「オタクはキモいから近寄らないで」とこっぴどく幼馴染に振られましたが、なぜか学園の聖女様と付き合うことになりました~価値に気付いても遅いです

アトハ

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4.《幼馴染視点》私がこの手で引導を渡してやるわ!

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《数日後・エリシア視点》

 私――エリシアは、むすーっとしていた。

 苛立ちの原因はあいつ――先日、身の程知らずにも告白してきたから振ってやったカインだ。
 あんなやつが我が物顔で隣に並んでいた今までが、おかしかったのだ。
 それに比べてジーくんはスポーツ万能で容姿端麗。学園で一番の人気者だ。

 貴重な金づるを失うことになるのは痛いが、せめて落ち込んでる姿を見て溜飲を下げよう。
 そんなことを思っていたのに――

「なんでケロッとした顔をしてるのよ!」

 翌日になってみれば、あのオタクは私の方を見ようともしなかった。
 昨日までは、ずっと私の顔色を伺っていた。それなのに――

(なんで、こっちを見すらしないのよ……!)

 更には納得いかない事があった。

「先輩! 先輩! 先輩!」
「あ、オリビア!」

(どこで知り合ったっていうのよ!?)


 驚くことに”学園の聖女様”が、カインと親しげに話していたのだ。

 学園の聖女様――別名、孤高の撃墜王。
 柔らかな雰囲気とは裏腹に、まったく浮いた話を聞いたことがない。
 学年主席のエリートの告白すらあっさりと断り、親しげな男性の話すら聞いたことがない。


 そんなオリビアが――毎日昼休みになると教室まで遊びに来るのだ。
 その目的は、あろうことか冴えないオタクであった。

「な? オリビア様だ!」
「なんだってあいつが!?」

 教室内も騒然としていた。
 しかしオリビアは、回りの騒動など視界にも入らぬ様子。
 カインも満更でもなさそうに受け入れ、それは幸せそうに微笑んでいたのだ。


(なんなのよ、なんなのよ!)

 ――カインも、楽しそうに笑っていた。
 私の前では、一度も見せたことがないような朗らかな笑みだ。
 自然体で笑い合うオリビアとカインは、不思議と長年連れ添ったお似合いのカップルのようにすら見え……、

(むかつく。むかつく、むかつく!)
(あんな魔道具オタクのくせに!)

 私は気がつけば、オリビアとカインの元に歩みを進めていた。

***

「随分と楽しそうに話してるわね」

 私は、オリビアとカインの間に割って入るように声をかけた。

「あら、エリシアさん。私たちにいったい何の用ですか?」

 オリビアが敵意に満ちた目で、私を見てきた。


(な、なによ……!) 
(そんなことより、今はこのオタクよ――私以外の女の前で、デレデレしちゃって!)

「ちょっとそいつに用があったの。……ねえ、付き合ってくれるわよね?」

 カインは、しばらく私と話せなくて寂しかったはずだ。
 さぞ喜ばれるだろう――そんな反応を予想していたが、


「ごめんオリビア。……それ、今じゃないと駄目?」

 あろうことかカインは、迷惑そうな顔で私を見返してきたのだ。
 ちょっと前は、私が話しかけただけで犬みたいに嬉しそうに尻尾を振っていたくせに!


「つべこべ言わずにさっさと来なさいよ。あんたなんか、ずっと私に従ってれば良いのよ!」
「失礼ですがエリシアさんは、先輩の何なのですか?」
「それは――」

(なにって、幼馴染で……、あれ?)

 カインに告白されて振って――今の私とカインは……

「オリビア、エリシアとは赤の他人だよ」

 カインは、私のことを赤の他人と言い切った。
 どうしようもなく気に食わなかった。


「無理しないで良いのよ? 今なら私が、お昼を一緒に食べてあげるって言って――」
「エリシア。今はオリビアと魔導――大事なことを話してるんだ。新商品開発のことでさ――だから邪魔しないで欲しいんだけど?」

 なんの未練もないとばかりに、カインはあっさり私の誘いを断った。


「エリシアさん。あなたに私と先輩の逢瀬を邪魔する権利はないですよね?」
「そうだけど――カイン、本気なの?」
「うん。ごめん、用があったなら後で埋め合わせするから」

 未練がないどころか、カインから申し訳無さそうな顔をされてしまう。
 私は、すごすごと自席に戻るしかなかった。


(なんっなのよ、カインの癖に!!)

「エリシアちゃ~ん、どうしたんだよ?」
「うっさい、放っておいて!」

 怪訝そうな顔をするジオルド(ジーくん)に、思わず怒鳴り返してしまう。

(あいつ、どうやってオリビアと……)

 私は、ギリリと歯ぎしりした。


(そういえば新商品開発の話って言ってたわよね)
(ははっ、呆れた。あいつまさか――デビルシードの創業者だって、オリビアにまで言いふらしてるわけ!?)

 私の憧れのデビルシードシードの創業者が、まさかあんな冴えないオタクなはずがない。
 オリビアと話すために、精一杯背伸びして無理やり話を合わせているのだろう。


(そんな関係、いずれ破綻するに決まってるのに)
(馬鹿なやつ――ふふっ。どうせなら、私がこの手で引導を渡してやるわ)

 そのためにはデビルシード創業者がアイツでない証拠を集める必要がある。
 カインの動向を探って、あいつがデビルシードとは関係ないただの魔道具オタクであることの証拠を集めるのだ。

 ――気がつけば、私は放課後になるとカインの後をこっそりと付けるようになっていた。
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