妹に婚約者を奪われて婚約破棄された上に、竜の生贄として捧げられることになりました。でも何故か守護竜に大切にされているようです

アトハ

文字の大きさ
14 / 16

14.王宮に守護竜様と向かう事になりました

しおりを挟む
 昨夜の騒ぎの翌日。
 私はラフィーネから、再度、通信を受け取りました。

「はあ。ダメーナ子爵家の取り潰しですか……」

 彼女が言うには、今回の騒動の責任を追求され、ダメーナ子爵家がお家取り潰しの憂き目に遭っているとのことでした。

『ダメーナ子爵家の行いを明らかにするため。こんなこと頼める立場ではないんだけど、イリスちゃんにも何があったのか証言して欲しいんです』

 そんなラフィーネの言葉。

 正直なところ、もう関わりたくもないという気持ちもありました。
 それでも自分は、この件に無関係という訳ではないでしょう。
 私は王宮に向かうことを決意しました。

「アルペジオ様。私、王宮に行ってきます」
「いきなり、どういうことだ?」

 彼に問われ、私はラフィーネから王宮に来るようにと言われたことを伝えます。
 
「そのような場所――イリス嬢だけを行かせてなるものか」

 アルペジオは付いてくると言って聞きませんでした。
 そうして私は、守護竜と共に王宮に戻ることになったのです。



◆◇◆◇◆

 王宮の謁見の間には、国王陛下と宰相、そして大臣たちが勢ぞろいしていました。
 そんな状況で、両親が居心地悪そうに小さくなっていました。
 機嫌が悪そうな妹も一緒なようです。

「私の祈りは、たしかに守護竜に届くものでした。そんな言いがかりを付けられるなんて、はなはだ不愉快です」
「もうじき全て分かるわよ」

 ティアナのそばには、ラフィーネが居ました。
 なにやら言い争っているようです。


「お姉さま、その男は誰ですか? このような場に無関係の方を呼ぶなんて、随分と常識外れなことをなさるのですね」

 やがてティアナがこちらに気づき、意地悪く微笑みながら、そんなことを言います。
 ラフィーネが止めようとするも、間に合わない――そんな最悪の早業でした。


「ティアナ、口を慎みなさい。この方は守護竜の人化した姿。ある意味、誰よりもこの場に相応しい方よ」
「な、なにをそんな馬鹿なこと……!」

 ティアナは何やら反論しようとしていましたが、

「――ッ!」

 アルペジオがひと睨みすると、声を失ったように黙り込みました。
 竜の威圧――その覇気を受けて、なお逆らえる者など居ません。

 アルペジオ様はつかつかと城の窓を開けると――


「竜の息吹!」

 空に吸い込まれていく力強い光。
 それは人々を怯えさせてきた竜の怒り――竜の息吹にほかなりませんでした。


「まだ我が守護竜であることに、疑問を挟むものは居るか?」
 
 アルペジオはそう言いながら、あたりを見渡します。

「あ、アルペジオ様! 強引すぎます!」
「すまない。だかあの女を前にすると、冷静で居られなくてな。これもイリス嬢を守るためだ……」

 咎めるような私に、アルペジオは申し訳なさそうに答えました。

 守護竜が人化して、王宮を訪れたらしい。
 しかもどうやら、生贄として送り込んだ人間と友好関係を築いているらしい。
 信じられないものを見るような目が、私たちに向けられました。

 

「これより聖女ティアナから話を聞き、何が起きたかをすべて公正に判断させてもらおう」

 やがて気を取り直したように、国王陛下がそう宣言しました。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?

サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」

わたくしを追い出した王太子殿下が、一年後に謝罪に来ました

柚木ゆず
ファンタジー
 より優秀な力を持つ聖女が現れたことによってお払い箱と言われ、その結果すべてを失ってしまった元聖女アンブル。そんな彼女は古い友人である男爵令息ドファールに救われ隣国で幸せに暮らしていたのですが、ある日突然祖国の王太子ザルースが――アンブルを邪険にした人間のひとりが、アンブルの目の前に現れたのでした。 「アンブル、あの時は本当にすまなかった。謝罪とお詫びをさせて欲しいんだ」 現在体調の影響でしっかりとしたお礼(お返事)ができないため、最新の投稿作以外の感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

聖女の妹によって家を追い出された私が真の聖女でした

天宮有
恋愛
 グーリサ伯爵家から聖女が選ばれることになり、長女の私エステルより妹ザリカの方が優秀だった。  聖女がザリカに決まり、私は家から追い出されてしまう。  その後、追い出された私の元に、他国の王子マグリスがやって来る。  マグリスの話を聞くと私が真の聖女で、これからザリカの力は消えていくようだ。

聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」 「相手はフローラお姉様ですよね?」 「その通りだ」 「わかりました。今までありがとう」 公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。 アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。 三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。 信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった―― 閲覧注意

婚約者が毒を使って私を消そうとするけど、聖女だから効きません

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私シルフは聖女になっていたけど、家族以外には伝えていない。  婚約者のズドラは侯爵令嬢のロゼスが好きで、私を切り捨てようと考えていたからだ。    婚約破棄を言い渡されると考えていたけど、ズドラは毒で私を消そうとしてくる。  聖女の力で無力化できたけど――我慢の限界を迎えた私は、やり返そうと思います。

偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!

南田 此仁
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」  パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。  王太子は続けて言う。  システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。  突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。  馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。  目指すは西の隣国。  八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。  魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。 「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」  多勢に無勢。  窮地のシスティーナは叫ぶ。 「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」 ■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。

処理中です...