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15 結婚しても貴女を抱かない
しおりを挟むエミリヤは自室でお茶会で繋がった友人達に頼み、ヴィルヘルムと話していた御令嬢の事を教えて貰った。友人達が調べているとその父親や母親迄も一緒に調べてくれたという詳細がエミリヤの下に届いた。
「(ほうほう・・・あの庭園で話してた御令嬢は伯爵家の長女か・・・。でも嫡男がいて婚約者は・・・え?婚約解消??なんでだ??あー・・・上昇志向強いプライド高い系の肉食御令嬢だったのかー・・・おぉっ!!現状満足系婚約者に自分から解消を迫ったって・・・うーん・・・随分見た目との違いが・・・。
えっと御当主は愛人5人居て上が43歳に・・・なんか彼女のお家事情まで事細かに調べられてるんですけど・・・。彼女の一日のタイムスケジュールが7日分・・・どうやってこんな事調べたんだろ・・・?んー・・・ギルベルト様に相談してみるかー・・・でも大事になってしまうかも知れないから今度会った時にそれとなく注意しておけば良いかな?)」
今日は公爵家に入る前に事前に当主自ら大体の流れを教えるとの事で、エミリヤはいそいそと準備をして子爵家の馬車に乗り公爵邸に向かった。
ギルベルトはエミリヤが公爵邸に着いて早々お城から急ぎの使いが来て登城してしまった。ギルベルトに好きなだけ寛いでくれと言われたがギルベルトが居ないとやる事もないので庭にある椅子に座り、庭の花を眺めていると後ろから気配を感じ振り返ると無愛想なヴィルヘルムが立っていた。
「???(この椅子今から使うとか??)」
「ーー父上から貴女に屋敷のしきたりや流れを一通り教える様に頼まれた。婚約者殿こちらに。」
渋々感が溢れておりエミリヤも苦笑いしつつ、ついて行った。
業務連絡の様に淡々と駆け足で説明を受け、屋敷を一周する程度の時間で終わってしまった。
「ーー以上が屋敷でやらなければならない事です。では終わりましたのでこれにて私は失礼します。」
「お待ちくださいっっヴィルヘルム様っっっ!!」
やっつけ仕事とばかりにさっさと終わらせて去ろうとするヴィルヘルムを慌てて引き止める。既にエミリヤに背を向けていたヴィルヘルムは不愉快そうに振り返る。汚物を見る様な目で見られてエミリヤは怯んだもののギルベルトとのイチャコラ生活の為に勇気を振り絞った。
「・・・なんですか?私は貴女の様に暇では無いのですよ」
「そ、そのっ!!ヴィルヘルム様は伯爵令嬢様と仲がよろしいんですか?」
「ーーー貴女に関係があるのか?」
「え?え?一応私ヴィルヘルム様の婚約者なのですから関係ありますよ・・・ね??」
余りにも冷たい目で見返しはっきりと問われ、うっかり「あれ?やっぱりギルベルト様が婚約者だったんじゃ無いの?」と呑み込まれそうになったが『そしたらこんな苦労して無いんだった』とすぐ我に返った。
「婚約者・・・か。貴女は公爵家に嫁ぎたいだけで、結婚相手が私で無くて良い事位知っているんですよ。」
「ーーーなっっ!?なぜそれをっっ!?」
まさかギルベルトとの仲がヴィルヘルムに知られていた驚きのあまり口が滑ってしまう。すると、ヴィルヘルムは射殺さんばかりに憎しみこもった目で睨みつけて来た。
「やはりな。貴女が公爵家に嫁ぎたいが為に私と結婚しようとしている事位、最初から分かっていた。だがな、私は卑しい者に公爵家を渡しはしない。結婚しても私は貴女を抱かない、親戚から養子を得る。いくら父上を籠絡しようと結婚後、好き勝手に出来ると思うな。」
ヴィルヘルムは冷たく言い放つと去って行った。残ったエミリヤは伯爵令嬢よりも大きな問題に頭を抱えていた。
ギルベルトが帰ってくるまで時間が掛かりそうだったので重い足取りで帰宅した。
♢♢♢♢♢♢♢
「今日アイツはちゃんとエミリヤの相手が出来たのか?」
帰宅早々家令にエミリヤとヴィルヘルムの事を尋ねた。
「それが・・・スチュアートからの報告なのですが、屋敷の事を教えるのは雑で大まかに短時間で終わらせたと聞いています。それから・・・エミリヤ様の事を公爵夫人の座を狙って旦那様をたらし込んだと思っている様でして・・・。そして、『公爵家に嫁ぎたいだけで、結婚相手が私で無くて良いと知っている』と面と向かって言われたエミリヤ様は旦那様との関係が知られたと誤解している様でした。どうされますか?」
「・・・そうか。今のアイツに何を言っても聞く耳は持つまい。エミリヤの誤解を解く事が先だ。今度の休日にエミリヤと約束していた王都の近くにある湖に誘ってその時に私が話そう。」
「それと、一番大事な事が。」
「なんだ?」
「ヴィルヘルム様はエミリヤ様に『結婚しても私は貴女を抱かない、親戚から養子を得る』と仰ってました。」
「ーーふっ。分かったありがとう。引き続き何かあったら頼むぞ。」
「お任せください」
「(そろそろ誓約書を作っておくか・・・。)」
ギルベルトは口元を手で隠し、心の中で幸運を噛み締めた。
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