俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

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第2章 勇者大戦

クマとアヤハと時々一角獣

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 青崎と会った次の日の朝、俺達はテントを畳み山越えの準備に入る。

 食糧や水などは問題ないがアヤハが山を越えるためには脚となる馬か何かが必要だ。

「私でよければアヤハちゃんを乗せてもいいですよ?」

 青崎がアヤハを乗せてくれると決まった瞬間、アヤハは青崎に飛びつく。

「ひゃうぅぅぅ⁈ 」

「凄いモフモフ!これは良いモフモフ!」

 どうやらアヤハは青崎の毛並みがずっと気になっていたようだ。

 お腹の辺りを執拗に責めるアヤハに青崎は傷つける事を恐れて無抵抗にもふもふされている。

 確か熊の毛はゴワゴワしているはずなのだが、俺から見ても青崎の毛並みは確かに柔らかそうでふわふわしている…駄目だ、俺は自分を見失っていたようだ。

 アヤハを剥がし、青崎の背に乗せる。

 今越えようとしている山は、標高3000mを超える山岳地帯だか、山と山の間を通る為、そこまで気温は下がらない。

 だが、魔獣などが多く、普通の人間には到底無理な地形である。

 それ故に見張りもなく、俺達のような不審者でも通れるという訳だ。



「涼子凄い!早いし、温かいしもふもふだし!」

「アヤハちゃん。あまり手を動かさないで!くすぐったい!」

 涼子の背に乗ったアヤハはいつになくご機嫌だ。

 いつの間にかトバルも青崎の背にのっている。

 ゼラは俺の方に乗り周囲を警戒している。



 ゼラは今回何故か大人しい。

 仕事はきちんとこなしているのだが青崎が同行するようになってからはこちらにも余り思念を飛ばさなくなってきた。

 青崎の事が嫌いなら同行を断るつもりだったが、そうではないようだ。

 どちらかと言えば子を見守る親のような感じがする。



 山岳地帯の中央まで来ると流石に寒く感じてくる。

 アヤハには厚めの外套を着せているが青崎は自前の毛皮しかない。

 一応何かいるかと聞いてみたが今の気温ぐらいだと殆ど差異を感じないらしい。



 山の木々が生い茂り、中々道もいうものが無い山中を歩くのはかなりの体力を消耗する。

 魔獣の襲撃は少なく、俺が全て倒している。

 アヤハに頼りすぎていたしな。

「圭一さん。本当に強いんですね」

 青崎が驚いた顔でこちらを見ている。

「技術的にはまだまだ。お前の背中にいるお姫様は接近戦なら俺より遥かに強いしな」

 俺の言葉が余程ショックだったのか歩みが止まる。

 その瞬間を狙っていたのか、一体の大蛇型の魔獣が襲いかかって来るが、次の瞬間には頭と胴が離れていた。

 青崎の背から飛び出したアヤハが奇襲に対応したようだ。

「ふぁあ?な、何が起こったの?」

 どうやら青崎にはアヤハの動きが捉えられなかったようだ。

 青崎の背中に着地したアヤハはまた背中に抱きついている。

「青崎は意外と鈍感なんだな。気をつけないとそこら中に魔獣はいるからな。隙を見せると襲われるぞ?」

「は、はい。気をつけます」

 ビクビクと警戒しながら歩き始める青崎。

 クマなんだから鼻がいいのではと思っていたが、どうやらある程度意識しないといけないらしい。

 背中にアヤハがいるから問題は無いのだが、自分の力で生きていかないとこの世界は俺達に優しく無いからな。



 山の中腹部を通り、六時間はすぎた頃唐突に俺の魔力感知に気配が現れる。

 その魔力はかなり高く、しかも俺達に確実に向かってきている。

「かなり強力な魔獣がこちらに向かってきている。青崎はここで待機、アヤハとゼラは護衛につけ!」

 俺はそう言うとミスリル糸をこの辺りに張り巡らせ魔力の刃を体に纏う。

 森の中が静寂に包まれ、弱い魔獣などはその場で縮こまる。

「来たぞ!」

 俺の叫びと同時に、山の木々をなぎ倒しながら2mを超える高さの生き物がアヤハに向かって飛び出して来る!

「ふざけるな!貴様の相手はこの俺だ!」

 俺は無視された事に怒りを感じミスリル糸で拘束しようとする。

 しかし、その生き物は俺の魔糸の結界を潜り抜けアヤハに向かう!

「させません!」

 青崎の叫びとともにその巨体による体当たりが相手を襲う。

 流石にこの攻撃は避けきれずに相手は木々を巻き込んで吹き飛んでゆく。

「すまん。助かった」

 俺はそれだけ言うと聖なる槍を20本ほど奴が倒れた方向に放つ!起き上がろうとしている生き物に俺の放った聖なる槍が突き…刺さらない⁈  

「聖属性の魔獣だと!」

 どうやら俺達の相手は聖属性であるようだ。

 聖属性の魔獣には聖属性の攻撃魔法は効かない。

 俺にとってはかなりの痛手だ。

「あれは魔獣ではなく、幻獣という事ですか…」

 青崎が何かに気づいたようだ。その表情は恐怖に近い。

「いけません!アヤハちゃんは逃げてください!あいつは…」

 その言葉を言い終える前に青崎が前蹴りで吹き飛ばされる。

 俺は魔力の刃で切り刻もうとするが、聖なる盾に阻まれる。

「ユ二コーンか!」

 2mを軽く越す馬体に30cmより長い角を持つ純白の馬。

 地球では純潔の乙女の騎士とまで言われている伝説の馬だが、この世界には実在するとは思わなかった。

白き巨体のユ二コーンはその膨大な魔力を開放しながら俺達の前に立つ。

『清らかなる乙女を感じ参上した。我が妻となるべき人よ。我と共に未来を歩こうではないか。』



…どうやら今回の敵もかなりの難敵のようだ。












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