王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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恋心 

反則 2

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「ふうん、お前にしてはよくできた筋書きだ」

「ほざけ! 丸腰で俺に勝てると思うなよ!」

 シルランは棍棒を振りかざし、アルダシールに迫った。

(……遅いな)

 アルダシールは軽く身を捻って避けた。

 シルランの動きは鈍重で、とても見切れないものではない。

 横っ腹に蹴りを食らわせると、面白いようにシルランは吹っ飛んだ。

「なら、お前が負けたら決して規則に縋るなよ? このままラークから消えるんだな」

「くそっ、誰が消えるかよ! オイ!!」

 シルランは起き上がりざま、不自然に吠えた。

 2人きりの決闘場なのに、まるで誰かに呼びかけたようなーー

 ビュンッ

 シルランが再び挑みかかった刹那、鼓膜を震わせて風切り音がした。

 棍棒を受け流す動作に入りつつあったが、直感に従い咄嗟に飛び退る。

 棍棒は鼻先を掠め、膝下があったあたりの低木に何かが突き刺さった。

(弓矢か!?)

 枝に刺さった矢を認識し、狙撃手の存在に意識を向ける。

 自分への注意が散漫になったと見るや、シルランは嬉々として襲いかかる。

 狙撃手は1人でないのか、矢は間を置かずに急襲した。

「傲慢な上に卑怯とは、救えない男だ」

「ほざいてろ! 負け犬の遠吠えだ」

 ぶうん、と空を切る棍棒を躱しながら、弓矢の刺さった向きを見てとり、反対側へと後退する。

 防戦一方だが、背後を取られては致命的だ。

 シルランがもう少し用心深かったら、危なかった。

 ピュン、ピュンッ

 弦を弾く音が小刻みに移動する。その割に照準に揺れはなく、絶えず膝の位置を狙っている。

 こちらはなかなかの手練れだ。

 木陰に身を隠すのが定石だが、小賢しくもシルランがそれを許さなかった。

 アルダシールは、弧を描くように移動しながら、反撃の機を探る。

 だが、追い込まれているのは確かだ。徐々に、弓矢との距離は縮まっていた。

「ちまちま足元狙ってないで、横っ腹だ! 早く仕留めろ」

 チッ。忌々しくて舌打ちしたのが運の尽きか、とうとう一本の矢がアルダシールの脛を掠めた。

 一直線に、細い熱が走る。

(くそっ、思ったより腕がいい。分が悪いが、この男をどうにかするほうが先か)

 背後に回り込まれるのを防ぐため、絶えずに移動していたが、小傷を増やせば形勢は悪化するばかりだ。

 ならば、一気に懐に飛び込んでカタをつけるしかないか。

 覚悟を決め、踏み込まんとした左足へ向けたところをまた、射込まれる。

「くっ」

 避けようとして、体勢が崩れた。

 跳躍したため上半身が前傾し、シルランが目の前に迫る。

 このままシルランの攻撃を躱して低木に突っ込むか。しかしそうなれば次の狙撃は免れない。

 一弾指の間に複数の選択肢が頭を流れる。

「ざまあみろ、今度こそ食らえーー」

 やむを得ず、被害を最小に止める方向に注力する。

 胴に組み付こうと加速した。
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