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4. いやいや、再び国で雇いたいとか言われても・・・
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「聞いてないわよ、この詐欺師!
どういうことなのか、きっちりと説明してもらうわよ!」
ティファニアに敵わないと見て、エリーゼは即座に俺にターゲットを移す。
「師匠に対してなんて口の聞き方を!」
「獣人族はやられたことは忘れない。その侮辱、いつか借りは返す」
「リットさんをバカにするんなら、ウチらも敵に回すことになる。よう覚えとき?」
総スカンを喰ったエリーゼはもはや涙目。そっと国王の後に隠れてしまった。さっきまでの自信満々な態度はどこへいってしまったのか。
この国が結界師を認めないのは、いつものことだ。俺としてはどうでも良かったが、わざわざスカウトにきた人間が貶されているのを、心優しい彼女たちは見ていられなかったのだろう。
(なによ。こいつに、そんな利用価値があったっていうの?
こいつのレンタルを条件にすれば、エルフやドワーフとの交渉だって……)
黙りこんでいたエリーゼだったが、内心ではそんなしょうもないことを考えているようだった。相手の真意を見抜く結界――悪人に騙されないよう、エリーゼを守るためにかけたんだが、突っ返されたんだよな。こうして彼女の本性を明らかにするとは、なんとも皮肉な話だ。
「詐欺――結界師リット。クビは取り消すわ。
あなたを……あなた様を再び国で雇いたいと考えているのだけど、考え直すつもりはない?」
エリーゼの気色悪い猫なで声。俺に利用価値を見出したのだろう。本心が聞こえてしまった今、一顧だに値しないけどな。あんなのバレバレの演技でも、騙されるやつはコロリと騙されるのだから世も末だ。
「勝手にクビを宣告して、国を出ていけと言っていたな。物乞いでもして生きろと――そんなことまで言っておいて今更それは、ちょっと都合が良すぎるんじゃないか?」
「そ、それは……」
「契約魔法が切れた時点で、俺はこの国の結界師でもなんでもない。もはや赤の他人だ」
「そんなこと言わないで。私たちの仲じゃない?」
エリーゼの言葉にムッとした表情を浮かべたのは、俺だけではない。普段の俺に対する扱いを見ているアリーシャなどは、あからさまに嫌悪感の混ざった目でエリーゼを睨みつけている。
「俺の力なんてなくても、王女様ならよろしくやっていけるだろうよ?
じゃあな、聖女さま」
(チッ、詐欺師の癖に生意気な。
最後の最後まで、役に立たなかったわね)
殊勝な顔をしつつ、内心ではそんなことを考えていたエリーゼ。元気そうで何よりだ。
ふむ、役立たずか。
そう言われるのも癪だな。最後ぐらい、何か国のためになることをしてから立ち去るか。
「ティファニア、随分と図々しいお願いなんだけどさ……」
「なんでもおっしゃって下さい。
ほかでもない旦那さまの頼みです。たとえ悪魔に魂を売ってでも叶えてみせます!」
すごい勢いだな!?
よしっと気合を入れ直すティファニアは、後にいた2人に得意げな顔を向ける。後ろのふたりは悔しそうな表情――何故だろうか。
「身勝手だが、2人にもお願いだ。
エルフの里に世話になると言いながら、こんなことを頼むのは本当に心苦しいんだが……」
俺が頭を下げると、ふたりとも何故かひどく恐縮した様子であたふたした。その後、パーッと表情を明るくする。一方のティファニアは、むーっと頬を膨らませる。……何故だ。
どういうことなのか、きっちりと説明してもらうわよ!」
ティファニアに敵わないと見て、エリーゼは即座に俺にターゲットを移す。
「師匠に対してなんて口の聞き方を!」
「獣人族はやられたことは忘れない。その侮辱、いつか借りは返す」
「リットさんをバカにするんなら、ウチらも敵に回すことになる。よう覚えとき?」
総スカンを喰ったエリーゼはもはや涙目。そっと国王の後に隠れてしまった。さっきまでの自信満々な態度はどこへいってしまったのか。
この国が結界師を認めないのは、いつものことだ。俺としてはどうでも良かったが、わざわざスカウトにきた人間が貶されているのを、心優しい彼女たちは見ていられなかったのだろう。
(なによ。こいつに、そんな利用価値があったっていうの?
こいつのレンタルを条件にすれば、エルフやドワーフとの交渉だって……)
黙りこんでいたエリーゼだったが、内心ではそんなしょうもないことを考えているようだった。相手の真意を見抜く結界――悪人に騙されないよう、エリーゼを守るためにかけたんだが、突っ返されたんだよな。こうして彼女の本性を明らかにするとは、なんとも皮肉な話だ。
「詐欺――結界師リット。クビは取り消すわ。
あなたを……あなた様を再び国で雇いたいと考えているのだけど、考え直すつもりはない?」
エリーゼの気色悪い猫なで声。俺に利用価値を見出したのだろう。本心が聞こえてしまった今、一顧だに値しないけどな。あんなのバレバレの演技でも、騙されるやつはコロリと騙されるのだから世も末だ。
「勝手にクビを宣告して、国を出ていけと言っていたな。物乞いでもして生きろと――そんなことまで言っておいて今更それは、ちょっと都合が良すぎるんじゃないか?」
「そ、それは……」
「契約魔法が切れた時点で、俺はこの国の結界師でもなんでもない。もはや赤の他人だ」
「そんなこと言わないで。私たちの仲じゃない?」
エリーゼの言葉にムッとした表情を浮かべたのは、俺だけではない。普段の俺に対する扱いを見ているアリーシャなどは、あからさまに嫌悪感の混ざった目でエリーゼを睨みつけている。
「俺の力なんてなくても、王女様ならよろしくやっていけるだろうよ?
じゃあな、聖女さま」
(チッ、詐欺師の癖に生意気な。
最後の最後まで、役に立たなかったわね)
殊勝な顔をしつつ、内心ではそんなことを考えていたエリーゼ。元気そうで何よりだ。
ふむ、役立たずか。
そう言われるのも癪だな。最後ぐらい、何か国のためになることをしてから立ち去るか。
「ティファニア、随分と図々しいお願いなんだけどさ……」
「なんでもおっしゃって下さい。
ほかでもない旦那さまの頼みです。たとえ悪魔に魂を売ってでも叶えてみせます!」
すごい勢いだな!?
よしっと気合を入れ直すティファニアは、後にいた2人に得意げな顔を向ける。後ろのふたりは悔しそうな表情――何故だろうか。
「身勝手だが、2人にもお願いだ。
エルフの里に世話になると言いながら、こんなことを頼むのは本当に心苦しいんだが……」
俺が頭を下げると、ふたりとも何故かひどく恐縮した様子であたふたした。その後、パーッと表情を明るくする。一方のティファニアは、むーっと頬を膨らませる。……何故だ。
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