リースス・レーニス

爆発

「ペディの写真は持ってるので、これで聞き込みをしましょう。」
そう言ってティーラはジップロックに写真を入れて、シャンスと共にリハネラの町を歩き回った。

リハネラの町は鈍色で、人の姿は全くなかった。
「壁が作られてからも、ちょくちょく紛争は起こっているし、この町に住もうとする人はいませんよね…」
ティーラは乾いた笑みを浮かべて諦めたような顔をした。
「これは想像以上に大変な作業になるでぇ…」
シャンスは手を上にあげて、ンーと伸びをしながらそう言った。

「あっ…人おったで。」
シャンスは建物の前で項垂れている人の姿を見つけた。
「ご老人ですね…一応聞いてみましょう。」
ティーラとシャンスは老人に近づいてペディについて質問した。
「こんにちは。人を探しているのですが…この人ご存知ないですか？」
ティーラは写真を老人に見せたが、老人は屍のようにピクリとも動かず、無言を貫いていた。
「大丈夫ですか？」
ティーラが老人の顔を覗き込んだ時、後ろからシャンスがティーラの腕を引っ張ってきた。
「っ！？ティーラ！そいつから離れろ！」
ティーラはシャンスに引っ張られた力を利用し、急いで後ろへ飛んで老人から距離を取った。するとその瞬間、老人は爆発して跡形もなくなってしまった。そして、老人の辺りは火の海と化していた。老人の爆発と同時に建物の上から多数の影が姿を現した。
「俺ら…狙われとるな…」
「全く…礼儀がなってないですね。」
建物の上に立つ人影を見た2人は、嫌そうな顔をして建物の影に身を潜めた。
「3 7 9 11…敵は23人や。全員屋根の上で銃を待機しとる。」
シャンスは、建物の影に隠れる時に建物の上にいる人数を瞬時に数えていた。
「上を取られると…少し厄介ですね。」
ティーラはフゥと短いため息をついた。
「いや、アイツらは上を取ってると思い込んどるだけや。俺らが絶対に上に来れんと…過信しとるだけ。二階建ての建物の上に行くことなんて…俺らなら造作もないやろ？」
シャンスはニヤリと悪い笑顔を浮かべ、ティーラの方を見つめた。
「無茶言いますね…僕はあまり体力がないんですよ。」
ティーラはシャンスの作戦を察して苦笑いをしながらそう言った。
「でも、ティーラなら出来るやろ？」
シャンスはティーラを試すようにニヤニヤと微笑んだ。
「貴方の期待を裏切る訳にはいきませんね…やってやりますよ。」
ティーラは闘志に満ちた視線を、シャンスに向けた。