20 / 56
2章 赤ちゃんと孤児とオークキング
第20話 中本ネネのステータス画面を確認できるようになりました
しおりを挟む
柔らかくてミルク臭い小さい生き物を俺は抱っこしていた。
俺はネネちゃんの事を愛している。
たまらなく、愛している。
生きて帰って来れて、ネネちゃんに会えただけでも俺は幸運だった。
『パッシブスキルに庇護下が追加されました』
『中本ネネが庇護下に入りました』
脳内で声が聞こえた。
女の人のような、機械音のような声である。
『中本ネネのステータス画面を確認できるようになりました』
庇護下ってなんだよ?
ネネちゃんのステータス画面の確認?
とりあえず『庇護下』を確認するために、自分のステータス画面を開いた。念じる事で目の前にステータス画面を開く事ができる。
パッシブスキルの欄に『庇護下』というスキルが追加されていた。
なにかの拍子にパッシブスキルが増えたらしい。なにかの条件を満たしたのか? どうしてパッシブスキルが増えたのかは謎だった。
ステータス画面の庇護下という文字を触ってみる。すると詳細が出てきた。
『庇護下……庇護下のステータス画面を確認できる。中本淳が庇護下にブーストをかけた場合、その効果は2倍になる』
ブーストって(パパは戦士)のパッシブスキルの『愛情』や『サポーター』ってことか?
ネネちゃんのステータスが見たい、と念じる事でステータス画面が開いた。
『中本ネネ 0歳』
相変わらず、確認できるステータスは簡素である。
ある文字に視線がいった。
俺の欄では『称号』となっている文字が、ネネちゃんの場合は『職業』となっていた。
『職業 勇者』
勇者?
勇者の文字を呆然と俺は見つめた。
誰かのために犠牲になる職業。
成長する兵器。
ネネちゃんにはなってほしくない職業だった。
誰かのためじゃなく、自分の人生を歩んでほしい。
ステータス画面には、他に何も表示されていなかった。
攻撃力も守備力も魔力量も書かれていない。そこに何かが書かれるはずの空白があるだけだった。
俺は空白の画面を触った。
『この項目はレベルが達していないため、表示されません』
「淳君、淳君」
と美子さんが俺を呼んでいた。
「大丈夫? さっきからずっと呼んでるんだけど」
「あっ、ごめん」
と俺は謝る。
「ご飯食べる?」
と妻が尋ねた。
「先に聞いてほしい事があるんだ」
と俺は言った。
今日の出来事について俺は美子さんに話した。オークが大量発生していること、ステータス画面が発現できるようになったこと、子どもを助けたこと、庇護下というスキルでネネちゃんのステータス画面も見れるようになったこと、ネネちゃんが勇者であること。
彼女は静かに俺の話を聞いていた。
「淳君はどうしたいの?」と全てを聞き終わった後に美子さんが尋ねた。
「……ネネちゃんを勇者にしたくない」と俺は言った。
「どうして勇者にしたくないの?」
わかってるくせに美子さんが尋ねる。
「殺されるかもしれない魔王を倒しに行くんだよ」と俺は言った。
「殺されるのが嫌なら、殺されないように教育したらいいじゃない」と彼女が言った。
「魔王を倒せると思ってるの?」
と俺は尋ねた。
彼女は首を横に振った。
「倒せない敵だとわかったら逃げれるように育てたらいいの」と彼女が言った。
「ネネちゃんがどんな選択をするかはわからないけど、子どもの人生は子どものモノなのよ。彼女がどんな人生を歩んでも幸せになるように教育すればいいの」
俺は美子さんの発言に感心する。
「やっぱり学校の先生だね。美子さんは凄いな」と俺は言った。
美子さんは異世界に来る前は小学校の先生だった。
「そんな事ないわよ。ご飯の用意するわね」と美子さんは言って、キッチンに行く。
俺はネネちゃんを抱っこして、美子さんに付いて行く。
ネネちゃんは俺の腕の中で眠っていた。
「明日、森に行くから」と俺は言う。
美子さんが驚きながら俺を振り返った。
「でもオークが大量発生してるんじゃないの?」
「だから行くんだ。明日行かないと2度と俺は森に行けない」
と俺が言う。
森に行けない、ということは冒険者を辞めなくてはいけない。本当は嫌いな仕事だし、やりたくない仕事だけど、職を失うということは家族が明日のご飯を食べれなくなるということだった。
「大丈夫なの?」
と美子さんが不安そうに尋ねた。
「必ず家に帰って来るけど、もし俺が帰って来なかったら」
「帰って来なかったら、の話はやめて」
「オークキングが街に来るかもしれないんだ。その時は、あの老夫婦を頼ってほしい」と俺が言う。
彼女は黙って料理を作った。
明日には『魔物の場所』に行かないといけない。
あの恐怖がこびりついた森に入らなくては行けなかった。
俺は森に入って大丈夫なんだ、と認識しないといけなかった。
俺はネネちゃんの事を愛している。
たまらなく、愛している。
生きて帰って来れて、ネネちゃんに会えただけでも俺は幸運だった。
『パッシブスキルに庇護下が追加されました』
『中本ネネが庇護下に入りました』
脳内で声が聞こえた。
女の人のような、機械音のような声である。
『中本ネネのステータス画面を確認できるようになりました』
庇護下ってなんだよ?
