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第百四十九話 天才魔導師の正体
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「ええー? 何これ?!」
「すっごーい! 可愛いわね」
「こんなの初めて見たわ」
女性陣が感嘆の声をあげる。
どうやらつかみは上々の様だ。
私は心の中でガッツポーズを取った。
「ほう! これは見事だな。味は……ほう、これは美味いな」
「ああ、流石カリンだ。天才だな」
ウォルフ様の感嘆の声にダンテさんが頷く。ショウと同じ感想なのは、同じ血が流れているせいかしら?
親子だなあ……
美味しい顔もそっくりだ。
「本当に美味しいわ。カリンちゃんの作る料理はとても珍しくと美味しいから嬉しいわ」
「そうね、このお菓子を食べられただけで会議に参加した甲斐があったわね」
「うーん、でも私達だけが味わうのはもったいない気がするわ。もって色んな人に広めたいわね」
「そうなんです! カリン様の料理は全世界の人々に味わって貰うべきなのです!」
エミュウさん、フランさん、ドロシーさんの言葉に熱く称賛するアーニャ。
会議が終わったので私はおやつも兼ねてお店で出す予定のお菓子を試食して貰う事にしたのだ。
モンブラン、マロンジェラート、マロンタルトを少しずつお皿に並べた栗づくしである。
モンブランの上には甘く煮た栗をのせ、お皿にお花の形を描いたメープルシロップの上にこんもりとジェラートを乗せ、マロンタルトの上にはブルーベリーとレッドベリーを飾ってみた。
見た目にも可愛らしくなるように拘っているのである。
評価は上々の様でみんな美味しそうに食べているので嬉しくなって顔がにやけてしまう。
私の料理でみんなが喜んでくれるのを見ると本当に充足感に包まれる。どんどん色んな料理を提供したくなってしまう。
早くお店を出して色んな人に食べて貰いたいと意欲が高まってくる。
十分に栗のお菓子を堪能してもらって、お土産も配るとみんな嬉しそうに帰って行った。
エミュウさんだけは話があると言っていたので私のお店に移動して貰うことにした。
「……あら、いつの間に……えっとノアだったわよね。こんにちは」
外に出ると、エミュウさんの隣にいる黒猫に気付いたので取り敢えず挨拶をした。
ずっと外で待っていたのだろうか?
『メディアーナ様の御子様、その節はご挨拶も出来ず失礼しました。僕はオルフェ様の命でクラレシア神聖王国の守護をしていました。ですが、ドメル帝国の罠に嵌り捉えられてしまったのです』
ジッと黒猫……ノアを見つめていると、徐に私の頭の中で声が響いてきた。
ん? ノアが話しているのかしら?
そう言えば、最初にノアに会ったときにグレンがノアのことを妖精猫だと言っていたのを思い出した。
ふーん、妖精猫って話せるんだぁ……
と感心していたら、続けてノアが私の頭の中で言葉を放つ。
『これまで、神獣様の意向により口を噤んでまいりました。ですが、御子様が記憶を取り戻したようなのでエミュウの告白と共に僕もこれまでの経緯をお話しようと思ったのです』
サワサワと風に揺れる木の葉の音が森の中で心地よく響く。陽の光が木の隙間から優しく差し込み、地面にはマダラに光と影が広がっていた。
「ごめんね、カリンちゃん。驚かせて……ノアも一緒に話をしたいって言うから……」
「えっと、そうね、先ずは私の店でゆっくり聞かせて貰うわ」
気まずそうなエミュウさんに私は穏やかな笑顔を向けお店の方に誘導した。
私達はお店に入るとその中の一つのテーブルを挟んで向かい合わせで腰を下ろした。
「さて、話って何かしら?」
「先ずは私の本当の姿を見せるわ」
「え? 本当の姿って?」
何を言っているのか分からなくて問いかけるとエミュウさんは立ち上がり、服の下に収まっていたネックレスを外した。
すると、一瞬で髪の毛の色が茶金髪から藍色に、瞳の色は黄緑から灰色に変化した。
私は驚きのあまり声を発することさえできなかった。
私と同じ藍色の髪……クラレシア人の特徴である灰色の瞳……
「クラレシア人……エミュウさんはクラレシア人なの?」
私の問いにエミュウさんはゆっくりと首を縦に振ると同意の言葉を発する。
「ええ、半分ね。私の父がクラレシア人で母がドメル人なの。父は魔導具師をしていて母が行商をしている時に父と知り合い私が生まれたのよ。それと、カリンちゃんって日本人としての記憶を持っているわよね。私もなのよ」
「ええっー!!」
クラレシア人って言うだけで吃驚なのにさらに前世が日本人って、うそでしょう?
思わずフリーズしたままエミュウさんのことを凝視してしまった。
エミュウさんは困ったような顔で私を見つめている。
いや、何がどうしてどうなってそうなの?
ああ、そう言えばエミュウさんってばカメラ、とか携帯電話とか、車とかをこの世界で製作していたわね。
そうか、あれは前世の記憶を元に開発していたのか。
妙に納得してしまった。
だったら、エミュウさんが私の前世が日本人だと推測したのは……料理ね。それしかないわ。私が作った料理を食べて私の前世が日本人だと思い当たったのね。
「ふふふっ、カリンちゃん驚きすぎよ。でも、そうね、私が直ぐに言えなかった理由と私の事情を話すわね」
エミュウさんはそう言って話し始めたのだった。
「すっごーい! 可愛いわね」
「こんなの初めて見たわ」
女性陣が感嘆の声をあげる。
どうやらつかみは上々の様だ。
私は心の中でガッツポーズを取った。
「ほう! これは見事だな。味は……ほう、これは美味いな」
「ああ、流石カリンだ。天才だな」
ウォルフ様の感嘆の声にダンテさんが頷く。ショウと同じ感想なのは、同じ血が流れているせいかしら?
