俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

infinitey009

文字の大きさ
25 / 60
第1章 鮮血の旅路

俺の国際冒険者ギルド訪問は2度目だ。

しおりを挟む
 街道の村を出て再び首都へと向かう旅に戻る。アヤハも最近は満足に食事が出来ている所為か肌や尻尾の毛艶も良くなってきている。
 街道を進む中で何度か馬車に遭遇するがやはり乗りたいとは思わない。野宿をしながらの生活はトバルにもよかったようで多少は飛べるようになってきた。ヒヨヒヨと少し飛んではアヤハの頭に戻る光景が中々に愛らしい。アヤハのドヤ顔は親としての感情だろうか?度々魔物を狩っては食事にしてしまう毎日だがゼラの料理の腕も益々上がっているように思える。
 しかし、肝心の首都への安全な入り方は俺の頭では難しいようだ。明日には首都に着くというのに一向に良いアイデアが思い浮かばない。最後になるかもしれない野営の中眠るトバルとアヤハを見ながらこのまま首都によらず他の国に向かってもいいかなと少し思ったのは何故だろうか…





「さて、首都に着くわけだがここからは別行動にしたいと思う。」

 俺がそう言うと明らかにゼラとアヤハが不機嫌になる。しかし昨日の夜考えた方法で1番良いのがこれしかないから仕方がない。

「先ずは俺が首都に入り無事入れるかを確認する。問題なければ2、3日後に迎えに来るから安心しろ。問題があるようなら…悪いが助けに来てくれ。お前達にしか出来ない事だ。」

 獣人の子供を単独で首都に入れるのはほぼ不可能だ。入国前に捕まるだろう。ゼラなら夜の闇に紛れ込み首都の中へとアヤハを入れることが多分ではあるが可能なはずだ。
 実はここ何日かで俺とゼラの意思疎通がどの位離れて出来るか試してある。街1つぐらいなら出来るそうだ。おまけに俺の場所も分かるらしい。こうした事もあり、俺が1人で行くことにした訳だ。
 ゼラは納得したようだが中々アヤハが言う事を聞いてくれない。ゼラも一緒になって説得してくれたのでどうにかなったのだがどうやってゼラはアヤハと意思疎通しているのだろう…






「次のやつ身分証明出来るものはあるのか?」

 首都の入り口で何時間か待ちようやく自分の番になる。偉そうな人間もどきが俺に指図するが緊張している為、余り余裕が無い。

「田舎から来たんでそういうものはないんです。」

「なら、銀貨3枚だ。」

 かなり高いなと思いながら袋から取り出す。嫌な笑みを浮かべながら俺から奪い取る辺り多少の金が奴の懐に入るようだ。そして問題の認識石だ。

「さあこれに触れ。犯罪者かどうか分かるからな。」

 ニヤニヤしながら俺に指図してくる。鳴った場合は遠慮無く殺せるなと思いつつその石に触る。

「桂 圭介」

 名前を言った途端、石が青く光りだす!何だこれ?こんなのは聞いてないぞ?衛兵は石を確認すると何処かに行った。周りの人間は驚いてはいるようだが逃げ出したりはしてない。しばらくすると身分の高そうな男が現れ俺に向かって挨拶を始める。

「私は国際冒険者ギルドの首都本部副部長のナバールと申します。今回はイゼールの街で我が冒険者ギルドの人間がご迷惑をお掛けしたという事でお詫びの為我が国際冒険者ギルドにお連れするよう勇者様から連絡を受けております。どうぞご一緒に来てください。」

 罠か?先ず最初に俺はそう考える。中に連れ込んでから始末される可能性は確かに高い。しかしここで断るとこの間の事でどうなるか分からない。…まぁ罠なら罠で食い破ればいいか。

「分かったそちらの言う通りギルドに行こう。」

 そう言うとほっとしたような顔で安堵している。暴れられるとでも思ったか?許可書を貰い門を潜る。何故青く光ったかナバールに聞いてみるとある程度お金を払い待ち人を特定する為のものらしい。ほっとしたような世間知らずを痛感したような微妙な感覚だ。国際冒険者ギルドは門から直ぐの場所にあった。
 ここも相変わらず周りの世界観と隔絶された建物だ。扉の前にはドアマンまでいる。高級ホテルかよ⁈

「では最上階まで直通の魔道具を使います。こちらに来てください。」

 ついて行くとエレベーターのような物が目の前にある。どこの勇者だ。この世界でやりたい放題してるのは…ナバールに先導され中に入る。しばらくすると上に引かれる懐かしい感覚を感じる。罠の可能性もあるがナバールもいる。最悪肉盾にしよう。

「やはりエレベーターを知ってますか…」

 ナバールの呟きに反応を見られていた事に自分の迂闊さを感じてしまう。ナバールは微笑みながらこちらを見てるがおれには睨むことしか出来ない。
 エレベーターが止まり外に出るとナバールが先導して通路を歩いて行く。他の扉と違う高級な扉の前に止まるとナバールがノックをする。
 若い男の声で「どうぞ入ってください。」という声が聞こえるとナバールが扉を開け俺に入るように促してくる。俺はここに来てから感じる大きな2つの魔力の源がここにいる事を確かめると挨拶もせずに中に入る。



「ようこそ国際冒険者ギルドへ。異世界の…同郷の方かな?」

 中を見ると嬉しそうな男の顔が目に入る。年は20代半ばか?俺よりは年上みたいだ。黒目、黒髪、間違いなくこいつが勇者のユータ・ミツイか…なら隣にいる金髪で青い目の女がマリア・ムーアという訳か。

 2人の力量を見定めながら俺はこの後の話し合いがどうなるか楽しみで仕方がなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜

タナん
ファンタジー
 オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。  その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。  モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。  温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。 それでも戦わなければならない。  それがこの世界における男だからだ。  湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。  そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。 挿絵:夢路ぽに様 https://www.pixiv.net/users/14840570 ※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...