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王太子編
第6話「国の重鎮との食事は顔がひきつりそう…」
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「この国を築いた『四人の大賢者』が四大公爵家の祖先。そして、たった一人の勇者が今の王族の始祖――」
そう語られるライタンド王国の建国伝説は、いまや私の中では当たり前の歴史となりつつある。
――もっとも、私が転生前にプレイしていた“ゲーム”の知識からすると、そこにはまだ秘密が隠されているように思えて仕方ないのだけれど。
何より、ここフローリアス家は“風”の大精霊ゲイルに守護される四大公爵家の一角。その中でも特に権力が高いと言われる理由は、祖父母や両親が国の重要ポストを務めているからだ。
今日はその「フローリアス家が誇る重鎮」たちが一堂に会する日。
めったにそろわない家族全員で、豪華な食卓を囲んでいる。
温かいスープにローストチキン、香り高いソースのかかった肉料理が並んだテーブルは、まるで高級ホテルのコース料理さながら。
でも、その豪華さに心奪われるより先に、私は“家族”という名の重鎮たちの面子に目を奪われていた。
祖父:元王直属の魔法騎士団大隊長、引退後は“王家顧問”として特別職に就いている
祖母:魔法教会理事長という要職(公的行事に深く関わる)
父(エルビス):王の側近であり宰相
母(マチルダ):魔法協会の幹部役員
あまりにも濃いメンツ……というか、国を動かす立場の人が、我が家に集合しているわけだ。
そんな家族会議めいた食事会、ただのOLだった私が経験できるはずもない空間だった。
ゲームでは「家族と会話する機会がほとんどなかったエマ」として描かれていたけど、こうして家族全員が揃うこともあるらしい。
「さあ、今宵は久しぶりに孫の可愛い顔を見られて嬉しいわ。エマ、たくさん食べてちょうだいね」
祖母が朗らかな笑みを向ける。銀髪を上品にまとめた気品ある女性で、魔法教会の理事長を務めているが、家族に対してはとても優しい。
「そうだ。大好きなスープも用意させたからな。遠慮せず食べるんだぞ、エマ」
隣の祖父がそれに続く。祖父母同士も仲が良く、二人はしきりに私を気遣ってくれる。
そんな温かな雰囲気とは対照的に、父と母は終始会話がない。
まるでお互いの存在を空気として扱っているかのようで、目さえ合わせようとしないのだ。
(……夫婦仲が良くないのかな? 母は気が強そうだし、父はあまり喋らないし……)
父・エルビスは銀色の髪と紫色の瞳を持ち、端正な顔立ちをしているが、ほとんど口を開かない。
母・マチルダは桃色の髪に赤い瞳の美人で凛とした雰囲気があるが、そんな彼女からは父を一瞥すらしようとしない冷えきった空気が感じ取れる。
私のほうを見ても、必要最低限の挨拶程度しか言葉をかけてこない。
「こうして家族がそろうのは本当に久しぶりですね。……あ、エマ、スープが冷めないうちに食べなさい」
母の口から出るのは食事の催促だけ。その声も淡々としていて、私が返事をしようとすると、すぐに祖母が話題を変えてしまう。
(まるで、祖母や祖父が間に入って気まずい空気を和らげようとしているみたい……)
おそらく両親の夫婦仲が冷えきっているせいで、会話が成り立たないのだろう。
そういうところが前世のゲームでの「エマが歪んでしまう原因」に繋がっていたのかもしれない。
しかし今の私としては、「家族愛を求めるほど幼くもないし、そこまで期待もしていない」。
寂しいと感じるエマの幼い心を思うと切ないが、現状ではどうにもできない。
スープを口に運びながら耳をそばだてると、祖父と祖母、そして父が国の話題を交わしている。
「そういえばみんなが揃ったのは、サイムスタ攻略作戦の終了以来かのう。半年ぶりかな」
