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9.交渉事は先に相手にメリットを与えよ、罪悪感を活かせ!
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「嬢ちゃんの飯は美味いな! 俺が後10年若かかったら、嫁にしたいくらいだ!」
ファザさんはそう妹を褒め称える。
食卓には、パンっぽい物、ポタージュスープっぽい物、ベーコンぽい物、サラダっぽい物が並べられていた。
『ぽいもの』と形容しているが、実際に食べてみると、見た目通りの味がして美味しかった。
「別に嫁にしなくても、ご飯ぐらい作りますよ。ご迷惑でなければ、明日のご飯も私が作りますよ!」
「それはありがたい!お願いするぜ!」
こうして、私たちのファザ家での滞在二日目が、何事もなく確定した。
「アリシアちゃん、ありがとう。君が教えてくれたおかげだよ」
とアリシアに言う。対するアリシアは「お姉さんが……覚えるの……上手なだけです」と恥ずかしそうに答えた。
ーー
食事を終えて、妹と二人で自室に戻る。
褒められて上機嫌なのか、るんるんと鼻歌を歌っている妹。
「それにしても、いきなり料理を振る舞うとか大胆だな」
知らない土地、知らない食べ物、知らない人。
未知な要素づくめで、もしファザさんたちの口に合わなかったら、二日目の滞在はなかったかもしれない。なかなかリスクの大きい選択だったと思う。
単純に、ホームステイ気分で自分の得意分野を披露したいという好奇心故の行動かもしれないけれど。
「頼み事をするときの基本原則だよ、兄さん」
と妹は得意げに人差し指を立てた。
「確かに、わからないことはたくさんあって不安だったけど、アリシアちゃんという先生がいたから、そこらへんの問題はクリアできたわ。味見もしてもらったしね。料理はレシピ通りに作れば、少なくとも失敗はしない。変なアレンジを加えるから、素人や料理下手な人は失敗するのよ」
プンスカと妹は料理に関する持論を述べた。
「それでね、頼み事の話だけど、先に相手にメリットを与えるのが交渉術の基本なの。さっきの私たちの例だと、料理を作るってことね」
ベットの上にぼすんとダイブする妹。
そして、足をばたばたさせつつ、続きを語る。
「先に尽くしてもらった手前、後続する依頼事項は断りづらくなる。心に罪悪感が芽生える。断るの申し訳ないな、って」
罪悪感は交渉事の時に使える最強の感情なんだよね、と妹は悪魔っぽく笑う。我が妹ながら外道だ。
ファザさんは罪悪感とか、そういう感情とは無縁な気もする。だが、あの人の場合は元から懐が深いかあるいは受けた恩は返す主義なのだろう。
「ベストなのは、先出しするメリットが自分の大した負担にならないもの。ーーたとえば、趣味でしていることとか、ボランティアでやってもいいかなーって思えるレベルのこと。それでいて、相手にはちゃんとメリットがあること」
妹は、仰向けになって天井を見上げつつ言う。
「だから、日常的にいいことしてくれる人の頼み事って、よっぽどじゃないと断らないでしょ」
確かに、振り返れば職場のお菓子をくれる事務員さんの頼み事は、なぜかその場で承諾している気がする。『重いものを運ぶの手伝って』とか、『そこ行くならついでに持って行って』とかわりと低負荷なものばかりだけど。
つまり、と妹は続ける。
「兄さんは私からのお願いごとは、断れないでしょ。いつかお願い事するかもしれないから、その時を楽しみにしてて」
と蠱惑的に笑った。
ファザさんはそう妹を褒め称える。
食卓には、パンっぽい物、ポタージュスープっぽい物、ベーコンぽい物、サラダっぽい物が並べられていた。
『ぽいもの』と形容しているが、実際に食べてみると、見た目通りの味がして美味しかった。
「別に嫁にしなくても、ご飯ぐらい作りますよ。ご迷惑でなければ、明日のご飯も私が作りますよ!」
「それはありがたい!お願いするぜ!」
こうして、私たちのファザ家での滞在二日目が、何事もなく確定した。
「アリシアちゃん、ありがとう。君が教えてくれたおかげだよ」
とアリシアに言う。対するアリシアは「お姉さんが……覚えるの……上手なだけです」と恥ずかしそうに答えた。
ーー
食事を終えて、妹と二人で自室に戻る。
褒められて上機嫌なのか、るんるんと鼻歌を歌っている妹。
「それにしても、いきなり料理を振る舞うとか大胆だな」
知らない土地、知らない食べ物、知らない人。
未知な要素づくめで、もしファザさんたちの口に合わなかったら、二日目の滞在はなかったかもしれない。なかなかリスクの大きい選択だったと思う。
単純に、ホームステイ気分で自分の得意分野を披露したいという好奇心故の行動かもしれないけれど。
「頼み事をするときの基本原則だよ、兄さん」
と妹は得意げに人差し指を立てた。
「確かに、わからないことはたくさんあって不安だったけど、アリシアちゃんという先生がいたから、そこらへんの問題はクリアできたわ。味見もしてもらったしね。料理はレシピ通りに作れば、少なくとも失敗はしない。変なアレンジを加えるから、素人や料理下手な人は失敗するのよ」
プンスカと妹は料理に関する持論を述べた。
「それでね、頼み事の話だけど、先に相手にメリットを与えるのが交渉術の基本なの。さっきの私たちの例だと、料理を作るってことね」
ベットの上にぼすんとダイブする妹。
そして、足をばたばたさせつつ、続きを語る。
「先に尽くしてもらった手前、後続する依頼事項は断りづらくなる。心に罪悪感が芽生える。断るの申し訳ないな、って」
罪悪感は交渉事の時に使える最強の感情なんだよね、と妹は悪魔っぽく笑う。我が妹ながら外道だ。
ファザさんは罪悪感とか、そういう感情とは無縁な気もする。だが、あの人の場合は元から懐が深いかあるいは受けた恩は返す主義なのだろう。
「ベストなのは、先出しするメリットが自分の大した負担にならないもの。ーーたとえば、趣味でしていることとか、ボランティアでやってもいいかなーって思えるレベルのこと。それでいて、相手にはちゃんとメリットがあること」
妹は、仰向けになって天井を見上げつつ言う。
「だから、日常的にいいことしてくれる人の頼み事って、よっぽどじゃないと断らないでしょ」
確かに、振り返れば職場のお菓子をくれる事務員さんの頼み事は、なぜかその場で承諾している気がする。『重いものを運ぶの手伝って』とか、『そこ行くならついでに持って行って』とかわりと低負荷なものばかりだけど。
つまり、と妹は続ける。
「兄さんは私からのお願いごとは、断れないでしょ。いつかお願い事するかもしれないから、その時を楽しみにしてて」
と蠱惑的に笑った。
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