紅茶と悪魔を【R18】

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2.カフェでの日常・非日常

14.君だから【R18】

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二人以外、誰もいない店内。
消し忘れたクラシック音楽をBGMに、浅井とセラスは甘い時間を過ごしていた。

「なかなか蕩けるような味わいだな。流石は紅茶の専門家、どことなく紅茶の味がする」

にかっと彼女は笑った。
浅井は笑わず、その笑顔の眩しさと恥ずかしさに目を伏せた。

「ほら、どうした?ここからが本番だぞ?」

セラスは再度浅井の顎をくいと掴み、引き寄せる。
そして、そのまま三回目を強引に奪う。
今度は短く、浅井の反応を確かめるように。

「存外、ノリが悪いな。もっと野獣のようにむしゃぶりつくかと思えば、受け身の姿勢。これは残念だ、ーーある程度は魅力的な躰をしている自信はあるのだがな」

不服そうにセラスは呟いた。
だが、それも仕方がない。
浅井は童貞なのだ。
基本、生活の主軸を紅茶に置いてた。
客、あるいは取引先には女性も多い。
出会いは十分あった。
しかし、手を伸ばさなかった。
性欲がないわけではない。
ただの優先順位の問題。
それに、恋愛に手を出すことで、本業が疎かなになるならそれも止む無し、と諦めていた結果。

「すみません。こういうこと、あまり慣れていないので」

「ーー成る程、成る程。そういうことか、理解した」

浅井の言葉に彼女は頷いた。
察しがついたらしい。

「なら、何も考えなくていい」

そう言って、がばりとエプロンドレスを脱いだ。
レースがあしらわれた桃色の下着が露わになる。
衣服に覆い隠されていた、彼女の体。
メリハリのついた、適切な比率で構成された長い手足。
うっすらとした鎖骨のライン、
ブラからこぼれそうな豊満かつ形の良い胸。

「そう、君は私の美しさにただ溺れていればいい」

彼女はパチン、と自らブラのホックを外す。
視線は浅井に落としたまま、器用に素肌を晒す。
桜色に染まった突起と弾力のある膨らみの全容が浅井の視界に入る。
彼女の動きに合わせて、それは微かに震え、揺れていた。

「私は好きなようにやらせてもらう」

ゆっくりと、少しだけ焦らすように自身のショーツに指をかける。
少しずつ、下腹部の肌色が目に入り込んでくる。
赤く色づいた秘所が、晒される。
何にも覆われておらず、つるりとした恥部。

「ただ、誰に対しても同じことをしている、とは思って欲しくはない」

全ての衣類を脱ぎ去った彼女は、次に浅井の服に手をかけた。
上着のボタンを外し、剥ぎ取り。
シャツをめくり取り。
ベルトを外し、引き抜き。
スラックスをずるずると引っ張り。
そして、最後の一枚をずるりと、脱がした。

「君だから。気に入った相手だから、こうしている。それを忘れるな」

浅井を、蒼い目が見つめている。
吸い込まれそうなその瞳を見つめながら、今度は浅井の方から唇を重ねた。
くすり、と満足げな声が隙間から漏れた。
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