祖父が懐かしそうに言う。サイムスタ樹海――闇魔力を持つ魔族が潜む危険地帯で、ダクネデオス魔王国とライタンド王国を隔てる天然の要塞だ。
「この前の作戦で、魔物の主要な巣穴を制圧できたのは大きかったが、今後の展開次第では危険も増すやもしれん。
……ま、今日はそんな深刻な話はやめにしよう。せっかくの家族団欒だからな」
祖父が軽く笑って話を打ち切る。父も「……はい」と静かに頷く。母のほうには目を向けようとしない。
どうやら、本格的な軍事の話や国際情勢は普段別の場所でしており、こういう場では深く議論しないようだ。
すると母が、何か思い出したかのように口を開いた。
「エルビス、次の聖誕祭はどうなるの? 魔法協会でも話が出ているけれど、王の側近であるあなたから詳しい情報は得られないのかしら」
父は少し視線を動かすが、母に顔を向けることなく、祖父母のほうを見ながら答える。
「……まだ確定ではありませんが、王宮では近々満月の夜に『新たなる聖女誕生』の可能性が高いという話です。
協会でも、探知能力者が動いていると聞きますが……マチルダ、あなたの耳にも入っているのでは?」
「ええ、まぁ……上層部では『水の公爵家、ウォータブルにいるリア様が最有力』って噂してますけど、実際どうなるかは分からないわね」
母は相変わらず、父の顔を見ずに事務的な口調で応じる。
そんな硬い雰囲気の会話が、隣で微笑ましく励ましてくれる祖母とは対照的で、少々息苦しい。
食事の最中、私はゲームで知っている「聖女暗殺事件」のことを思い出さずにはいられなかった。
ライタンド王国では光の魔力を持つ聖女が数十年ごとに現れ、その力で闇の魔力に対抗すると言われている。
もし次の聖女がウォータブル公爵家のリア様ならば、彼女が5年後に狙われるかもしれない……。
けれど、家族にそんなことを言い出すわけにもいかない。
(前世のゲームだと、暗殺された聖女の代わりに“庶民ヒロイン”が登場して、本編が始まるんだよね。
でもここで私が何もせず見過ごしたら、新しい聖女は殺される運命のままなのか……。)
胸の奥がチクチクする。しかし、テーブルを囲む家族のいる前で深く溜め息をつくわけにもいかない。
せいぜい、祖母に「たくさん食べてね、エマ」と声をかけられ、「はい。ありがとうございます」と返すくらい。
この食事会は結局、祖父母と私が和やかに話し、両親はほぼ沈黙したままという微妙なバランスで続いた。
戦争や政治のディープな話題は回避され、無難に時間が過ぎていく。
やがて最後のデザートが運ばれ、皆そろって口をつけたあと、「では今日はこれで」と食事会はお開きになった。
夕食後、自室のふかふかベッドへ放り出されるように倒れ込むと、私は思わず大きく息を吐いた。
「はあ……緊張した……」
豪華な食事を楽しめたかと言えば、正直“両親の重苦しい空気”で胃が痛かった。
幼いころのエマが、これを楽しみにしていたのか、それとも怯えていたのかは分からないけれど……今の私には、なんとも言えない居心地の悪さだった。
(でも、祖父母はとても優しく接してくれるし……父も寡黙だけど私のことを大切に思ってくれてるっぽいし……母は気が強いだけで、私に嫌がらせはしないし……)
だからこそ、夫婦仲が冷えきっている雰囲気が歯がゆいというか、子どもとしては居場所に困るというか。
ふと、ブレイディア王太子の“義母”との関係が頭をよぎる。
あちらはもっと悲惨な仕打ちを受けているわけで、私などまだマシだと考えるべきかもしれない。
思考は自然と“聖女誕生”や“暗殺事件”へとシフトしていく。
前世の記憶どおりなら、次の聖女が現れたあと5年後くらいに暗殺未遂事件が起き、その後ヒロインが“真の聖女”として表舞台へ出てくる……というシナリオだった。
けれど、実際にはゲームと違う展開が既にいくつも起きているし、必ずしも同じ道を辿るとは限らない。
(ダクネデオス魔王国との衝突も続いているし、サイムスタ樹海の攻略で兵は消耗しているはず。国王陛下や父はそこをどう捌くんだろう?
下手に首を突っ込んでも危険だけど……何か手立てがあれば……)
考えを巡らせても答えは出ない。私がこんなに小さいうちは、どうしようもない。
8歳の子どもが国の闇に迫ろうとすれば、むしろ破滅フラグ一直線だ。
「はあ……破滅は嫌だし、でも何もしないのももどかしい……」
悶々と呟きながら、ベッドの上でくるりと寝返りを打つ。
視界の端には、机に積まれた歴史書や魔法体系の本が映る。
結局、そのあたりの情報を収集するくらいしか今はできないのだ。
(この国で数百年続く魔王国との対立……聖女の命が狙われる危険……。今は頭に留めておくだけにしよう)
目を閉じると、ふわりと柔らかな布団が全身を包む。
父と母のぎくしゃくした態度も、祖父母の優しい笑みも、そしてブレイディアの無機質な笑顔も、頭の中で入り混じるように浮かんでくる。
――この平和は、いつまで続くのだろう。
王太子ブレイディア、新たな聖女と言われるウォータブル家のリア様、そして5年後に起きるかもしれない聖女暗殺事件。
そのどれもが、いずれ私自身にも深く関わるかもしれないと思うと、夜の静寂が一層重くのしかかる気がした。
「……でも、今は眠ろう。私が動ける時が来るまで。破滅フラグを避けるためにも、力を蓄えておかなくちゃ」
そう自分に言い聞かせ、ぎゅっと目を閉じる。
少しでも心を落ち着けようと、ふかふかの枕に顔を埋めると、次第に意識は柔らかな眠りへ誘われる。
いつかこの国の運命が大きく揺れる日――その日のために、せめて私にできることを見つけたい。
そう思いながら、私は夢の世界へ落ちていった。
そう語られるライタンド王国の建国伝説は、いまや私の中では当たり前の歴史となりつつある。
――もっとも、私が転生前にプレイしていた“ゲーム”の知識からすると、そこにはまだ秘密が隠されているように思えて仕方ないのだけれど。
何より、ここフローリアス家は“風”の大精霊ゲイルに守護される四大公爵家の一角。その中でも特に権力が高いと言われる理由は、祖父母や両親が国の重要ポストを務めているからだ。
今日はその「フローリアス家が誇る重鎮」たちが一堂に会する日。
めったにそろわない家族全員で、豪華な食卓を囲んでいる。
温かいスープにローストチキン、香り高いソースのかかった肉料理が並んだテーブルは、まるで高級ホテルのコース料理さながら。
でも、その豪華さに心奪われるより先に、私は“家族”という名の重鎮たちの面子に目を奪われていた。
祖父:元王直属の魔法騎士団大隊長、引退後は“王家顧問”として特別職に就いている
祖母:魔法教会理事長という要職(公的行事に深く関わる)
父(エルビス):王の側近であり宰相
母(マチルダ):魔法協会の幹部役員
あまりにも濃いメンツ……というか、国を動かす立場の人が、我が家に集合しているわけだ。
そんな家族会議めいた食事会、ただのOLだった私が経験できるはずもない空間だった。
ゲームでは「家族と会話する機会がほとんどなかったエマ」として描かれていたけど、こうして家族全員が揃うこともあるらしい。
「さあ、今宵は久しぶりに孫の可愛い顔を見られて嬉しいわ。エマ、たくさん食べてちょうだいね」
祖母が朗らかな笑みを向ける。銀髪を上品にまとめた気品ある女性で、魔法教会の理事長を務めているが、家族に対してはとても優しい。
「そうだ。大好きなスープも用意させたからな。遠慮せず食べるんだぞ、エマ」
隣の祖父がそれに続く。祖父母同士も仲が良く、二人はしきりに私を気遣ってくれる。
そんな温かな雰囲気とは対照的に、父と母は終始会話がない。
