追放された悪役令嬢は残念領主を導きます

くわっと

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4章

36.ヒメゴト

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「あれで良かったのか、アトラ」

「はい、お疲れ様でした。ダリル様」

薄暗い部屋に一対の男女。
衣類は身につけておらず、薄い布だけが二人の肌色隠している。
男は女に腕を回し、
女は男にぴったりと寄り添っている。

「本来なら、別段ダリル様が書くべき手紙ではないのですがーーせめて大事なことはダリル様の言葉で、ダリル様の文字で伝えてあげるのが、せめてもの優しさになるのかと」

「……君は本当に優しいのだな。あれだけの仕打ちを受けておきながら、それを悪意でもなく敵意でもなく、好意で返せる。とても真似できるものではないよ」

言いつつ、男は女を抱きしめる。
強く、それでいて痛みを与えないように加減して。

「ーーっあ……んっ……」

男の行動に、女が声で反応する。
少し高い、短い声。
頬は紅潮し、鼓動は早く。

「……いえ、それは違います。優しさとか好意ではありません。私がそうしたいから、そうしているだけです」

女は話を戻す。
本来、目的はこの会話そのものにある。
行為はあくまでそれの潤滑油。
目的の難易度を下げるための手段。

「君は純粋なんだね」

男は言う。
女の思惑を知らずに。

「いえ、正直なだけです」

女は答える。
自身の思惑のために。

「じゃあ素直と言い変えよう」

言葉紡いで、男は女に口づけをする。
舌を絡ませて、
指も絡ませて。

唇だけ留まらず、頬に首にと女を味わう。
部屋に女の矯正が響く。

ーーかと思えば、今度は女の方が攻め手に回る。
くるりと体を捩らせ、男の上に乗る。
首筋に舌を這わせ。
耳元で囁き。

「ダリル様も、こういう時は素直ですよね」

「それは……君が……っあぁ」

快楽に身を捩らす。
女には才能があった。
女には適正があった。
それは努力など必要としないレベルで。

「ーー可愛い」

女は笑う。
おかしそうに。

「じゃあ、もっとして差し上げますね」

遠方では、別の女が心の中で悲鳴を上げているとは知らずに。
二人は男女の性の喜びを楽しんだ。
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