまだあるから栗入りのパンケーキを作ろう。
フワフワのパンケーキの中にホロホロの栗。さぞかし美味しいだろう。
ニヤニヤしながらパンケーキを作り始めるとショウとグレンが期待に瞳を輝かせた。
出来上がったパンケーキにバターをのせてメープルシロップをかける。
ミルクティーを入れている内にショウとグレンは涎を垂れ流しそうな顔でお皿の上のパンケーキを凝視していた。
「さあ、食べましょうか」
二人の母親になった気分で私が口を開くと二人同時にパンケーキを口にした。
『おおっ! これは美味である。でかしたカリン、合格だ!』
何に対して合格なのか分からない。だんだんグレンの言葉が意味不明に感じるのは気のせいだろうか?
「美味っ! すっげー美味っ! やっぱりカリンは天才だ!」
大げさに褒めるショウはやっぱりぶれない。
自分が作った料理を喜んで美味しそうに食べてくれる二人に笑顔が零れる。
私もパンケーキを一口口に入れてみた。パンケーキの中の栗の優しい甘さと少しクリーミーな感じとメープルシロップの甘さと深みのあるコクが合わさった美味しさが口の中に広がった。
「なにこれっ、美味っ!」
あまりの美味しさに思わず私は声をあげた。
これはもうお店のメニューに入れるしかないでしょ。
秋のメニュー……いや、ここでは今は冬だっけ?……冬のメニューとして提供しようかな?
あれ? そう言えば、この森にある食材って季節毎に採れるものがあるのかな? 今まであんまり意識していなかったけど調べてみよう。
私が思考の海で漂っていると、空のお皿を前に悲壮感に漂っている二人の姿が目に入った。
うん、食べたりないらしい。
そんな哀しそうな目をするのはやめて欲しい。また作ってあげたくなるではないか。
私がおかわりのパンケーキを作って目の前に置くと瞳をうるうるさせる二人。
いや、そんなに食べたかったのか。
そう思いつつも二人にとことん甘い私は、こんどはどんな美味しいものを作ってあげようかなと思考を巡らすのだった。
翌日、なぜかまたショウも当たり前のように一緒に朝食を摂っていると(決して泊まった訳ではない)アーニャが訪ねてきた。
今日の朝食は、メープルシロップのフレンチトーストだ。
卵と牛乳のクリーミーな風味とカリッとした食感、バターの香りにメープルシロップのコクのある甘さが絶妙に絡み合って朝から幸せを感じられる味だ。
グレンとショウには多めに作ったが、食べるペースを見ていると多分おかわりは必至だろう。
「おはようございます。カリン様。何やらとても良い香りがするのですが」
「おはよう、アーニャ。今、朝食中だったの。メープルシロップのフレンチトーストよ。アーニャも食べる?」
私の言葉にアーニャの瞳が瞬時に光を増した。
「よろしいのですか?」
「もちろんよ!」
私の目の前に同じような表情で食べる人が三人に増えた。
やっぱり自分の料理を美味しそうに食べているのを見ると嬉しくなってしまう。
「カリン様、これはもっとたくさんの人に食べて貰うべきです。もちろん私がそのお手伝いをします。カリン様の料理を全世界に広めるのが私の使命です!」
存分に朝食を味わったアーニャは、徐に立ち上がって熱い想いを宣言したのだった。
栗は冷凍してから茹でると皮をむきやすいという知識を前世記憶から引き出して実行したから簡単にむけるのだ。
ショウも朝から来て栗の皮むきを手伝ってくれている。
『ふむ、これは中々美味だな』
グレンがむいたばかりの栗を食べて口をモグモグさせている。
「あっ、グレン、ダメだよ。これから栗ご飯とモンブランを作るんだから」
『先ずは素材の味見なのだ』
作らない者はそんな必要無いのに何かと理由を付けて食べようとするグレン。
「なるほど」
グレンの言葉に納得したように栗を口に放り込むショウ。
「ちょっと、グレン、ショウ、作る前に減っちゃうじゃない。まぁ、でも味見は必要ね」
