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二十五話 涼太はアホだった

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そう言えば、エリスはなんで俺のMPの話を始めたんだっけ?

「エリス、俺のMPを公表して何を言いたかったんだ?」

「あ、そう言えば言ってなかったね。魔王級の魔力量でしょ?じゃあ...」

何か含みのある言い方だな。
じゃあ何なのだろうか?エリスに質問しようとしたが、周りの皆の様子を見てみると、納得したように頷いている。

「え、みんなは納得したのか?」

「はい、納得です」

レイアは原因をしれて満足したかのように答えた。

「原因がわかってスッキリしました」

ロイエも満足したのかそう呟いた。俺は原因がわかってないから未だにムズムズするんだが。

「原因はなんなんだ?」

「え?」

みんなが素っ頓狂な声を揃えて出した。なにかおかしなことでも言っただろうか?

「リョウタ、本気で言ってる?」

「リョウタさん、本気ですか?」

エリスとレイアが同じ質問をしてくる。本気も何も嘘をつく意味が無い。

「大真面目だが?」

「あ、はい」

なんか、みんなが察しましたみたいな目で見てくる。

「おい、原因はなんなんだよ」

みんなに問いかけるが俺の質問はスルーされた。そして、話は次の段階へと進んでいた。

「原因がそれだとして対処はどうしましょうか?」

レイアが対処法について考え始める。対処って簡単だろう。

「そいつを討伐すればいいだろ?」

「アホですか!?ああ、アホでしたね!」

レイアがなぜかキレ気味に叫んだ。俺ってそんなにアホか?
しかも、そんなにアホな事言ったか?意味がわからん。

「このアホはほっておいて続きを話しませんか?」

エリスまでもが俺をアホ扱いし始める。酷すぎる...。

「原因を討伐するわけにもいかないですし...」

「そうですね...」

皆が首を捻ってうーんと悩んでいる。俺から言わしてみれば、魔物を大量に湧かせる敵など討伐すればいいと思うんだけどな。何故悩んでいるのか全くわからない。

「今は考えている場合では無さそうですし、後で考えますか」

「そうですね」

レイアの声に皆が賛同し、対策は後で考えることになった。
さて、今やらなければならないことはここの土地の住民がどこにいるかと、ロイエの治療だ。

「レイア、ここに避難場所とかあるか?」

「避難場所ですか...。避難場所は分からないんですけど、魔物に襲われた時大体は教会に立てこもりますね」

「教会か、よしそこにいくか」

「はい、お願いします」

行き先が決まったので、エリスに御者を頼む。エリスが教会の場所を知っているらしいからな。

馬車を走らせて少しした頃、教会が見えてきた。だが、教会の周りには敵がいた。

「リョウタよろしくね」

この言葉の意味は、敵を倒してねという意味だろう。


俺は仕方なく馬車を飛び降りて敵に向かっていくのだった───。

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