リースス・レーニス

大神ヒラメ

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辛辣

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フィエルが声の聞こえる方向を見ると、白髪の老人がニコニコと微笑んでいた。
「あぁ…死に損なったんですね。」
フィエルと呼ばれた少年は、白髪の老人に向かって苦笑いをしていた。
「フィエルくん…仮にもボスに向かってその言動はどうかと思うよ…」
白髪の老人は肩をすくめて残念そうな顔をしていた。
「あぁ…あ…」
グレスは怯えて顔面蒼白になっていた。
「いやーホントに助かったよフィエルくん。私が打たれる直前にグレス氏の腕を折ってくれて…あそこで打たれてたら額に風穴が空いたところだったよ。」
ラールはニコニコと微笑んでフィエルに礼を言った。
「俺としては残念ですね。ボスの額に風が通れば、もっといい悪知恵が生み出されるんじゃないかと期待していたんですけどね…」
「君は相変わらず辛辣だねぇ…」
フィエルの辛辣なジョークに、ラールはやれやれと苦笑いをしていた。
2人が会話してる今のうちに…!と逃げようとしたグレスをフィエルが見逃すはずもなく、フィエルはグレスの服の襟を掴んだ。
「ボス、こいつ持って帰って自由に使っていいんですよね?」
「ん?いいんじゃない?ここの構成員達がソレに敬意を払ってる様子なんて無かったし。持ち帰ったところで誰も悲しまないと思うけど…持ち帰ってどうするんだい?可燃ごみを持ち帰れるほど、うちの車は大きくないよ。」
「可燃ごみなんかじゃないですよ。アイツの大事な精神安定剤になります。」
「あぁ…あのマッドサイエンティストか…ソレに同情するよ…」 
ラールはフィエルの提案を聞いてグレスに同情し、哀れみの目を向けた。
「良かったな豚野郎。うちのマッドサイエンティストが丁寧にもてなしてやるよ。」
フィエルは黒い笑顔を浮かべながらグレスに声をかけたが、グレスは絶望のあまり独り言をブツブツと呟いていて会話ができる状態ではなかった。
「ったく、こんな小心者の屑でもマフィアのボスなんて務まるんだな。俺でもボスになれるんじゃねぇの?」
「やめて…ホントに…その冗談笑えないから…」
「本気ですけど。」
「なら尚更やめて…君たち4幹部が独立したら世界が滅びるから…」
ラールはフィエルの両肩を掴んで諭すような言い方をした。
「まぁ俺の願望は置いといて、とりあえずこの豚をアジトまで運んで、マッドサイエンティストに引き渡さねぇとな。ボス、構成員達に撤退命令を出してください。」
「君は目上に対しての礼儀がなってないというか…なんというか…」
そう言いながらも、ラールは構成員全員に無線で連絡をとり、その間にフィエルはグレスを引きずって、用意されているファミリーの車へと向かった。
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