二人が美味しそうに栗を食べるのを見て我慢できなくなった私も一口食べてみる。
あら? 仄かな甘さとナッツの風味が合わさって美味しいわね。
これは作りがいがありそうだわ。
ほろほろと口の中に広がる栗の味に笑みが零れる。
二人の協力もあって……グレンは味見だけだけど……何とか栗ご飯とモンブランが完成した。
これは明日、アーニャ達が来たときに食べて貰おう。
次はせっかく摂ってきたメープルシロップを味わうためにパンケーキを作る。
ああ、そうだ。栗がまだあるから栗入りのパンケーキを作ろう。
フワフワのパンケーキの中にホロホロの栗。さぞかし美味しいだろう。
ニヤニヤしながらパンケーキを作り始めるとショウとグレンが期待に瞳を輝かせた。
出来上がったパンケーキにバターをのせてメープルシロップをかける。
ミルクティーを入れている内にショウとグレンは涎を垂れ流しそうな顔でお皿の上のパンケーキを凝視していた。
「さあ、食べましょうか」
二人の母親になった気分で私が口を開くと二人同時にパンケーキを口にした。
『おおっ! これは美味である。でかしたカリン、合格だ!』
何に対して合格なのか分からない。だんだんグレンの言葉が意味不明に感じるのは気のせいだろうか?
「美味っ! すっげー美味っ! やっぱりカリンは天才だ!」
大げさに褒めるショウはやっぱりぶれない。
自分が作った料理を喜んで美味しそうに食べてくれる二人に笑顔が零れる。
私もパンケーキを一口口に入れてみた。パンケーキの中の栗の優しい甘さと少しクリーミーな感じとメープルシロップの甘さと深みのあるコクが合わさった美味しさが口の中に広がった。
「なにこれっ、美味っ!」
あまりの美味しさに思わず私は声をあげた。
これはもうお店のメニューに入れるしかないでしょ。
秋のメニュー……いや、ここでは今は冬だっけ?……冬のメニューとして提供しようかな?
あれ? そう言えば、この森にある食材って季節毎に採れるものがあるのかな? 今まであんまり意識していなかったけど調べてみよう。
私が思考の海で漂っていると、空のお皿を前に悲壮感に漂っている二人の姿が目に入った。
うん、食べたりないらしい。
そんな哀しそうな目をするのはやめて欲しい。また作ってあげたくなるではないか。
私がおかわりのパンケーキを作って目の前に置くと瞳をうるうるさせる二人。
いや、そんなに食べたかったのか。
そう思いつつも二人にとことん甘い私は、こんどはどんな美味しいものを作ってあげようかなと思考を巡らすのだった。
翌日、なぜかまたショウも当たり前のように一緒に朝食を摂っていると(決して泊まった訳ではない)アーニャが訪ねてきた。
今日の朝食は、メープルシロップのフレンチトーストだ。
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グレンとショウには多めに作ったが、食べるペースを見ていると多分おかわりは必至だろう。
「おはようございます。カリン様。何やらとても良い香りがするのですが」
「おはよう、アーニャ。今、朝食中だったの。メープルシロップのフレンチトーストよ。アーニャも食べる?」
私の言葉にアーニャの瞳が瞬時に光を増した。
「よろしいのですか?」
「もちろんよ!」
私の目の前に同じような表情で食べる人が三人に増えた。
やっぱり自分の料理を美味しそうに食べているのを見ると嬉しくなってしまう。
「カリン様、これはもっとたくさんの人に食べて貰うべきです。もちろん私がそのお手伝いをします。カリン様の料理を全世界に広めるのが私の使命です!」
存分に朝食を味わったアーニャは、徐に立ち上がって熱い想いを宣言したのだった。
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