12 / 30
11話 別人
しおりを挟む
「──、先生はまだこの方たちと話があるから、先に教室に帰っててくれ」
中田先生がそう告げた。俺もそそくさと会議室を後にしよう。
と、思ったのだが。
会議室を出た途端、俺の体は反射的にフリーズしてしまった。
平本がいた。
保健室から出てきたあいつはまるで人形のようだった。肌はぬけるように白く、何を考えているのかわからない妖しい表情は、見る者すべてを虜にしてしまいそうな魅力を持っていた。モデルのような体型に整った顔、胸や尻はまだまだ成長途中だがこれでも結構すご……って俺は何を考えているんだ!?見惚れてる場合じゃねえだろ!!
「あ、あの、すみません」
あっ。
「えっと……2年1組って何処にあるかわかりませんか?」
や、やべえ。コミュ症がでてしまう……
「??どうか、しましたか??」
か、かかか顔があああああ!!!近い!近いって!!
「た、多分、2階の端っこじゃないかなあ?ほ、ほら、音楽室の隣の」
なんで多分だよ!俺のクラスだろうが!てかなんで疑問系なんだよ!
「あの、端っこって……」
「あ、ああ、東棟のあれね」
「東棟ですか!ありがとうございます!」
平本が超高速でお辞儀してくる。いい匂いがふわってした。いい匂いがふわってした。大事なことなので2回言いました。
「あ!あと、あなた私と同じクラスですよね?名前はなんて言うんですか?」
平本が聞いてくる。
「え、え?お、俺は────だけど、」
「──さんですね!覚えておきます!どうもありがとうございます!!」
また平本が超高速でお辞儀してきた。ラベンダーの香りがした。要するに、いい匂いがふわってした。大事なことなので3回言いました。
平本がたたたっと駆けていくと、俺は脱力したタコみたいにヘナヘナと崩れ落ちてしまった。
「はあ……」
大きなため息をつく。そしてつぶやくように嘆いた。
「何だよあれ……口調も性格もまるで別人じゃねえか……」
-------------------------
「先生、あの少年は一体何者なんですか?」
平本の父親が口を開く。
「そうですね……天才、とか神童という言葉が世界一似合う少年、とでも言ったほうがいいんでしょうか」
中田先生は困ったように頬をポリポリと掻いた。
「あいつは一度地獄を見てますからねえ。並の精神力じゃあありません。それに、あいつ自身も自分が天才であることを理解していますからね。つくづく恐ろしい子ですよ、彼は」
「と、いうと?」
平本の父親が理解できないといった様子で中田先生に聞く。
「私もよくはわかりません。私は彼じゃありませんからね。ただ……」
中田先生は少しためて答えた。
「彼は、本当に平本さんを覚えているんでしょうか?」
中田先生がそう告げた。俺もそそくさと会議室を後にしよう。
と、思ったのだが。
会議室を出た途端、俺の体は反射的にフリーズしてしまった。
平本がいた。
保健室から出てきたあいつはまるで人形のようだった。肌はぬけるように白く、何を考えているのかわからない妖しい表情は、見る者すべてを虜にしてしまいそうな魅力を持っていた。モデルのような体型に整った顔、胸や尻はまだまだ成長途中だがこれでも結構すご……って俺は何を考えているんだ!?見惚れてる場合じゃねえだろ!!
「あ、あの、すみません」
あっ。
「えっと……2年1組って何処にあるかわかりませんか?」
や、やべえ。コミュ症がでてしまう……
「??どうか、しましたか??」
か、かかか顔があああああ!!!近い!近いって!!
「た、多分、2階の端っこじゃないかなあ?ほ、ほら、音楽室の隣の」
なんで多分だよ!俺のクラスだろうが!てかなんで疑問系なんだよ!
「あの、端っこって……」
「あ、ああ、東棟のあれね」
「東棟ですか!ありがとうございます!」
平本が超高速でお辞儀してくる。いい匂いがふわってした。いい匂いがふわってした。大事なことなので2回言いました。
「あ!あと、あなた私と同じクラスですよね?名前はなんて言うんですか?」
平本が聞いてくる。
「え、え?お、俺は────だけど、」
「──さんですね!覚えておきます!どうもありがとうございます!!」
また平本が超高速でお辞儀してきた。ラベンダーの香りがした。要するに、いい匂いがふわってした。大事なことなので3回言いました。
平本がたたたっと駆けていくと、俺は脱力したタコみたいにヘナヘナと崩れ落ちてしまった。
「はあ……」
大きなため息をつく。そしてつぶやくように嘆いた。
「何だよあれ……口調も性格もまるで別人じゃねえか……」
-------------------------
「先生、あの少年は一体何者なんですか?」
平本の父親が口を開く。
「そうですね……天才、とか神童という言葉が世界一似合う少年、とでも言ったほうがいいんでしょうか」
中田先生は困ったように頬をポリポリと掻いた。
「あいつは一度地獄を見てますからねえ。並の精神力じゃあありません。それに、あいつ自身も自分が天才であることを理解していますからね。つくづく恐ろしい子ですよ、彼は」
「と、いうと?」
平本の父親が理解できないといった様子で中田先生に聞く。
「私もよくはわかりません。私は彼じゃありませんからね。ただ……」
中田先生は少しためて答えた。
「彼は、本当に平本さんを覚えているんでしょうか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる