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第2章 魔王と聖女
28 立った立ったフラグが立った!!
しおりを挟む「おお~~っっっ!!結構あるんだな!!!」
やっと貰えた報酬を前に思わず感極まる。ミラとアクスも笑みが溢れている。
カックスギルド長は「まぁまずまずですね」と無表情であった。
ちなみにベンツァーギルド長は虫の息であり、顔を天井に向け椅子に力なく座っている。
報酬は4人+1匹で分けようとしたがカックスギルド長は自分は高級酒だけ貰えれば良いとイケメン発言をしていたが、アクスと俺は流石にそれはどうかと思いカックスギルド長のお陰で多くなったので多くなった3割は貰ってもらうことにした。
ミラは若干渋ったが師匠に勉強させて貰ったんだから、少しでもお礼はしとけと言うと納得したミラは『カックスギルド長専用ミラの半日お手伝い券』を書いて渡していた。肩たたき券かよ!!しかも半日って・・・せめて一日手伝えよ!!
流石に商業ギルド長のカックスさんはエロい事にその券を使わないとは思うが、コキ使われるのはまず間違いない。
手書きで今書いたから条件書いて無いけど大丈夫か?魔力回復薬飲まされながら、半日ずっと回復術使わされたりしないか?ーーーーうん!!!失敗して学ぶ方が覚えるしな!!頑張れ!!
そんな事より、なんだかんだでもう2時間経っているからな。マリアとユリアナが心配だ。流石に問題起こしていないと思うが、買い物は後回しで早く宿に行った方が無難だろう。
カックスギルド長は高級酒の回収にギルド裏のベンツァーギルド長の家に行くらしく、ここでカックスギルド長とは別れることになった。
「報酬たんまり貰えたねぇ~今夜は食堂で食事しようかな♪」
「俺は後で衣類とか日用品買っとくかな。セイも行くだろ?行くなら一緒に行こうぜ!王都は高くなるから買っといた方がいいからよ」
流石アクス、必要な情報をきちんと教え且つ買い物に誘うという準ヒロイン枠はミラに渡さない様だ。まぁミラは準ヒロイン枠からは常に落選だろうな。
選挙で落選確実なのに立候補する有名人みたいなね。
まぁあれは選挙の裏事情があるから敢えてらしいけど。
裏事情があるからって預けたお金一定人数投票数いかなかったら没収されるから、ある意味選挙立候補もギャンブルだよな。
まぁ300万競馬で負けたって奴より選挙落選で300万は返って来なかったって奴の方が印象良いか・・・?いやでも、『300万賭けられる金持っている』って考えれば、選挙に立候補したのに全く振るわず『ほとんど身内投票なんじゃね?』と、投票結果見て笑われてる場合もあるから印象はどっちもどっちか・・・?
選挙の方はまだ人間性まともな可能性が捨てきれない分マシか?競馬はどう足掻いてもギャンブルだしな。300万賭けるとかギャンブル依存症も捨てきれんし・・・んー難しいな・・・。
「おいっ!?セイ、大丈夫か??」
「あ、あぁっ!!悪いちょっとぼーっとしてたわ。マリア達の様子見てから兄貴の買い物について行くよ」
ヤバいな全く関係ない事を考え始めてた・・・。
たまに向こうの事思い出すとぼーっとして悪いな。
話せる奴がいたら話せるけど話せないからついつい、色々考えを巡らせてしまう。
俺その内のんびり系キャラとかみんなにキャラ付けされてそうでだな・・・。
「あーーー、なんで拠点倒壊したかなぁ!?瓦礫の中から何か探せば良かった・・・」
ミラはボソボソと呟いている。
っていうかミラは王都の物価のこと忘れてたんだな・・・。
今日も果物屋さんの果物だけで我慢するとか涙流しながら言ってるし。
マリア達はお金持ってんのかな?持ってなかったら俺と一緒に買えば良いか。
3人は少し歩いて今日宿泊する宿に辿り着いた。
勿論怪しげな『宵月の宿』ではなく、冒険者のための簡易宿『養生』だ。
簡易宿なので料金は安いが朝食などは料金に含まれないし狭い。
例えるなら昔のカプセルホテルみたいな感じかな。
王都ではビジネスホテル位の宿に泊まりたいと思う。
いや、贅沢は言わないからインス町のユースホステルみたいな宿を切に願う・・・。
3人は受付で先に仲間が来た事を伝えると部屋を案内された。
女性部屋のミラと別れたセイとアクスは男性部屋に入った。
ーードンッッ
「おうふっっ!!」
ふわふわのサーモンピンク色をした髪の毛が俺の腹の辺りにくっついている。
間違いなくマリアだ。ドアを開ける時はマリアが抱きついてくる事をどこでも想定して、シロを高めに持つ様にしている。
流石に箱に頭ぶつけたら痛そうだからな。シロもびっくりしてしまうだろうし。
そういやマリア中世的で忘れがちだけど男だったな。
男部屋で襲われたりしないか心配だな。
俺とアクスでしっかり見張ってないと。
変態はどこにいるか分かんないからな!!!
