吉田定理の短い小説集(3000文字以内)

吉田定理

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『後輩のマネージャーからもらったチョコの中に唐揚げが入っていた』 約850文字 PIXIV企画用

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 後輩のマネージャーからもらったチョコの中に唐揚げが入っていた。2月14日……バレンタインデーの部活のあと、俺は後輩から近所の公園に呼び出された。「急に呼び出してすみません」後輩は申し訳なさそうに白い息を吐いた。「先輩、これ、もらってくれませんか」と後輩が可愛らしい包みを差し出してきたとき、俺は内心では小躍りしたいくらい嬉しかった。そのマネージャーは子猫のように可愛らしくて、部の中でも人気があって、誰もが彼女と付き合いたいと思っていた。だから俺は明らかに豪華で本命にしか見えないプレゼントの包みに驚き、「え? ホントに俺なんかがもらっていいの?」と聞き返した。「ホントに、先輩にもらってほしいんです」後輩は恥ずかしそうに頬を赤らめた。「あ、ありがとう。めちゃくちゃ嬉しいよ」俺はドキドキしながら包みを受け取った。「開けていい?」「はい、うまくできませんでしたけど……」「手作りなの!?」俺ははやる気持ちを抑えて包みの紐をそっとほどき、中から箱を取り出し、ふたを開けた。握りこぶしほどもある、握りこぶしみたいなチョコの塊が、ドンとひとつ入っていた。なぜか香ばしい香り。「キミが作ったの?」「……はい。不格好ですよね」「そんなことないよ! こんなに力強いチョコ、初めてだよ! 食べてもいい?」「はい……」見た目はアレだけど味はきっと美味しいに違いない。なんせ、彼女はとても可愛いし。俺はチョコを持ち上げてひと口噛んだ。口の中にチョコの甘さと、何か柔らかくてジューシーな香ばしさが広がった。「唐揚げ……?」思わず眉をひそめた。「まずかったですか……? 先輩は唐揚げが大好物だって聞いたので」チョコの中に唐揚げとは少々不思議だが、後輩は俺のことを考えて一生懸命作ってくれたに違いない。悲しませるわけにはいかないのだ。「いや、俺、マジで唐揚げめっちゃ好きなんだよ。うまい! これ死ぬほどうまいよ! 最高だよ! ありがとう!」「じゃあ、今度は先輩のドリンクにも唐揚げを入れておきますね!」「それはやめてくれ」こうして俺と後輩の恋路は終わった。
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