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12.夫の不安を消し去る
しおりを挟む買い物から帰宅して、夕食や湯浴みを済ませて、私はどうしても今日中にジリアンと話をしたかった。
(絶対に殿下のことを気にしてる。ちゃんと話さなきゃ!)
「ジリアン、話があるの。」
ベッドで私に腕枕、ジリアンは逃げ場のない状況だ。
不安げなジリアンと、きちんと話をしておかなければと思っている。
「え…今?」
「そう今!殿下とは偶然会ったんだし、何もないからね?」
「分かってるよ…」
「じゃあ、何で元気ないの?」
「何でだろ…妻の元婚約者だから…?」
「元お飾りの婚約者候補でしょ?結局、殿下には相手されなかったし。」
「いや、殿下はユリアナを好きだったよ。他の婚約者候補から守る為に、素っ気ない振りをしてたんだ…黙ってて、ごめん…ユリアナが階段から落ちたのは、他の婚約者候補が身分の低い令嬢にやらせたことも、俺は気付いてた。」
「そんなこと…」
婚約者候補の足の引っ張り合いは、よくある話だと思う。
でも、ケヴィンが私を好きだったとは思えない。
「今日の殿下の顔、まだユリアナに気があるみたいだった…」
私は、ジリアンへの気持ちが胸いっぱいに膨らんだ。
「ジリアン、愛してます。ずっと言わなくて、ごめんなさい。私はあなたを誰よりも好きよ?」
この想いが伝わるように、ジリアンを力一杯抱き締める。
「本当に…?」
「本当に!」
震える肩が愛おしくて頬擦りすると、ジリアンに口付けされる。
優しく啄むような口付けに、顔が赤らむ。
「ジリアンは私のたった一人の味方よ?今だから言えるけど、あんなにあたたかく見送ってくれた筈の家族は、本音では傷物になった娘の扱いに困っていたし、殿下はトンチンカンだし。ジリアンだけよ、私のことを大事にしてくれるのは。愛しちゃうに決まってるでしょう?」
「あぁ…ユリアナ。俺のユリアナ…愛してる、誰よりも君を愛してる。」
「愛し合って、ここで幸せになりましょう?私達の家でずっとずっと仲良く暮らすの。」
ジリアンと想いが通じ合い、顔を見合わせて二人で照れる。
時々胸をいっぱいにする想いが愛だと気付く前に、私はジリアンからたくさんの愛を注がれていた。
安易に全てを捨てて私を選んだのではなく、思考を巡らせ、全てを手にして私を守ってくれたジリアンの策士振りは見事だ。
これからは、お互いを愛する想いが枯れないように、大事に育てていこう。
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