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17.可及的速やかに
しおりを挟む「リンネ、三日では無理だったが、可及的速やかに、二人の俺との結婚を陛下に認めてもらうつもりなんだ。でも、リンネの気持ちを聞かせて欲しい。」
(本当に結婚を考えてくださっていたのね…)
「嫌だったか?」
「何か現実味がなくて…夢みたいと言うか…」
リースハルトは、ひょいと私を立たせて、目の前で片膝をついて跪いた。
「リンネ・クリオネア嬢。
私、リースハルト・フェルディナンドは、この命と剣をあなたに捧げます。あなたの為なら、この身が朽ち果てようとも構いません。」
それは真っ直ぐな忠誠の誓いだった。
しかし、リンネはほんの少しだけ違和感を覚え、リースハルトの隣に立つならばと、自分の想いを伝える。
「結婚とは、夫婦となり生涯を共にするものです。
リースハルト様がNoblesse obligeを誓ってくださるならば、Pariter Nitentesを、私はリースハルト様に誓います。
余計者扱いされてきた私ですが、あなたに似合う人になりたい。だから、『共に努力し共に輝く』、そんな伴侶になりたいです。」
「Pariter Nitentes!
いいね、リンネ、何よりも嬉しい。」
「私の話も聞いていただけますか?」
リンネはリースハルトの首にしがみ付き、自分の生い立ちも話すことにした。
そういうものだと諦めていたが、リースハルトと結婚するのであれば、隠し事がない方が良いだろう。
「何でも話して欲しい。」
リースハルトもリンネの全てが知りたかった。
何を聞かされても揺るがない気持ちはあるが、単にリンネについて知らないことがあるのが嫌という独占欲の現れだったからだ。
「私はクリオネア侯爵家の二女で、兄と姉が居ます。
兄のスチュワートは、四歳年上で二十歳、とても優秀で次期侯爵としての才能も既に発揮しています。
姉のラミリアは、一つ年上で十七歳、皇子殿下の婚約者候補になったと聞かされています。
私と違って、とても美しい淑女です。」
「ちょっと待って?皇子殿下の婚約者候補!?
俺は、お二人からクリオネア侯爵令嬢の話など聞いたことがない。」
「私には、あまり情報が入って来ませんので、どちらの殿下なのかは…」
「まあいい、殿下に直接聞けばいいからな。
しかし、リンネが美しくないというのは解せぬな。」
「いやぁ、見たまんまですよ?遠目では兄姉同じ金髪に見えますけど、私は白っぽくて白髪みたいって言われますし、瞳も碧眼と言われるよりも暗い色で…」
リースハルトは、リンネの髪や瞳を凝視して笑い出した。
「はははっ、似てるな、俺達。」
「えっ……?」
「リンネの髪は白髪じゃなくて銀に近いし、瞳の色も俺と似てる。お似合いだぞ?」
「私は、誰からも愛される姉に見下され、他者からは姉と比べられることに慣れていたし、両親からもそのように扱われ、兄は無関心でした。
着飾ってパーティに行く訳でもなく、読書をしたり、庭の薬草を摘んで調合することだけが私を癒してくれました。
制約も受けずに街に出られたのは、私が要らない子だったからです。
でも、そのおかげで、リースハルト様のお祖母様を少しだけ、お助け出来たのですね。
今、リースハルトに髪や瞳が似てると言われ、胸がぎゅっと熱くなりました。
何だか自分が好きになれそうです。」
「大丈夫だ、俺がリンネを愛してるから。
リンネの話を聞いたら、尚更、可及的速やかに結婚の承認を得たくなったな。」
リースハルトはリンネを抱き寄せ、深く深く口付けた。
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