親子だなあ……
美味しい顔もそっくりだ。
「本当に美味しいわ。カリンちゃんの作る料理はとても珍しくと美味しいから嬉しいわ」
「そうね、このお菓子を食べられただけで会議に参加した甲斐があったわね」
「うーん、でも私達だけが味わうのはもったいない気がするわ。もって色んな人に広めたいわね」
「そうなんです! カリン様の料理は全世界の人々に味わって貰うべきなのです!」
エミュウさん、フランさん、ドロシーさんの言葉に熱く称賛するアーニャ。
会議が終わったので私はおやつも兼ねてお店で出す予定のお菓子を試食して貰う事にしたのだ。
モンブラン、マロンジェラート、マロンタルトを少しずつお皿に並べた栗づくしである。
モンブランの上には甘く煮た栗をのせ、お皿にお花の形を描いたメープルシロップの上にこんもりとジェラートを乗せ、マロンタルトの上にはブルーベリーとレッドベリーを飾ってみた。
見た目にも可愛らしくなるように拘っているのである。
評価は上々の様でみんな美味しそうに食べているので嬉しくなって顔がにやけてしまう。
私の料理でみんなが喜んでくれるのを見ると本当に充足感に包まれる。どんどん色んな料理を提供したくなってしまう。
早くお店を出して色んな人に食べて貰いたいと意欲が高まってくる。
十分に栗のお菓子を堪能してもらって、お土産も配るとみんな嬉しそうに帰って行った。
エミュウさんだけは話があると言っていたので私のお店に移動して貰うことにした。
「……あら、いつの間に……えっとノアだったわよね。こんにちは」
外に出ると、エミュウさんの隣にいる黒猫に気付いたので取り敢えず挨拶をした。
ずっと外で待っていたのだろうか?
『メディアーナ様の御子様、その節はご挨拶も出来ず失礼しました。僕はオルフェ様の命でクラレシア神聖王国の守護をしていました。ですが、ドメル帝国の罠に嵌り捉えられてしまったのです』
ジッと黒猫……ノアを見つめていると、徐に私の頭の中で声が響いてきた。
ん? ノアが話しているのかしら?
そう言えば、最初にノアに会ったときにグレンがノアのことを妖精猫だと言っていたのを思い出した。
ふーん、妖精猫って話せるんだぁ……
と感心していたら、続けてノアが私の頭の中で言葉を放つ。
『これまで、神獣様の意向により口を噤んでまいりました。ですが、御子様が記憶を取り戻したようなのでエミュウの告白と共に僕もこれまでの経緯をお話しようと思ったのです』
サワサワと風に揺れる木の葉の音が森の中で心地よく響く。陽の光が木の隙間から優しく差し込み、地面にはマダラに光と影が広がっていた。
「ごめんね、カリンちゃん。驚かせて……ノアも一緒に話をしたいって言うから……」
「えっと、そうね、先ずは私の店でゆっくり聞かせて貰うわ」
気まずそうなエミュウさんに私は穏やかな笑顔を向けお店の方に誘導した。
私達はお店に入るとその中の一つのテーブルを挟んで向かい合わせで腰を下ろした。
「さて、話って何かしら?」
「先ずは私の本当の姿を見せるわ」
「え? 本当の姿って?」
何を言っているのか分からなくて問いかけるとエミュウさんは立ち上がり、服の下に収まっていたネックレスを外した。
すると、一瞬で髪の毛の色が茶金髪から藍色に、瞳の色は黄緑から灰色に変化した。
私は驚きのあまり声を発することさえできなかった。
私と同じ藍色の髪……クラレシア人の特徴である灰色の瞳……
「クラレシア人……エミュウさんはクラレシア人なの?」
私の問いにエミュウさんはゆっくりと首を縦に振ると同意の言葉を発する。
「ええ、半分ね。私の父がクラレシア人で母がドメル人なの。父は魔導具師をしていて母が行商をしている時に父と知り合い私が生まれたのよ。それと、カリンちゃんって日本人としての記憶を持っているわよね。私もなのよ」
「ええっー!!」
クラレシア人って言うだけで吃驚なのにさらに前世が日本人って、うそでしょう?
思わずフリーズしたままエミュウさんのことを凝視してしまった。
エミュウさんは困ったような顔で私を見つめている。
いや、何がどうしてどうなってそうなの?
ああ、そう言えばエミュウさんってばカメラ、とか携帯電話とか、車とかをこの世界で製作していたわね。
そうか、あれは前世の記憶を元に開発していたのか。
妙に納得してしまった。
だったら、エミュウさんが私の前世が日本人だと推測したのは……料理ね。それしかないわ。私が作った料理を食べて私の前世が日本人だと思い当たったのね。
「ふふふっ、カリンちゃん驚きすぎよ。でも、そうね、私が直ぐに言えなかった理由と私の事情を話すわね」
エミュウさんはそう言って話し始めたのだった。
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