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22話 どう考えてもこの席順は仕組まれている
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徳丸と松原と俺は一旦自分の掃除場所に戻り(徳丸は使わしてもらってる会議室)、何事もなかったかのように5,6限目を過ごした。
休憩時間中、松原が慌てたようにトイレへ駆け込んでいたが、俺は見なかったことにした。
-------------------------
「じゃあ皆さん、順番にクジを引いていってください!」
多廻が呼びかける。クラスはいつも以上にざわついていた。
今は7限目のロングホームルームの時間だ。今回やることは席替え。そう、今年初めての席替えである。
席替えはリア充の生命線だ。俺のクラスは殆どメンバーが変わっていない。つまり、「〇〇くんと〇〇ちゃんは付き合ってるから隣の席に…キャーっ!」ていうことが当たり前のように起こる。俺の場合は浅田以外だったら正直誰でもいい。いやね、真の平等主義者である俺がなに人のこと勝手に選別してんだよって頭の中で天使が言ってるんだけどまあ別に浅田でもいいんだけどあいつめっちゃ視線が怖いし何よりあっちの方も嫌だと思うんすよね平本のこととかもあるし何より俺嫌われ体質ってやつだし。確かにそれがただの照れ隠しって場合も否定できなくはないんだがその照れ隠しに至るイベントらしいイベントが今まで皆無だったわけでもし照れ隠しだったとしても隠しすぎだよねもはや殺意と悪意で照れを覆っちゃってるよねだからまあ俺は嫌われてるんですよだから正直隣とかになっちゃうとちょっとキツいというかいやいや俺じゃなくて浅田のほうがキツいと思うんすよちなみにこれフラグじゃないからね絶対フラグじゃないからねあでも俺よく考えたら浅田の取り巻きたちにも嫌われてるわおっとーこれはだれとも隣になっちゃいけないパターンですねぇ辛いねぇハッハーいきなり振り出しに戻っちゃったよどうすればいいんですかねえこれ真の平等主義者であり学年随一の嫌われ者で全男子達への嫌悪を一心に引き受けるル○ーシュ的サンドバッグくん的存在の俺でもちょっと処理しきれないレベルですねえ果たして俺は誰と隣になればいいんだろう……
はあ……
自分で考えてて虚しくなったのでやめました。はい。贅沢言ってすみませんでした。
今頃女子たちは「──の隣だけはいやだよねー」「ねー」みたいな会話をしているのだろうか。ヤバい、泣きそうになる。うう、俺、コミュ症なだけでほんとは優しいのに…
半泣きでクジを取りに行き、席で番号を確認する。俺は…9か。隣になった人はご愁傷さまだな。ドンマイとしか言いようがねえ。
そして、多廻がランダムに配置された番号が書かれた席表をテレビに映す。俺の席はいわゆる世間一般で言う西片ポジだった。ポジションだけラブコメしてそうとかどんだけ虚しい男だよ。運命の神様に見捨てられすぎだ。あとラブコメの神様にも。ちゃんと元旦は神社行ったのに…。
ちなみに隣は22だった。誰なのだろう。
机の中身と鞄を持って西片ポジへ移動する。ちくしょう、なんで隣が高木さんじゃないんだよ!ここへ来るときはラブコメするときだって決めてたのに!
