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十九話 エリスはすごい人気だった
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馬車を走らせること30分。
傷だらけだった女性がうっすらと目を開けた。
「...ん?」
女性は目を擦りながら、手をついてむくりと起き上がった。
この女性はロイエ・フィールドという名前だそうだ。
なぜ知ってるのかと言うと、先に助けた3人が同じ冒険者パーティーだったからだ。
因みにだが、助けた3人は男が2人と女が1人だった。
一人の男はモジモジしてずっと黙っていて、一人の男は外を眺めている。
そして、先に助けた方の女は今さっきまで眠っていた女性のそばにずっと座っていた。だいぶ心配していたのだろう。
そんな心配が一気に無くなったからか、近くに座っていた女性、ラウラは体を後ろに倒した。
「無事でよかった...」
ラウラはそう言って力なく笑った。相当体力を消耗したのかな?
その様子を見たロイエはラウラの方に近づこうとするがーーー
「いてっ!」
足を動かそうとした瞬間、激痛が走ったようで、うずくまった。
ロイエの骨折した場所は、足の膝辺りの部分だ。だから、歩こうとしたらもちろん痛い。
「言うのが遅くなったが、骨折をしているから動かさない方がいいぞ」
本当に言うのが遅いと自分でも思った。仕方ないじゃないか、忘れていたのだから。
今更だが、なんで俺が馬車に乗っているかと言うと、エリスに御者を変わってもらっているからだ。
そろそろ飽きてきた。
そんなことは置いておいて、このあとのことを説明しておく。
「今はアウステラという街に向かっている。そこでロイエの治療をしてもらうつもりだ」
「あ、あなたは?」
そう言えば、自己紹介してなかった。パーティーメンバーがいるからまだいいが、女性にしたら起きたら目の前にいた不審者でしかないからな。
「俺は...」
リョウタ ヤマダか山田 涼太か悩むな。近くにエリスがいるし...。
「俺は山田 涼太だ。まあ、ただの冒険者だ。よろしく」
俺が自己紹介をすると、ロイエは口をパクパクさせて驚いている。
この反応は三十分ほど前にも見た。もちろん、先に助けた3人が達だ。
「山田 涼太って、あの山田 涼太さんですか!?」
「どのだよ」
30分前と同じ質問すぎて、思わず突っ込んでしまった。
「エリス様とパーティーを組んでいるという...」
「エリスなら御者をしてるぞ」
その声を聞いた瞬間、ロイエは口元に手を当てて、とても嬉しそうな素振りを見せる。
「エリス様と涼太さんが近くにいるなんて!」
ロイエはもう少しで泣くのではないか、と言うほど目をうるうるさせている。
エリスに会えることがそんなにも嬉しいことなのだろうか。
「後で、エリス様とお話してもよろしいでしょうか?」
なんか、すごい丁寧な言い方になってるな。まあいいけど。
「全然いいぞ」
「ありがとうございます!」
とても笑顔になるロイエ。
そんなにもエリスは凄いのか。
何をしたか今度聞いてみようかな。
俺はそんなことを思いながら、いつエリスの過去話を聞こうかと考えるのだった───。
傷だらけだった女性がうっすらと目を開けた。
「...ん?」
女性は目を擦りながら、手をついてむくりと起き上がった。
この女性はロイエ・フィールドという名前だそうだ。
なぜ知ってるのかと言うと、先に助けた3人が同じ冒険者パーティーだったからだ。
因みにだが、助けた3人は男が2人と女が1人だった。
一人の男はモジモジしてずっと黙っていて、一人の男は外を眺めている。
そして、先に助けた方の女は今さっきまで眠っていた女性のそばにずっと座っていた。だいぶ心配していたのだろう。
そんな心配が一気に無くなったからか、近くに座っていた女性、ラウラは体を後ろに倒した。
「無事でよかった...」
ラウラはそう言って力なく笑った。相当体力を消耗したのかな?
その様子を見たロイエはラウラの方に近づこうとするがーーー
「いてっ!」
足を動かそうとした瞬間、激痛が走ったようで、うずくまった。
ロイエの骨折した場所は、足の膝辺りの部分だ。だから、歩こうとしたらもちろん痛い。
「言うのが遅くなったが、骨折をしているから動かさない方がいいぞ」
本当に言うのが遅いと自分でも思った。仕方ないじゃないか、忘れていたのだから。
今更だが、なんで俺が馬車に乗っているかと言うと、エリスに御者を変わってもらっているからだ。
そろそろ飽きてきた。
そんなことは置いておいて、このあとのことを説明しておく。
「今はアウステラという街に向かっている。そこでロイエの治療をしてもらうつもりだ」
「あ、あなたは?」
そう言えば、自己紹介してなかった。パーティーメンバーがいるからまだいいが、女性にしたら起きたら目の前にいた不審者でしかないからな。
「俺は...」
リョウタ ヤマダか山田 涼太か悩むな。近くにエリスがいるし...。
「俺は山田 涼太だ。まあ、ただの冒険者だ。よろしく」
俺が自己紹介をすると、ロイエは口をパクパクさせて驚いている。
この反応は三十分ほど前にも見た。もちろん、先に助けた3人が達だ。
「山田 涼太って、あの山田 涼太さんですか!?」
「どのだよ」
30分前と同じ質問すぎて、思わず突っ込んでしまった。
「エリス様とパーティーを組んでいるという...」
「エリスなら御者をしてるぞ」
その声を聞いた瞬間、ロイエは口元に手を当てて、とても嬉しそうな素振りを見せる。
「エリス様と涼太さんが近くにいるなんて!」
ロイエはもう少しで泣くのではないか、と言うほど目をうるうるさせている。
エリスに会えることがそんなにも嬉しいことなのだろうか。
「後で、エリス様とお話してもよろしいでしょうか?」
なんか、すごい丁寧な言い方になってるな。まあいいけど。
「全然いいぞ」
「ありがとうございます!」
とても笑顔になるロイエ。
そんなにもエリスは凄いのか。
何をしたか今度聞いてみようかな。
俺はそんなことを思いながら、いつエリスの過去話を聞こうかと考えるのだった───。
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