【R18】気になるカレの白いアレ

遙くるみ

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♠︎イカレてるのは俺の頭か、それとも

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 今日は朝から会議続きで精神的にも身体的にもとても疲れた。

 そもそも会議の内容が酷かった。議題として挙げる前にもっと精査すべきものばかりで、本題に入りたいのになかなか入れず、無駄に時間ばかりが過ぎていった。
 どこかの国では立って会議をするという。そうすると会議の時間がかなり短縮されるのだと。
 是非うちの会社もそうしてほしい。会議室の椅子など全て処分して、空気椅子に座っていればいいのだ。なんならスクワットをしながらでもいい。そうしたらメタボリックで悩む上役たちの体質改善につながる上に会議の時間も短くなって、一石二鳥とはまさにこのことだ。

 そう思っていても言えないのが俺なのだが。
 立場的にも、見た目的にも。
 俺が下手に口を開いて良い方向に向かったことなど一度もない。伝えたいことなど何一つ伝わらず、真逆に捉えられてしまうのが関の山だ。
 だからこうして会議に参加しても、俺が意見することは基本ない。何か気になる点があれば事前に上司に伝えてある。

 そんなこと言ったら尚更俺が会議に出る意味はなく、自分の仕事を進めていた方が余程効率的だというのに、全員参加が創設以来のルールだからとか、馬鹿馬鹿しくてやってられない。こんなんだから業績だって伸び悩んで――いや、やめよう。

 今日は月曜日だ。
 クリスマスよりも誕生日よりもお正月よりも楽しみで待ち遠しかった日。
 しかも今日は昼だけでなく夜も川村と過ごせるというスペシャルデー。ダブルで嬉しい。せっかく川村と至福の時間を過ごせるというのに、仕事のことで余計な気をもみたくはない。

 川村の膝の上は、控えめに言って最高だ。
 最初は緊張しすぎて全然堪能できなかったが、何回も経験するうちに慣れてきてようやくその境地まで来た。
 相変わらず緊張、もとい興奮するものの、癒されもする。

 川村のそこは柔らかく、温かく、そしていい匂いがする。
 こんなに最高の枕がかつてあっただろうか。いや、ない。
 好きな枕ランキング不動の一位殿堂入り間違いない。値段なんてつけられない、まさにプライスレスかつオンリーワンだ。

 それに川村の声。
 風鈴の音のように澄んでいて、子猫のように可愛らしい。なんとも耳に心地いいその声を聞いていると、凝り固まった筋肉が解れ、溜まりに溜まった疲れが取れ、胸の中が温かいもので満たされていくようだった。

 このまま寝てしまいたいほどに、心地良い。絶対寝ることはないが、気を緩めれば今すぐに寝れるだろう。絶対に緩めはしないけれど。

 川村の膝の上に頭を預け目を閉じていると、頭の中がぼんやりと霞み、そして麻酔にかけられたかのように感覚が鈍くなっていく。
 身体に力が入らない。温水プールに浸かっているようだ。下半身が特に温かい。というか、気持ちいい。
 川村を想ってオナニーをしている時の感覚に近い。

 川村の身体を、温もりを、声を、表情を。そのありとあらゆるものを想像して、己を高めていく。早くその全てを解放したいような、ずっとこのまま我慢していたいような。
 まさに至福のひと時。

 だめだ。
 実際に川村に膝枕をしてもらっている時にそんなことを想像するなんて、失礼にも程がある。こういうことは川村と別れ、自分の部屋で川村を思い浮かべてひっそりと行うものだ。決して本人といる時にしていいことではない。

 ああ、でも気持ちがいい。しかし、だめだ。でも、もうちょっとで。

 朧げな意識の中モダモダとそんな葛藤を繰り返し、やはりだめだと意を決して目を開けると――

「あ――」

 川村と目が合った。
 ぼんやりしていた思考がはっきりと、鮮明なものに切り替わる。

「あ、あの。これは」

 川村が俺を見て、目を丸くして驚いている。どこかバツが悪そうでもある。やばいって顔にでかでかと書いてある。
 そして、何故か俺の腰らへんにいる。
 膝枕をしてくれていたはずなのに、いつの間に移動していたというのか。

 更には、川村の目の前に何かある。いや、ナニがある。
 
「――え?」

 剥き出しの、ムキムキの、俺のナニが――

 背筋がひゅーっと急激に冷え、頭の中が爆発した。

「っ!!!!ス、スマン!違うんだ!これは決して俺の本意ではなく、妄想はしていたが実際にやる気など全くなく!偶然、たまたま!―――っぐ!」

 何が何だか全く分からずパニック状態に陥りながらも、慌てて身体を起こしナニをしまおうとすると、ぎゅっと強く締め付けられた。
 想定外の衝撃に、身体の動きが止まる。

 目だけ動かし、そこを見る。
 川村の小さな手が、俺のソレを握りしめていた。そして、ゆるゆると上下に動している。

「うっ……くぅ」

「……あ、あのね。これにはちゃんとした理由があって、いやちゃんとしているかは微妙なんだけど、それなりの理由があって。決して変なことをしようってことじゃなくてね、だからつまり――」