と、愚痴を垂れてたその時だった。
「い、い……」
隣の席から悲鳴の予兆みたいなのが聞こえてきた。よし、ここは冷静に俺も叫び返そう。そうすれば虚しさも半減するはずだ。
そして隣の席のやつに顔を向けて叫ぶ。
ほとんど同時だった。
「い、いやああああああああああああああ!!!」
「ああああ⤵ぁぁぁぁぁああ⤴あああああ!!??」
俺の叫びは、途中から驚愕と困惑の入り混じった本物の絶叫へと変わった。
まあ、そんなこんなで。少なくとも、こんな感じで。
俺の隣は、悲しきかな。
「な、なんであんたなのよ!!」
浅田萌夏さんに、なってしまったのだった。
休憩時間中、松原が慌てたようにトイレへ駆け込んでいたが、俺は見なかったことにした。
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「じゃあ皆さん、順番にクジを引いていってください!」
多廻が呼びかける。クラスはいつも以上にざわついていた。
今は7限目のロングホームルームの時間だ。今回やることは席替え。そう、今年初めての席替えである。
席替えはリア充の生命線だ。俺のクラスは殆どメンバーが変わっていない。つまり、「〇〇くんと〇〇ちゃんは付き合ってるから隣の席に…キャーっ!」ていうことが当たり前のように起こる。俺の場合は浅田以外だったら正直誰でもいい。いやね、真の平等主義者である俺がなに人のこと勝手に選別してんだよって頭の中で天使が言ってるんだけどまあ別に浅田でもいいんだけどあいつめっちゃ視線が怖いし何よりあっちの方も嫌だと思うんすよね平本のこととかもあるし何より俺嫌われ体質ってやつだし。確かにそれがただの照れ隠しって場合も否定できなくはないんだがその照れ隠しに至るイベントらしいイベントが今まで皆無だったわけでもし照れ隠しだったとしても隠しすぎだよねもはや殺意と悪意で照れを覆っちゃってるよねだからまあ俺は嫌われてるんですよだから正直隣とかになっちゃうとちょっとキツいというかいやいや俺じゃなくて浅田のほうがキツいと思うんすよちなみにこれフラグじゃないからね絶対フラグじゃないからねあでも俺よく考えたら浅田の取り巻きたちにも嫌われてるわおっとーこれはだれとも隣になっちゃいけないパターンですねぇ辛いねぇハッハーいきなり振り出しに戻っちゃったよどうすればいいんですかねえこれ真の平等主義者であり学年随一の嫌われ者で全男子達への嫌悪を一心に引き受けるル○ーシュ的サンドバッグくん的存在の俺でもちょっと処理しきれないレベルですねえ果たして俺は誰と隣になればいいんだろう……
はあ……
自分で考えてて虚しくなったのでやめました。はい。贅沢言ってすみませんでした。
今頃女子たちは「──の隣だけはいやだよねー」「ねー」みたいな会話をしているのだろうか。ヤバい、泣きそうになる。うう、俺、コミュ症なだけでほんとは優しいのに…
半泣きでクジを取りに行き、席で番号を確認する。俺は…9か。隣になった人はご愁傷さまだな。ドンマイとしか言いようがねえ。
そして、多廻がランダムに配置された番号が書かれた席表をテレビに映す。俺の席はいわゆる世間一般で言う西片ポジだった。ポジションだけラブコメしてそうとかどんだけ虚しい男だよ。運命の神様に見捨てられすぎだ。あとラブコメの神様にも。ちゃんと元旦は神社行ったのに…。
ちなみに隣は22だった。誰なのだろう。
机の中身と鞄を持って西片ポジへ移動する。ちくしょう、なんで隣が高木さんじゃないんだよ!ここへ来るときはラブコメするときだって決めてたのに!
と、愚痴を垂れてたその時だった。
「い、い……」
隣の席から悲鳴の予兆みたいなのが聞こえてきた。よし、ここは冷静に俺も叫び返そう。そうすれば虚しさも半減するはずだ。
そして隣の席のやつに顔を向けて叫ぶ。
ほとんど同時だった。
「い、いやああああああああああああああ!!!」
「ああああ⤵ぁぁぁぁぁああ⤴あああああ!!??」
俺の叫びは、途中から驚愕と困惑の入り混じった本物の絶叫へと変わった。
まあ、そんなこんなで。少なくとも、こんな感じで。
俺の隣は、悲しきかな。
「な、なんであんたなのよ!!」
浅田萌夏さんに、なってしまったのだった。
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