冒険者では先輩とはいえ、小さい弟を守るのは兄として責務だ。
そうだ番犬としてマリアのベッドにシロを一緒に寝させよう!!ナイスアイデア!!俺!!
実際にはマリアは43歳で冒険者としても実年齢でも先輩なので、合っているのは自分より身長が低い事だけである。
「マリアお待たせ!何も問題無かったか?」
「うん!さっきまで他の冒険者のおじさんがいたんだけどね、ユリちゃんがどこかに連れて行っちゃった。知り合いだったのかも」
「へぇ?あんまり知り合いいなさそうだったから意外だな」
「うーん、僕はよく分かんない。そういえばそのおじさんは僕が部屋に入ったら、いきなり部屋の中でズボン下ろし始めたからズボンの中に毒持った虫が入ったのかも??ユリちゃんがそれに気付いて助けてあげたのかな?」
「ーー次会ったら教えてくれるか?パンツの中に入った毒虫は俺が叩き潰してやるから」
「うん!!きっとおじさんも喜ぶと思うよ!!」
まだ冒険者の男の中の下着の中に毒虫がいると言っているようなものだが、マリアはそれに気にする事もなくぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ満面の笑みをセイに向ける。
アクスは呆れた顔でそんな二人を見ていた。
そこでふとセイは今頃思い出す。
「(あれ?そういやユリアナどこ行ったんだ?もう戻って来ても良く無いか?いや、まさかね・・・。)」
「ユリアナはどこまで行っちまったんだ?戻って来たらリーダーの所に来ると思うけど、ちょっと遅くねーか?」
アクスも中々戻って来ないユリアナを気にしていた様だ。アクスはユリアナに対して苦手っぽい感じがしてたけど、なんだかんだ言って仲良いのか?
「ーーーアイツ・・・リーダーの事になるとタガが外れるって言うか・・・兎に角ヤバいんだよ・・・」
「え?」
「大丈夫だよー。ユリちゃんは優しい子だよー!もーっっ!!アクスはユリちゃんの事まだ苦手なのー?」
「いや、苦手っつーか・・・やっぱ苦手か。......買い出しついでに一応ユリアナを捜すか...アイツ白状しないからな...」
「(ん?白状ってなんだ?)」
アクスは深いため息を吐いて、全部のベッドを確認して回る。
シーツがよれているベッドに近付くと、毛布を剥ぐ。
見渡し枕の下やベッドの下も確認する。
その後は鍵のないロッカーを一つづつ開けて確認していく。
そして見終わった後は全てを綺麗に元に戻した。
「な、なぁ兄貴。今何していたんですかね・・・?」
よく言えば警察の捜査、悪く言えば証拠隠滅しようとしている様な行動を取るアクスに平常心で話し掛けようとシロを撫でながら恐る恐るアクスに尋ねる。
「あぁ、・・・ここにいたらしき冒険者の男と思われる人間の痕跡捜してただけだ。お前は気にするな」
「へ、へぇ・・・。そろそろ買い物に行かない・・・?」
「そうだな!!」
「僕も行くー」
めっちゃ気になるんですけどーーーーーーーっっっっっ!?!?痕跡って何!?
痕跡見つけたらどうする気だよアクスの兄さん!!
しかもマリアの事でユリアナがヤバくなるって、ユリアナがドミトリーで一緒になったマリアに害をなす変態を人気のない所で始末したとしか受け取れないんですけど!?
しかも前科あるんじゃね!?妙にアクスが手慣れてるしっ!
俺、今完全犯罪の現場に立ち会って無いよね!?
ネジが飛んで狂った弱小パーティーっての『ネジが飛んで狂った』って町の人達に言われているのは大袈裟じゃなかったのか・・・。
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