その理由は教えません 

keima

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その3

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モリス・ブランドンが面談に訪れたのは5日後のことだった。
何故かレオンもブランドンも一言も話さないため、部屋の中はシンっと沈黙に包まれていた。 

…………この沈黙じかんいつまで続くの? 

ロゼットがそんな心配をしていると、先に口を開いたのはレオンだった。
 
「5日前。私たちは貴方の勤める大学に行ってきました。」

そのレオンの一言にブランドンの眉がピクリと動いた。 

「貴方はある男と何らかのトラブルを抱えていたそしてその男は貴方の婚約者のアリーチェさんにまで危害を加えたことも。」

ブランドンは俯いたまま、目を閉じ黙ってレオンの話を聞いていた。 

「ブランドンさん。貴方は…婚約者を守るために、婚約破棄をしたいのですよね。婚約者であるアリーチェさんと・・・・・・・・生まれてくる我が子を守るために。」

「!?………どうして………」

「貴方のゼミの学生さんから聞きました。アリーチェさん、妊娠4ヶ月なんですよね。子供のことを考えて早めに式をあげようとしていた。けれど、数ヶ月前から貴方につきまとっていた男がアリーチェさんにまで危害を加えはじめ、このままだと彼女やおなかの子供にまであの男の魔の手がせまることを恐れた貴方は婚約破棄することでアリーチェさんと子供愛する人を守ろうとした。違いますか?」

 「………5ヶ月前です。あの男がわたしの前に現れたのは。」


5か月前、その日モーリスは学生時代の友人の自宅を訪れていた。友人の実家は裕福な家で、男は友人の実家で住み込みで働く見習い庭師だった。最初は外からジッとこちらの様子を窺っていたが、その視線があまりにも強く、仄暗かったので、何となく不気味に感じた。
その日、友人の自宅に泊まった夜、物音がしてブランドンが目を覚ますと、庭師の男が自分の上にのしかかっていた。突然のことに驚き、思わず叫び声をあげたためその声を聞いた友人やその家族、使用人たちが飛び起きてブランドンの居る部屋に集まり、庭師はその場で取り押さえられた。 庭師の男は窓から侵入しブランドンの寝込みを襲おうとしたため、そのまま解雇された。

しかし、数ヶ月前に男はどうやって知ったのか、自分の勤める大学に現れた。そして自分はブランドンが好きだと告白してきた。しかしブランドンがその思いに応える事は出来ないと告げるとそれ以来、待ち伏せしては自分と付き合わなければ思えを殺すと脅したり、肉体関係を迫ったり、それを断れば喚き散らしては周りに迷惑かけてきた。
そしてついに、あの男はアリーチェにまで手をだしてきた。 

「アリーチェが襲われたと知ったときは頭が真っ白になりました。このままではアリーチェとお腹の子の命が危ない。だから……」

「だから婚約破棄をしようとした。けれどブランドンさん………
貴方の本当の目的は婚約破棄ではありませんよね。貴方の本当の目的は









……………………元凶である庭師の男を殺し、自分も死ぬつもりですね。」

「!?……なんで…………」

「貴方が最初に第3者意見司法機関ここに来たとき言いましたよね。慰謝料は払うって……その慰謝料の額がる。それが一番疑問だったんです。それと……貴方は学生時代にアーチェリーをやっていたそうですね。最近になって貴方がアーチェリー部によく顔を見せに行っていること、アーチェリーの道具一式を買ったことが判明しわかりました………それを使って庭師の男を殺すつもりだったのですか?」

「…………これしか方法がなかった。わたしが婚約者のままだと、アリーチェは犯罪者の婚約者だと世間から非難され、お腹の子も犯罪者の子どもとレッテルを貼られてしまう。だからわたしとの婚約が破棄して、アイツを殺してわたしも死ねば……「…………アリーチェさんはそんなこと望んでいませんよ。」……えっ………?」

黙って話を聞いていたロゼットの口から突然、婚約者の名前を出されてブランドンが目を丸くする。ロゼットはですよねと目配せをすると、レオンはコクリと頷いた。

「実は昨日、アリーチェさんに逢ってきたんです。」



ーあの人が、何か思いつめているのは気づいていました。けれど数日前、彼の書斎から遺書を見つけてしまったんです。


遺書には自分に付き纏う男のこと、その男が妊娠中のアリーチェを突き飛ばし流産させようとしたこと、男を殺し自分も死ぬこと、自分の財産は全てアリーチェと子供に託すと記されていた。 



ーお願いします。彼を止めて下さい!!私のせいで彼を犯罪者にさせたくない。お願いします。お願いします!!  



「ブランドンさん。貴方がアリーチェさんと子供を守ろうとしているのはよくわかりました。けれど、このやり方は間違っています。相手を殺して自分も死ぬなんてあまりにも短絡的すぎます。命というものはそんな軽いものではないんです!!
それにもうこれは貴方だけの問題じゃないんです。」

「じゃあ………どうすればいいのですか。どうすればわたしは……2人を助けることが…」

「ブランドンさん、我々は法律の専門家です。法律とは人を守るためにあるものです。貴方に付き纏っている男の行動は立派な犯罪行為です。だからこそお尋ねします。
ブランドンさん、貴方はどうしたいんですか?」



「わたしは………」
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