まるでお互いの存在を空気として扱っているかのようで、目さえ合わせようとしないのだ。
(……夫婦仲が良くないのかな? 母は気が強そうだし、父はあまり喋らないし……)
父・エルビスは銀色の髪と紫色の瞳を持ち、端正な顔立ちをしているが、ほとんど口を開かない。
母・マチルダは桃色の髪に赤い瞳の美人で凛とした雰囲気があるが、そんな彼女からは父を一瞥すらしようとしない冷えきった空気が感じ取れる。
私のほうを見ても、必要最低限の挨拶程度しか言葉をかけてこない。
「こうして家族がそろうのは本当に久しぶりですね。……あ、エマ、スープが冷めないうちに食べなさい」
母の口から出るのは食事の催促だけ。その声も淡々としていて、私が返事をしようとすると、すぐに祖母が話題を変えてしまう。
(まるで、祖母や祖父が間に入って気まずい空気を和らげようとしているみたい……)
おそらく両親の夫婦仲が冷えきっているせいで、会話が成り立たないのだろう。
そういうところが前世のゲームでの「エマが歪んでしまう原因」に繋がっていたのかもしれない。
しかし今の私としては、「家族愛を求めるほど幼くもないし、そこまで期待もしていない」。
寂しいと感じるエマの幼い心を思うと切ないが、現状ではどうにもできない。
スープを口に運びながら耳をそばだてると、祖父と祖母、そして父が国の話題を交わしている。
「そういえばみんなが揃ったのは、サイムスタ攻略作戦の終了以来かのう。半年ぶりかな」
祖父が懐かしそうに言う。サイムスタ樹海――闇魔力を持つ魔族が潜む危険地帯で、ダクネデオス魔王国とライタンド王国を隔てる天然の要塞だ。
「この前の作戦で、魔物の主要な巣穴を制圧できたのは大きかったが、今後の展開次第では危険も増すやもしれん。
……ま、今日はそんな深刻な話はやめにしよう。せっかくの家族団欒だからな」
祖父が軽く笑って話を打ち切る。父も「……はい」と静かに頷く。母のほうには目を向けようとしない。
どうやら、本格的な軍事の話や国際情勢は普段別の場所でしており、こういう場では深く議論しないようだ。
すると母が、何か思い出したかのように口を開いた。
「エルビス、次の聖誕祭はどうなるの? 魔法協会でも話が出ているけれど、王の側近であるあなたから詳しい情報は得られないのかしら」
父は少し視線を動かすが、母に顔を向けることなく、祖父母のほうを見ながら答える。
「……まだ確定ではありませんが、王宮では近々満月の夜に『新たなる聖女誕生』の可能性が高いという話です。
協会でも、探知能力者が動いていると聞きますが……マチルダ、あなたの耳にも入っているのでは?」
「ええ、まぁ……上層部では『水の公爵家、ウォータブルにいるリア様が最有力』って噂してますけど、実際どうなるかは分からないわね」
母は相変わらず、父の顔を見ずに事務的な口調で応じる。
そんな硬い雰囲気の会話が、隣で微笑ましく励ましてくれる祖母とは対照的で、少々息苦しい。
食事の最中、私はゲームで知っている「聖女暗殺事件」のことを思い出さずにはいられなかった。
ライタンド王国では光の魔力を持つ聖女が数十年ごとに現れ、その力で闇の魔力に対抗すると言われている。
もし次の聖女がウォータブル公爵家のリア様ならば、彼女が5年後に狙われるかもしれない……。
けれど、家族にそんなことを言い出すわけにもいかない。
(前世のゲームだと、暗殺された聖女の代わりに“庶民ヒロイン”が登場して、本編が始まるんだよね。
でもここで私が何もせず見過ごしたら、新しい聖女は殺される運命のままなのか……。)
胸の奥がチクチクする。しかし、テーブルを囲む家族のいる前で深く溜め息をつくわけにもいかない。
