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機織りの妻6

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馬を走らせ、二人は都に向かう。隣町にある警備隊に村長の親戚宅を教え、人さらいを取り締まるように伝える。清隆の胸にある勲章を見た警備隊長は、ふんぞり返っていた態度を瞬時に変え、バッタのように頭を何度も下げていた。

「ねぇ、清隆さん。隊長さんはあなたを見て驚いていたけど、どうして?」
「あー、多分これだろうな」

 清隆は肩につけていた徽章を指さした。出世をしたと聞いたけれど、雪乃は軍のことは詳しくない。

「戦場で偉い人を庇ったんだ。その時に腕と度胸を見込まれて……少し階級が上がった」

 菊の模様の下に一と刺繍されている。清隆の説明では、伍長といって下士官になったという。将来を見込まれた証だった。

「雪乃には苦労させたくないから、もっと上を目指すつもりだ」
「でも……怪我なんかしないでね」

 軍にいれば厳しい訓練が課される。それを厭うようでは、上を目指すことはできない。だがそんなことはおくびにも出さないで、清隆は口の端をそっと上げただけだった。

「今日はここで休もう」

 都にいく街道沿いにある旅籠は、こぢんまりとしているが居心地の良さそうな建物だ。温泉が湧き、湯が豊富にあるという。

「雪乃、馬に乗り疲れただろう。先に湯を浴びよう」
「はい」

 部屋に入った途端、くつろぎ始めた清隆は軍服の釦を外していく。上着を脱ぐと、屈強な体躯には無数の傷痕がついていた。カチャリと音をたててベルトを外し、ズボンを脱ぐと縦おりのしじら柄の浴衣を羽織る。

 雪乃も旅装を解くと白地に朝顔の模様のついた浴衣を選んだ。紫の兵児帯を締めたところで、後ろから手が伸びてくる。

「あなた?」
「風呂の用意ができるまで……まだ時間がかかるようだ」

 首元に頭を乗せた清隆は、ぐっと引き寄せて身体を密着させる。馬上でも抱かれていたが、今は部屋に二人きりだ。

「まだ汗を流していません」
「そんなのは構わない。だが……雪乃が怖がるようなら何もしない」
「怖いだなんて」

 確かに、誠一に襲われそうになった時は怖かった。だが、今雪乃の身体に触れているのは、恋しくてたまらなかった清隆だ。全く違う。

「あなたになら……どこを触られても気持ちいいもの」

 雪乃がはにかみながら答えると、清隆はごくりと唾を飲み込み喉ぼとけを大きく動かした。

「雪乃……なら、触るぞ」

 浴衣の上から、大きな手の平がなぞるように動き始める。まろやかな臀部の形を確認するように撫でながら、下乳を持ち上げた。そしてうなじの匂いを嗅ぎつつ、耳たぶを甘く噛まれる。

「胸が大きくなったか?」
「だって……もうすぐ二十歳はたちだもの。あの頃とは、違います」
「だったら今夜は、たくさん違いを見せて貰おう」

 不埒に動く手の平から、官能が引き出される。久しぶりとなる睦みあいに、トクトクと胸が高まる。けれど、まだ旅でかいた汗さえ拭いていない。

「清隆さん、せめて身体を拭いてから」
「構わないと言っただろう」

 まだ布団も出していないのに、青畳の上に横にされ浴衣を剥ぎ取られる。茜色の光が部屋に差し込み、雪乃の白い肌をほのかに浮かび上がらせた。

「綺麗だ……雪乃……何度この肌を思い浮かべたことか」

 清隆は丸みのある乳房に吸い寄せられるように唇を寄せ、しこった先端に食いついた。汗ばむ肌を撫でながら、乳房を揉みしだく。興奮した清隆の息が荒くなりはじめ、時折柔らかい肌に吸い付くと痕を残す。

「はぁっ……ああっ……あなたっ……あっ」

 性急な夫の愛撫で、身体が高められていく。下半身が疼き始めると、あわいに蜜が滴りはじめる。蜜に群がる蜂のように、清隆は顔を下ろしてそれを舐め始めた。

「ああんっ、そんなところ……だめぇ……っ」

 膝の間にある頭を抑えても、びくともしない。むしろ膝の頭を手で押さえつけられ、大きく広げられる。ぴちゃりぴちゃりといやらしい音を立て、清隆は赤く膨らんだ陰核に吸い付いた。

「あああっ、だめぇ、もうっ……ああっ」

 ビクン、ビクンと身体が震え、快感が背中を貫き全身が愉悦に染まる。脳天が真っ白になるほどの快感に、雪乃は身体をのけ反らせた。

「気をやったか……雪乃」
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