 川村が何か言っている。理由がどうとかこうとか聞こえるが、内容は何ひとつ頭に入ってこない。

「男の人って疲れるとああなるっていうのは聞いたことがあったんだけど半信半疑だったっていうか、実際そんなの見たことなかったし。ていうか疲れてたのにいつも私に付き合ってくれて志島くんに対して申し訳なくなって、そしたら志島くんのがおっきくなってるのが見えて。志島くん寝てるし起こすのも悪いしもっと寝かせてあげたくて、尚且つああなってるなら出してあげたくなったっていうか、単純に見たくなったっていうか、触りたくなったっていうか――」

 川村が言い訳めいたものを言い連ねているが、全く頭に入らない。
 頼む。俺に何かを伝えたいのなら、まずその手の動きを止めてくれ。
 きょどりながらも絶えずシコシコされていたら、俺の頭は気持ちいいと出したい以外考えられない。

「……っく、川村」

 なんだこれは。夢の続きか?寝てしまいそうだと思っていたが、本当に寝ていたということか?

 川村の手によって与えられる快感で頭の中が痺れている。何も状況が分からない中、こんなことは止めさせなければと強く思う反面、夢でも何でもいいから止めてほしくないとも思う自分がいる。
 とにかく気持ちがいい。気持ちいいしかない。

「志島くん、気持ちいいの?」

 川村に反り返って爆発寸前のソレを刺激されながら上目遣いでそう言われ、歯を食いしばったまま頷いた。
 気持ちいい。気持ちよすぎる。
 川村を想って自分でするのとは訳が違う。次元が違う。

「本当?良かった。痛くない?もっと強い方が良い?」

 川村は俺が肯定したことに気を良くしたのか、目をキラキラと輝かせて、満面の笑みを浮かべた。

 白髪を見つけた時、でっかい耳クソが取れた時に見せる、楽しくて楽しくてたまらないといった、満面の笑みを。

 俺の好きな、大好きな、ありのままの川村の笑みを――

「……うっ、や、やめ。もう!」

「うわあ!」

 その瞬間、爆ぜた。

 例えるならば、水風船を地面に叩きつけて割れたような。薄い膜が限界に達し、中身がそれを突き破る、そんな感覚。

 ピューっと勢い良く飛び出し、ピュッピュッと残りを吐き出しながら竿が前後に揺れる。
 川村の小さな手に、そして川村の若干赤らんだ頬に、放出された白い液体がへばりつく。
 川村と目が合う。驚いている。目を丸くしている。
 スンと、イカ臭いような生臭いような、それ特有の臭いが鼻をかすめる。

「……う、うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 俺は叫んだ。



「ご、ごめんね」

「いや、俺の方こそ、スマン」

 姿勢を正し正座をしたまま、お互い向かい合って謝罪した。
 その後の言葉が続かず、気まずい空気が流れる。

「志島くんが謝ることないよ。全面的に私が悪いんだから。その、つい、好奇心に抗えなくて。つい……」

 ――好奇心。
 川村曰く、疲れて寝落ちした俺の股間が勃起しているのを見てしまい、ついついそれを取り出し扱いてしまったと。

「嫌じゃ、なかった?」

 恐る恐るという風にそう聞かれ、首を横に振った。
 意中の女子にシコられて、嫌だと思う男がいるはずない。

「気持ち良かった?」

 続いて、お伺いを立てるようにそう聞かれ、俺は観念したかのように「……ああ」と頷いた。
 気持ち良くないはずがない。気持ちよくならないでか!

「本当に?良かった!!」

 川村がぱあーっと表情を明るくした。
 キラキラと目を輝かせ、頬を染め、見るからに喜んでいる。

 しかし、解せない。
 なぜ、川村があんなことをしたのかも。なぜ、川村が喜んでいるのかも。
 同期が勃起していたからと言って、果たして女子はシコりたくなるものなのだろうか。
 以前川村は、ボタンを見ると押したくなると言った。白髪も耳クソも、それと同じだと。
 まさか川村の中では、これも同じだと言うのか?

「じゃあさ、また……していい?」

「……は?」

「男の人、っていうか志島くんは、何日に一回のペースでやるの ?もし、志島くんが嫌じゃなかったら、私にもお手伝いさせてくれないかな?」

「……」

 だめだ。
 本格的に頭がイカレ始めている。
 川村の言っていることが正確に理解できない。何度考えても、俺のをシコらせてくれと言ってるようにしか聞こえない。そんなことを言う女子がいるはずがない。

 俺が何も言えずにいると、川村は悲しげに目を伏せた。

「やっぱり、嫌だよね。ごめん、こんな事言って。一番コントロールが利く自分の手でやりたい派だったり、熟練のプロにやってもらいたい派だったり、そもそも手なんて使わない派だったりするかもしれないのに。彼女ならともかくただの同期にやられるなんて、志島くんだって――」
「川村」

 イカレた頭は放置したまま、何も考えずに口を開いた。

「俺は毎週必ず月曜日に抜く派だ。もちろん自分の手で、視覚情報は何も必要とせず。しかし、ついさっき川村の手の方が格段に気持ちいいことを知ってしまった。だからもし、万が一、億が一、川村が手伝ってくれるのなら。是非とも川村にしてほしい派、なのだが。……どうだろうか?」



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