俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

infinitey009

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第2章 勇者大戦

勇者達との戦いの終わり

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 先程まで、魔法によって捕らえていた槍の勇者が突如、膨大な魔力を暴走させ俺の拘束を破った。

 勇者の周りは純粋な魔力を解放しただけで吹き飛ばされ、まるで爆弾でも落ちたかのように、辺りを薙ぎ払っている。

「アヤハはここで待機だ。お前は魔力をどうこうする力はまだ持ってないからな」

 飛び出そうとするアヤハを抑え、俺は言い聞かせるように理由を教えてやる。

 不服そうなアヤハだったが、俺の言うことが分かったのか素直に動きを止める。

 代わりにいつの間にかゼラが俺の肩に乗って来て、戦場に連れて行くように催促してくる。

「分かったよ。お前なら魔力のエキスパートだ。奴の魔力を残さず食い尽くしてやれ」

 嬉しそうな感情をこちらに向けてくるゼラを連れ、俺はこの戦場の幕引きになるだろう最期の戦いに赴く。






『グルァァァァァァァァ……』

 最早、人とは思えない声で吠え続ける勇者の姿に俺は憐れみを覚える。

 この世界に来なければ無かったであろう姿だ…まぁ、その後の行動の結果がこれなので仕方がないと言えば仕方がないだろう。

 ただ、俺達を無理矢理呼びつけているこの世界関しては、必ず報復してやるつもりだ。

『ヴォォォォォォ』

 どうやら俺の魔力を嗅ぎつけたのか、俺に向かって来る元勇者。

 その姿は既に人間とは呼べるものでは無くなっている。

 身長は2mを超え、体つきなどまるでオーガのようである。

 目から血の涙を流しながら、口から涎を垂らす姿には既に理性の欠片も無かった。

「せめて人の姿で死なせてやるか……」

 俺は元勇者を迎え撃つ形を取る為、その場で構えて相手を待つ。

『ガァァァァァアアアア!』

 獣のように、四足歩行で俺に飛び掛かってくる元勇者。

 俺は魔力の盾に魔力の刃を纏わせ、スパイクのようにして相手を受け止める。

『ギャルルルルァァア ⁈  』

 突然の痛みに悲鳴をあげる元勇者、そこに更に新しく得た短剣の勇者のスキルを合わせる。

 短剣の勇者が持っていた能力は『分身』と言える能力だ。

 己の魔力を使い、自分の半分の能力の分身体を作り出す。

 使う魔力が一体につき十分の一程度を使うが、かなり強力な能力に間違いは無い。

 分身体を2体ほど作り出し、その分身体にも同じ盾を持たせ、三人で挟むようにして動きを止める。

「ゼラ、今だ! 奴の魔力を奪い切れ! 」

 俺の叫びと共に、ゼラが元勇者を包み込むように広がり、元勇者に纏わりつく。

「…?………⁇……!……⁉︎」

 叫ぶ事すら出来ずに、その体にある魔力を食われ続ける元勇者。

 何とかゼラを引き剥がそうとするが、元勇者の魔力を得たゼラは更に強さを増して元勇者に絡みつく。



 やがて元勇者の動きが止まり、力の抜けた状態となる。

 その姿は元の人間に戻っており、どうやら死んだ事により、勇者としての能力が止まったようである。



「流石に、この勇者の能力は役に立たないな。ゼラもこいつは取り込むなよ? 暴走するような能力は足枷にしかならないからな」

 ゼラは残念そうな感情をこちらに出しながらも、渋々遺体から離れて行く。

 スケルトンナイトもどうやら残った残党を殺し尽くしたようだ。






「こいつらが私達を狙って来たというの? 」

 フランが、震える声で俺に聞いてくる。


「そうだな。こいつらの持ち物にはエルフの武具が多いようだがお前には分かるか? 」

 俺は死体をスケルトンナイトに変えながら、フランに分かるか聞いてみる。

「多分…だけど、この武器とかはエルフが使う武器だと思う。私達エルフが作った時に入れる紋章が入っているから……」

 フランはそう言って、短剣の勇者が使っていた短剣と、魔力の盾を使っていた勇者の長剣を指差して答える。

「成る程、やはり強奪したのは間違いないようだな…これの武器は勇者と呼ばれる異世界人が使っていた物だ…そう言えば、この槍もそうだったな」

 そう言って、亜空間から取り出した槍を見てフランの目から涙が溢れる。

「それは……父さんの紋章が入っているから、村から逃げ出す時に無くした物だ…」

 止まらない涙を流しながら、俺を見るフランに、その槍を手渡す。

 キョトンとするフランに俺は背中を向けたまま、素っ気なく理由を教えてやる。

「親の形見は多い方がいいだろう。槍と短剣はお前が持っておけ。エレが大人になった時に、渡してやってもいいしな」

 俺は100体以上のスケルトンナイトに、この辺の探索と死体の後処理を命じて、その間に勇者の持っていた魔法の袋を漁る。

 何か手掛かりがないか確かめて見るが、食料とお金以外は目ぼしい物は無かった。

「アヤハ、お前もこの魔法の袋と魔法の剣を持っておけ。袋には食料とお金が入ってあるから好きにして構わん」

 そう言って両方を手渡すと、アヤハはこちらを見て何か言いたそうにしている。

「どうした? 何か言いたいことがあれば聞いてやるぞ? 」

 その言葉に、俯いてたまま小さな声でアヤハは俺にそっと聞いてくる。

「ちゃんと私は役に立っていますか? 」



 その言葉に、俺は黙ってアヤハの頭を撫でてやった。







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