学校一美人な奴の消しゴム拾ったら大変なことになった。

マガツゆい

文字の大きさ
3 / 6

03話

しおりを挟む
 秋葉が自身のこれからに絶望している頃、一足先に学校にたどり着いた春樹と大輝は…

 「…なんか、物凄い殺気を感じるんだが?」
 「…激しく同意。」

 普段と変わらないはずの学校の校舎からおおよそ学校から発せられる気配ではないものが立ち込めている。あまりの殺気に普段うるさいほどに鳴いているカラスもダンマリとして気持ち早めに学校から離れている。

 とりあえず気を取り直して2人は教室に入る。すると、

 「おい、秋葉はどうした!?」
 「いつも一緒にいるじゃねえか!奴はどこだ!?」
 「八坂ァ、匿ったりしてねぇだろうなぁ!」

 あっという間に囲まれた。

 「お、お前ら落ち着け!もう少ししたらアイツもくる!訳あったアイツは今日寝坊して遅れて来てんだ!」
 「いつもの時間に行っても奴はいなかったっ…!」

 と俺らの弁解が通じったのか、俺ら2人を囲んでいた野郎どもは蜘蛛の子散らすように消えていった。やれやれと2人で顔を見合わせると、自分の机に荷物を置く。

 「これは…相当やばいな。」
 「人間の1人、2人なら余裕で呪殺せるレベル。」

 と俺と陽太はガタガタと身を震わせていた。

 「琴葉ちゃん、琴葉ちゃん。聞いたよ~、隣の席の比那山君と付き合い始めたんだって~。ねぇねぇ、なんて告られたの?」

 と友達の工藤梢くどうこずえが聞いてくる。

 「え…ち、ちょっと待って……は?」

 と私は一瞬にして思考が宇宙まですっ飛んでいった。

 「ヒナヤマクントツキアイハジメタンダッテ~」この一言が日本語のはずなのにどうしても理解できなかった。

 「い、今何て?」

 と恐る恐る梢に聞いてみる。

 「え?比那山君と付き合い始めたんじゃなかったの?」

 と小動物のように小首を傾げた梢に情報源を聞くが、

 「へ?どこから聞いたかって…う~…誰だったっけ?」

 どうやら忘れてしまったらしい。

 「もう、しっかりしてよ!」
 「ごめん、ごめん。で?どっちが告ったの?なんて言われたの?」

 とぐいぐいと聞きながら近づいてくる梢を片手で押し戻しながら、

 「そんな事実はないよ。そんなデマどっから流れてきたのよ…はーなーれーてー!」

 というと。

 「え?違うの?みんな知ってるからもう既成事実みたいになってるよ?」
 「知らないわよ!…というか既成事実ってことはだいぶ前から噂レベルであったんじゃないの?」
 「んーん、なんかね~男子が話を400°ぐらいひん曲げてガソリンに火をつけたレベルの速さで拡散されてって、その先々でまた話が曲がっていってこうなった感じやね。」

 と既成事実の成り行きを説明してくれる。

 「…なんかすごいことになってるね…」
 「そうやね。まあデマってわかったらすぐにこの事態もおさまるでしょ。」

 という梢の楽観的な意見に

 「それもそうね。」

 と妙に納得した私は梢と共に校門をくぐった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...