せいぜい、祖母に「たくさん食べてね、エマ」と声をかけられ、「はい。ありがとうございます」と返すくらい。
この食事会は結局、祖父母と私が和やかに話し、両親はほぼ沈黙したままという微妙なバランスで続いた。
戦争や政治のディープな話題は回避され、無難に時間が過ぎていく。
やがて最後のデザートが運ばれ、皆そろって口をつけたあと、「では今日はこれで」と食事会はお開きになった。
夕食後、自室のふかふかベッドへ放り出されるように倒れ込むと、私は思わず大きく息を吐いた。
「はあ……緊張した……」
豪華な食事を楽しめたかと言えば、正直“両親の重苦しい空気”で胃が痛かった。
幼いころのエマが、これを楽しみにしていたのか、それとも怯えていたのかは分からないけれど……今の私には、なんとも言えない居心地の悪さだった。
(でも、祖父母はとても優しく接してくれるし……父も寡黙だけど私のことを大切に思ってくれてるっぽいし……母は気が強いだけで、私に嫌がらせはしないし……)
だからこそ、夫婦仲が冷えきっている雰囲気が歯がゆいというか、子どもとしては居場所に困るというか。
ふと、ブレイディア王太子の“義母”との関係が頭をよぎる。
あちらはもっと悲惨な仕打ちを受けているわけで、私などまだマシだと考えるべきかもしれない。
思考は自然と“聖女誕生”や“暗殺事件”へとシフトしていく。
前世の記憶どおりなら、次の聖女が現れたあと5年後くらいに暗殺未遂事件が起き、その後ヒロインが“真の聖女”として表舞台へ出てくる……というシナリオだった。
けれど、実際にはゲームと違う展開が既にいくつも起きているし、必ずしも同じ道を辿るとは限らない。
(ダクネデオス魔王国との衝突も続いているし、サイムスタ樹海の攻略で兵は消耗しているはず。国王陛下や父はそこをどう捌くんだろう?
下手に首を突っ込んでも危険だけど……何か手立てがあれば……)
考えを巡らせても答えは出ない。私がこんなに小さいうちは、どうしようもない。
8歳の子どもが国の闇に迫ろうとすれば、むしろ破滅フラグ一直線だ。
「はあ……破滅は嫌だし、でも何もしないのももどかしい……」
悶々と呟きながら、ベッドの上でくるりと寝返りを打つ。
視界の端には、机に積まれた歴史書や魔法体系の本が映る。
結局、そのあたりの情報を収集するくらいしか今はできないのだ。
(この国で数百年続く魔王国との対立……聖女の命が狙われる危険……。今は頭に留めておくだけにしよう)
目を閉じると、ふわりと柔らかな布団が全身を包む。
父と母のぎくしゃくした態度も、祖父母の優しい笑みも、そしてブレイディアの無機質な笑顔も、頭の中で入り混じるように浮かんでくる。
――この平和は、いつまで続くのだろう。
王太子ブレイディア、新たな聖女と言われるウォータブル家のリア様、そして5年後に起きるかもしれない聖女暗殺事件。
そのどれもが、いずれ私自身にも深く関わるかもしれないと思うと、夜の静寂が一層重くのしかかる気がした。
「……でも、今は眠ろう。私が動ける時が来るまで。破滅フラグを避けるためにも、力を蓄えておかなくちゃ」
そう自分に言い聞かせ、ぎゅっと目を閉じる。
少しでも心を落ち着けようと、ふかふかの枕に顔を埋めると、次第に意識は柔らかな眠りへ誘われる。
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そう思いながら、私は夢の世界へ落ちていった。
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