ネネちゃんのステータス画面の確認?
とりあえず『庇護下』を確認するために、自分のステータス画面を開いた。念じる事で目の前にステータス画面を開く事ができる。
パッシブスキルの欄に『庇護下』というスキルが追加されていた。
なにかの拍子にパッシブスキルが増えたらしい。なにかの条件を満たしたのか? どうしてパッシブスキルが増えたのかは謎だった。
ステータス画面の庇護下という文字を触ってみる。すると詳細が出てきた。
『庇護下……庇護下のステータス画面を確認できる。中本淳が庇護下にブーストをかけた場合、その効果は2倍になる』
ブーストって(パパは戦士)のパッシブスキルの『愛情』や『サポーター』ってことか?
ネネちゃんのステータスが見たい、と念じる事でステータス画面が開いた。
『中本ネネ 0歳』
相変わらず、確認できるステータスは簡素である。
ある文字に視線がいった。
俺の欄では『称号』となっている文字が、ネネちゃんの場合は『職業』となっていた。
『職業 勇者』
勇者?
勇者の文字を呆然と俺は見つめた。
誰かのために犠牲になる職業。
成長する兵器。
ネネちゃんにはなってほしくない職業だった。
誰かのためじゃなく、自分の人生を歩んでほしい。
ステータス画面には、他に何も表示されていなかった。
攻撃力も守備力も魔力量も書かれていない。そこに何かが書かれるはずの空白があるだけだった。
俺は空白の画面を触った。
『この項目はレベルが達していないため、表示されません』
「淳君、淳君」
と美子さんが俺を呼んでいた。
「大丈夫? さっきからずっと呼んでるんだけど」
「あっ、ごめん」
と俺は謝る。
「ご飯食べる?」
と妻が尋ねた。
「先に聞いてほしい事があるんだ」
と俺は言った。
今日の出来事について俺は美子さんに話した。オークが大量発生していること、ステータス画面が発現できるようになったこと、子どもを助けたこと、庇護下というスキルでネネちゃんのステータス画面も見れるようになったこと、ネネちゃんが勇者であること。
彼女は静かに俺の話を聞いていた。
「淳君はどうしたいの?」と全てを聞き終わった後に美子さんが尋ねた。
「……ネネちゃんを勇者にしたくない」と俺は言った。
「どうして勇者にしたくないの?」
わかってるくせに美子さんが尋ねる。
「殺されるかもしれない魔王を倒しに行くんだよ」と俺は言った。
「殺されるのが嫌なら、殺されないように教育したらいいじゃない」と彼女が言った。
「魔王を倒せると思ってるの?」
と俺は尋ねた。
彼女は首を横に振った。
「倒せない敵だとわかったら逃げれるように育てたらいいの」と彼女が言った。
「ネネちゃんがどんな選択をするかはわからないけど、子どもの人生は子どものモノなのよ。彼女がどんな人生を歩んでも幸せになるように教育すればいいの」
俺は美子さんの発言に感心する。
「やっぱり学校の先生だね。美子さんは凄いな」と俺は言った。
美子さんは異世界に来る前は小学校の先生だった。
「そんな事ないわよ。ご飯の用意するわね」と美子さんは言って、キッチンに行く。
俺はネネちゃんを抱っこして、美子さんに付いて行く。
ネネちゃんは俺の腕の中で眠っていた。
「明日、森に行くから」と俺は言う。
美子さんが驚きながら俺を振り返った。
「でもオークが大量発生してるんじゃないの?」
「だから行くんだ。明日行かないと2度と俺は森に行けない」
と俺が言う。
森に行けない、ということは冒険者を辞めなくてはいけない。本当は嫌いな仕事だし、やりたくない仕事だけど、職を失うということは家族が明日のご飯を食べれなくなるということだった。
「大丈夫なの?」
と美子さんが不安そうに尋ねた。
「必ず家に帰って来るけど、もし俺が帰って来なかったら」
「帰って来なかったら、の話はやめて」
「オークキングが街に来るかもしれないんだ。その時は、あの老夫婦を頼ってほしい」と俺が言う。
彼女は黙って料理を作った。
明日には『魔物の場所』に行かないといけない。
あの恐怖がこびりついた森に入らなくては行けなかった。
俺は森に入って大丈夫なんだ、と認識しないといけなかった。
134
あなたにおすすめの小説
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる