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曙
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インターホンでの応答から、すぐに声の主と思しき男性が出入口に現れる。
子供達の安全上の理由で、直接出入可能な場所は全て建物内部からしか解錠できないのだと言う。
広い裏庭には物理的に外部からの侵入が不可能であるため、子供達も裏庭には自由に出入しているのだと、その男性が説明してくれたのだが。
『あっ!申し遅れました』
ガジュマルの家で子供達の学びをサポートしている松田が自己紹介をする。
陽と目線を合わせるように少し膝を折り目線を合わせるが、警戒心剥き出しの陽は朔也の後ろに隠れてしまう。
松田を警戒していると言うよりは、知らない場所に対しての警戒のように見える。
そんな陽に無理して近づこうともせず、松田は奥に園長がいるからと案内してくれる。
前を歩く前田は少し左足を引き摺っている。朔也の視線に気付いたのだろう。
松田が中学生の頃、交通事故に巻き込まれ生死を彷徨ったのだと話してくれた。
内蔵と左足に大きな損傷を受け、1年以上を工藤総合病院で過ごしたのだと言う。
その間、何度か手術を受けたが、左足は完全には治ることなく後のリハビリで、ここまで動かせるようになったと言うが
『院内学級で、ここの園長と知り合ったから』
リハビリの痛みに立ち向かえたのだと笑顔を見せている。
卑屈にならず、今の自分があるのは園長のおかげであり、いつか園長のようになりたくて、教員になったと語る松田は、どこか誇らしげだ。
『まだまだ園長の足元にも及びませんが』
子供達が自分の未来を楽しみにできるよう手伝いたいと、そこまで話したところで、木製のドアの前にたどり着いた。
特にノックをすることもなく開けられたドアの向こうは30畳ほどある教室らしき部屋で、皆が思い思いに工作をしている。
鋸や釘を使い板を加工しているが、中高生ほどの子供達は小学生に道具を安全に使うよう教えつつ、ここぞと言う時には手を貸したりしているようだ。
その様子を注意深くも温かく見守る初老の男性こそが、ガジュマルの家の園長、南雲恭平だ。
『天海さんですね』
工藤から話を聞いているようだ。
お待ちしていましたよ、と言われ、やはり初めに陽と視線を合わせようと膝を折る。
やはり初めての場所を警戒しているのだろう。朔也と繋いだ陽の手にギュッと力が入る。
南雲も松田同様、陽に無理して近付くようなことはせず、それでも陽の視界に入る場所で、朔也と松田と世間話のように学園の紹介を始めた。
その時、陽の視線は工作に取り組む生徒達に向けられていた。
子供達の安全上の理由で、直接出入可能な場所は全て建物内部からしか解錠できないのだと言う。
広い裏庭には物理的に外部からの侵入が不可能であるため、子供達も裏庭には自由に出入しているのだと、その男性が説明してくれたのだが。
『あっ!申し遅れました』
ガジュマルの家で子供達の学びをサポートしている松田が自己紹介をする。
陽と目線を合わせるように少し膝を折り目線を合わせるが、警戒心剥き出しの陽は朔也の後ろに隠れてしまう。
松田を警戒していると言うよりは、知らない場所に対しての警戒のように見える。
そんな陽に無理して近づこうともせず、松田は奥に園長がいるからと案内してくれる。
前を歩く前田は少し左足を引き摺っている。朔也の視線に気付いたのだろう。
松田が中学生の頃、交通事故に巻き込まれ生死を彷徨ったのだと話してくれた。
内蔵と左足に大きな損傷を受け、1年以上を工藤総合病院で過ごしたのだと言う。
その間、何度か手術を受けたが、左足は完全には治ることなく後のリハビリで、ここまで動かせるようになったと言うが
『院内学級で、ここの園長と知り合ったから』
リハビリの痛みに立ち向かえたのだと笑顔を見せている。
卑屈にならず、今の自分があるのは園長のおかげであり、いつか園長のようになりたくて、教員になったと語る松田は、どこか誇らしげだ。
『まだまだ園長の足元にも及びませんが』
子供達が自分の未来を楽しみにできるよう手伝いたいと、そこまで話したところで、木製のドアの前にたどり着いた。
特にノックをすることもなく開けられたドアの向こうは30畳ほどある教室らしき部屋で、皆が思い思いに工作をしている。
鋸や釘を使い板を加工しているが、中高生ほどの子供達は小学生に道具を安全に使うよう教えつつ、ここぞと言う時には手を貸したりしているようだ。
その様子を注意深くも温かく見守る初老の男性こそが、ガジュマルの家の園長、南雲恭平だ。
『天海さんですね』
工藤から話を聞いているようだ。
お待ちしていましたよ、と言われ、やはり初めに陽と視線を合わせようと膝を折る。
やはり初めての場所を警戒しているのだろう。朔也と繋いだ陽の手にギュッと力が入る。
南雲も松田同様、陽に無理して近付くようなことはせず、それでも陽の視界に入る場所で、朔也と松田と世間話のように学園の紹介を始めた。
その時、陽の視線は工作に取り組む生徒達に向けられていた。
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