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3章 政略と征略
55.主たる母性
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「メノウさん、ゴットファザ様がアリシア様の状況をーーっと、お目覚めのようですね」
柔和に微笑みつつ、リヒーが登場。
私の事を放置していたのではなく、メノウの代わりに父上様との連絡係をしていたようだ。
苛立ちを感じて申し訳なかったな。
「リヒー、お嬢様の左手がっ!」
開口一番、メノウは言う。
隠すこともせず、言ってしまう。
まあ、遅かれ早かればれてしまうだろうから、いいのだけど。
「動かなくなっちった♪」
てへぺろ、という感じで茶化してみる。
気にしていないように、
お皿割っちゃった、くらいの気軽さで。
実際問題、動かないものは動かないのだ。
悲しいと嘆いても、戻ることはないだろう。
ならば、明るく振舞って、暗い顔をする人間の数を一人か二人、消した方がいい。
「アリシア様ーー」
リヒーは私の名前をつぶやきながら、抱きしめる。
ちなみに、私はまだベット的なものに転がっている状態なので、軽く押し倒されたような絵面になっている。
相手が彼なので、不快ではないけれど。
「よしよし、お前もメノウと同じで甘えん坊だな」
先と同じ状況。
右手で、彼の頭を撫でる。
メノウとは違う、髪の感触。
これが男の髪の毛か、思った以上に固く強いな。
「つらいのはアリシア様なのに、臣にどうしてこんなにも優しくしてくれるのですか?」
今の私は母性に溢れているのかもしれない。
左手の代償が、これなら安いーーものではないか。
ぶっちゃけ不便なことには変わりないし。
「それはお前が勢いよく抱きしめたからだよ。主人としては、撫でる他ないじゃないか」
「それは、失礼しました。ただ、幼い頃、辛いことがあった人には抱きしめてあげなさいと教えられてたので」
「それは良い親を持ったな」
状況としては、リヒーの方が私よりずっと悪い。
いつも辛い人間に、少しだけ辛い状況の人間が励ましを受ける。
天秤の針があべこべだ。
「よし、どうやらいっぱい寝たようだし、運動でもしようかな」
ぐいっと伸びをして、ベット的なものから、ストンと降りる。
もちろん、リヒーのハグを優しく振りほどくのも忘れずに。
「お嬢様、でもまだお体が」
心配そうに声をかける。
メノウの顔はまだ悲しみに満ちていた。
だからこそ、私が復活している様をきちんと見せつける必要がある。
仮に、
もしも、
本当に、
私の体が異常をきたしているなら、どうしようもないが、とりあえずは動く。
今は動く。
ならば、動ける間に動かないと。
「さて、久しぶりにあいつに会いに行くとしよう♪」
鼻歌交じりで、
動きやすい格好に、
彼に会いに行く準備をした。
柔和に微笑みつつ、リヒーが登場。
私の事を放置していたのではなく、メノウの代わりに父上様との連絡係をしていたようだ。
苛立ちを感じて申し訳なかったな。
「リヒー、お嬢様の左手がっ!」
開口一番、メノウは言う。
隠すこともせず、言ってしまう。
まあ、遅かれ早かればれてしまうだろうから、いいのだけど。
「動かなくなっちった♪」
てへぺろ、という感じで茶化してみる。
気にしていないように、
お皿割っちゃった、くらいの気軽さで。
実際問題、動かないものは動かないのだ。
悲しいと嘆いても、戻ることはないだろう。
ならば、明るく振舞って、暗い顔をする人間の数を一人か二人、消した方がいい。
「アリシア様ーー」
リヒーは私の名前をつぶやきながら、抱きしめる。
ちなみに、私はまだベット的なものに転がっている状態なので、軽く押し倒されたような絵面になっている。
相手が彼なので、不快ではないけれど。
「よしよし、お前もメノウと同じで甘えん坊だな」
先と同じ状況。
右手で、彼の頭を撫でる。
メノウとは違う、髪の感触。
これが男の髪の毛か、思った以上に固く強いな。
「つらいのはアリシア様なのに、臣にどうしてこんなにも優しくしてくれるのですか?」
今の私は母性に溢れているのかもしれない。
左手の代償が、これなら安いーーものではないか。
ぶっちゃけ不便なことには変わりないし。
「それはお前が勢いよく抱きしめたからだよ。主人としては、撫でる他ないじゃないか」
「それは、失礼しました。ただ、幼い頃、辛いことがあった人には抱きしめてあげなさいと教えられてたので」
「それは良い親を持ったな」
状況としては、リヒーの方が私よりずっと悪い。
いつも辛い人間に、少しだけ辛い状況の人間が励ましを受ける。
天秤の針があべこべだ。
「よし、どうやらいっぱい寝たようだし、運動でもしようかな」
ぐいっと伸びをして、ベット的なものから、ストンと降りる。
もちろん、リヒーのハグを優しく振りほどくのも忘れずに。
「お嬢様、でもまだお体が」
心配そうに声をかける。
メノウの顔はまだ悲しみに満ちていた。
だからこそ、私が復活している様をきちんと見せつける必要がある。
仮に、
もしも、
本当に、
私の体が異常をきたしているなら、どうしようもないが、とりあえずは動く。
今は動く。
ならば、動ける間に動かないと。
「さて、久しぶりにあいつに会いに行くとしよう♪」
鼻歌交じりで、
動きやすい格好に、
彼に会いに行く準備をした。
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